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いまだ猛威を振るっている新型コロナウイルス肺炎だが、その感染源はコウモリである可能性が高く、野生動物の売買や食用がウイルス感染に大きく関わっていることが指摘された。中国科学院武漢ウイルス研究所の石正麗氏らが2月初め、英科学誌ネイチャーに発表した。
中国国営テレビ局のニュース番組「央視新聞」が2月10日に報道したところでは、全国人民代表大会(全人代)常務委員会の法制工作委員会はすでに野生動物保護法の改正に着手しており、同法の改正を今年の立法業務計画に含める見通しだ。また動物防疫法などの改正も進めていくという。
全人代常務委員会の法制工作委員会経済法室で主任を務める王瑞賀氏は次のように語っている。「野生動物保護法などの関連法を整備し、規制範囲を拡大することで、野生動物の乱獲や食用を厳しく取り締まる必要がある」
中国工程院の院士(アカデミー会員)で湖北省新型コロナウイルス肺炎感染予防研究グループ専門家の陳煥春教授は先日、「新たな伝染病の78%は野生動物と関連があるため、野生動物の飼育は控えるべきで、食用はもってのほかだ」と語っている。
1月26日、市場監督管理総局、農業農村部、国家林草局は、新型肺炎の流行が収まるまで野生動物の売買を禁止する決定を下した。決定では消費者に野生動物を食用することのリスクを十分認識するよう求め、野生動物を賞味する「野味」を避けて健康的な食事を心がけるよう提言した。
しかし規制したところで公然と法を犯す者がいるのも現実だ。中国メディア「生命時報」の統計によれば、新型肺炎の流行後も希少な野生動物を違法に捕獲したとして摘発された事案は全国で19件に上った。
中国の刑法によると、国家が重点的に保護する希少野生動物とその製品の売買や輸送は刑事責任を問われる。しかし国家の保護対象になっていない野生動物に関しては明確な規定がない。一部の専門家は、業者や消費者がこのような現行法の抜け穴を利用していると指摘する。
先日、30名近くの上海市政協委員が、上海で野生動物の取引や消費を禁止する法律を早急に制定するよう提言した。ただし、野生動物と知らずに購入したり食べたりした場合は刑事責任を問われないほか、食用に飼育された動物の購入および食用も罪に問われないとのこと。
このほか、知識人からなる少数政党「九三学社」のメンバーや中国科学院の院士が、医学界、法曹界の専門家を招いて緊急討論会を開催し、野生動物の食用を全面的に禁止する法律の整備を迅速に行うよう九三学社の中央委員会に提言した。提言はすでに全国政治協商会議に報告されているという。
※アイキャッチ画像は央視新聞
(翻訳・畠中裕子)
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