シェアサイクル「ofo」、なぜショッピングアプリへ変身?デポジット返金のための涙ぐましい努力

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中国でシェアサイクル事業を手がけてきた「ofo(オッフォ)」は先月下旬、ひっそりと自社アプリをバージョン4.0にアップデートした。新バージョンではユーザーが納めたデポジットが「残高」に変換され、これを現金として引き出すには、アプリ内で買い物をし、購入金額に応じたキャッシュバックを受ける必要がある。

ofoの元幹部は「ofoはもう自転車自体を持っていない。今ある資産はアプリとユーザーだ」と言う。

別の元幹部はofoがECプラットフォームに転身したことについて「会社として生き残るためだ。ofoが破産申請も精算もしないのはユーザーに早くデポジットを返金するため」と話す。

アップルのアプリストアApp Storeではofoのダウンロード数は4億回ほどだが、ユーザー評価は2.5と低い。レビューには「最低最悪の会社」というものまである。

App Storeのofoのページに2月4日付で書き込まれていたコメント

デポジットが残高に

アプリの名前も「ofo返銭」に変わっている。

アプリ紹介によると、ofo返銭はEC用ショッピングアドバイザーで、「自転車シェア」「ショッピングとキャッシュバック」「デポジットの換金」「お友達紹介で現金プレゼント」の4つの利用法がある。

「キャッシュバック」機能はデポジット返金の代替処置といえる。ofoはユーザーのデポジットをアカウント残額として振り替え、ユーザーはofoのアプリを経由してタオバオなどのECプラットフォームで買い物すると、その購入金額に応じた額がキャッシュバックの形でユーザーに返金される。

ofoアプリVer.4.0のトップページ

生き残りを求めて

3年前、ofoは「シェアサイクルの先発者、先駆者」の栄誉に浴していた。

2017年6月、ofoが運営する自転車は600万台、サービスは4カ国100都市に広がり、利用回数は世界中で10億回を超えた。2016年10月から2017年半ばまでにofoは4回、合計10億ドル(約110億円)の調達に成功している。アプリダウンロード数がフードデリバリーの「美団外売(Meituan Waimai)」や中国語入力の「捜狗(Sogou)」を超えたこともあった。

自転車を磨くofoのメンテナンス要員(ofoのWeChat公式アカウントより)

2018年6月、ofoのデポジット流用事件が明らかになる。金額は100億元(約1500億円)を超えており、12月にはデポジットの取り付け騒ぎが始まった。

どん底のofoは徐々に「転身」を図り、起死回生を試みた。

ofo創業者の戴威氏はまずブロックチェーンへの転向に賭けた。ofoは 2018年4月にGSENetworkと提携している。ofoの自転車を利用するとGSEトークンを取得できる機能を追加した。 しかし、同年に海外事業を縮小したことによりGSEとの提携も解消した。

ofoが目を付けたもう一つの突破口はショートムービーだ。 2018年8月、ofoはアプリ内で短編動画広告サービス「視聴風暴」をローンチする。当初の広告料は、全国放映で1日あたり75万元(約1100万円)で、視聴回数にして1500万回分としていた。しかし、程なくして終了している。

2018年11月、ofoはP2P金融プラットフォーム「PP money」と提携、個人間融資事業に着手する。ユーザーが収めた99元のデポジットはPP moneyの資産100元分に変換され、ユーザーは恒久的にデポジットなしでレンタルサイクルを利用できるとした。しかし、ほとんどのユーザーがにわか仕立てのP2Pプラットフォームに個人情報を預けることに疑問を呈したため、このキャンペーンはすぐに終了する。

最後まで諦めなかった道はWeChat公式アカウント上でプロモーションを請け負う業務だ。以上のように収益化を模索したものの、最終的にはデポジットの返還額には及ばなかった。

刀折れ矢尽きて

2019年半ば、人民日報系の「環球時報」は、デポジットの払い戻しを待っているofoユーザーが1600万人以上、払い戻されるべきデポジットの総額は15億8400万~31億8400万元(約250億~500億円)というofo従業員の話を紹介した。 テンセントのニュースポータル「騰訊新聞」の調べでは、報道当時のペースで返済していくと完済するには82年かかるとしている。

ユーザーからの返還請求に加え、ofoはサプライヤーからも訴えられてきた。

「順豊速運(S.F.エクスプレス)」は裁判所にofoの預金1375万元(約2億1000万円)の差し押さえを申し立てた。自転車メーカー「上海鳳凰企業」傘下の「上海鳳凰自行車」はofoに対し6825万1100元(約1億円)の支払いを求めている。その他複数の自転車メーカーもofoの債務危機に巻き込まれ、それぞれが数千万円から数十億円相当の未払い金や違約金を請求している。

「我々は逃げない、負債の全額に関し責任を果たすため勇敢に生きる」。デポジット取り付け騒ぎの際に戴威氏はこう語った。

戴威氏が姿を消して間もなく1年、ショッピングアプリへの転身でofoは巻き返しを図れるか。

(翻訳・永野倫子)

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