ボルボの増収決算、転機は「吉利汽車」による買収 中国市場が大きく貢献 

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ボルボの増収決算、転機は「吉利汽車」による買収 中国市場が大きく貢献

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スウェーデンのボルボ・カー(Volvo Cars)は先ごろ、2019年度決算を発表した。売上高は前年比8.5%増の2741億スウェーデンクローナ(約3兆1000億円)、営業利益は0.8%増の143億スウェーデンクローナ(約1600億円)だった。

営業利益率は5.2%で、2018年度の5.6%を下回った。それに対してキャッシュフローは116億スウェーデンクローナ(約1300億円)と、前年に比べ2倍以上に増えた。

同社の代表取締役社長兼CEOのホーカン・サムエルソン氏は、「2019年度は、企業としての変革を進めながら堅調な財務パフォーマンスを実現し、前年に続いて成長することができた。コスト最適化による効果が特に下半期に確認できたことをうれしく思う」と語っている。

2010年3月に中国の自動車大手「吉利控股集団(Geely Group Holdings)」が18億ドル(約2000億円)でボルボの全株式を買収した時は、「蛇が象を飲み込んだ」と言われた。しかし、当時のボルボは財務状況が厳しく、2008年度の税引前損失は15億ドル(約1700億円)に上っていた。

そのボルボが今や、財務状況が好転しただけでなく、自動車の販売でも高いパフォーマンスを示している。

ボルボが発表した2019年度の自動車販売実績によると、世界の販売台数は前年比9.8%増の70万5500台だった。創業から93年間で初めて年間販売台数が70万台の大台に乗った。

6年連続で販売台数が増加したことについてボルボは、主要市場での好調なパフォーマンスに加え、国別でも記録的な販売台数を達成したためと説明。世界的に自動車市況がそれほど良くない中、中国や米国、欧州でシェアを伸ばすことができたとしている。

国別で、中国市場は引き続きボルボにとって最大の販売市場となっており、全体の販売台数に占める割合が22%に達した。2019年度の中国市場での売上高は前年比10.8%増の605億3000万スウェーデンクローナ(約6800億円)だった。

中国、香港、台湾を含む中華圏での販売台数は計16万1436台で、うち中国では前年比18.9%増の15万4559台と、一つの市場としては過去最高を記録。乗用車市場信息聯席会(CPCA)のまとめによれば、2019年の中国での乗用車販売台数が前年に比べ7.4%減ったことから、ボルボの販売は不況にもかかわらず順調だったことが分かる。

また、米国での販売台数は前年比10.1%増の10万8234台と、2007年以降では初めて10万台の大台に乗った。欧州では、ドイツで初めて5万台余りを販売すると共に、英国でも1990年以来の高い販売パフォーマンスとなっている。

一方、本拠を置くスウェーデンでの販売台数は前年比4.2%減の6万4290台にとどまり、売上高は260億9200万スウェーデンクローナ(約2900億円)へと6.9%近く減少した。

ボルボは昨年、2040年までに「クライメイト・ニュートラル」を実現し、2025年までに自動車の二酸化炭素排出量を40%削減する計画を明らかにした。新たなブランド「Recharge」を発表すると同時に初の電気自動車(EV)モデル「XC40 Recharge」もリリースし、プラグインハイブリッド車とEVの販売を促進する構えをみせている。

(翻訳・神戸三四郎)

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