アリババ傘下ショート動画アプリの「VMate」、中間層を開拓しインド版「快手」を目指す

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アリババ傘下ショート動画アプリの「VMate」、中間層を開拓しインド版「快手」を目指す

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ショート動画アプリ大手の「Tiktok(中国版では「抖音」)」と「Kwai(中国版では「快手」)」については、すでに数多くのストーリーが生まれたが、アリババ傘下のショート動画アプリ「VMate」も自分たちのストーリーを紡ぎ始めている。現在、ショート動画アプリの主戦場はインドであり、そこは中国のコンテンツプラットフォームが海外進出する際、最初に目指すマーケットでもある。

インド市場向けショート動画アプリ「VMate」は、昨年5月にアリババから1億ドル(約110億円)を超える出資を受け、アリババ新規事業創出部門のUC事業部から誕生した。誕生から半年が過ぎ、VMateのMAU(月間アクティブユーザー数)は3000万人から5000万人へ増加し、インド市場ではTiktokとライブ配信プラットフォーム「YY(歓聚時代)」傘下の「Likee」に次いで、3番目のショート動画プラットフォームとなった。

最近行われたメディアとの交流会においてVMateの程道放CEOは、なぜインドを選んだのかについて語り、メディアからの質問に答えた。

以下はその内容の抄訳。

ーーなぜショート動画で海外進出をされたのですか。

「私たちの海外業務の基本は『Copy from China』だ。新しい市場で新しいチャネルを作る時、私たちはなじみのあるビジネスを選ぶ。ショート動画は中国特有のビジネスモデルであり、例えばアメリカのインターネットサービスにショート動画アプリは少なく、ヒットしているのはやはりTiktokとKwaiだ。また、2017年はインド市場で4Gが普及した年であり、これはショート動画が発展するのにとても良いチャンスだった」

ーーVMateが市場を開拓するための具体的な戦略は何ですか。

「Kwaiが成功した主な理由は、中国の三、四級都市を市場として見いだしたことにある。これらの都市に住む人々は、自らも表現したいという気持ちがあり、さらにその能力もある。しかし実際のところ、中国のコンテンツプラットフォームはこのような人たちに友好的ではない。『微博(Weibo)』や『美拍(Meipai)』、『秒拍(Miaopai)』などに動画をアップするのは一、二級都市に住むルックスの良い流行に敏感な人たちばかりだ」

「インド社会は中国とかなり近い部分がある。まずインドは言語が多く、アプリの入力言語は22種類をサポートする必要がある。通常、一般的な業務を行う場合でも少なくとも8種類の言語をサポートする必要があり、これでようやく全体の80%の人々をカバーできる。また、貧富の差が大きい、女性の地位が低い、ダンスが好きなどの特徴もチャンスとなり得る。VMateはこれらの人々に平等な表現の場を提供している」

ーー中国国内ではTiktokとKwaiの熾烈な争いがありますが、VMateはインドで似たような競争に直面していますか。

「現在、3社の競争状態にある。1社目はTiktok、2社目はYY系のLikee、そして私たちだ。この3社の中で、VMateだけがKwaiと同じ路線を選択し、中間層から下の市場に切り込んでいる。TiktokとLikeeは都市部から市場を広げようとしている」

ーーインドは文化水準の差や地理的な距離が大きいと思います。その中で動画クリエーターやコンテンツの消費者になるユーザーをどのように引きつけるのですか。VMateの製品戦略はどのようなものですか。

「VMate全体の製品と運営の核心はすべて、コンテンツ制作をどのように運営していくかにある。どのようにしてユーザーを優良なコンテンツクリエーターに変えていくか。このためには2つの重要な問題を解決する必要がある。1つ目はなぜ動画を撮りたいかという動機の問題であり、2つ目は動画撮影ができるかどうかという能力の問題だ」

「動機については、同じ興味を持っている人たちを探し出す必要がある。コミュニティを通じてユーザーを鼓舞し、ユーザー間の共感を生み出し、安定した関係を築くことが重要だ。またインド市場では、ユーザーがクリエーターとして有名になればお金を稼ぐことができるという点を打ち出し、動機の問題を解決している。能力については、動画を撮る技術と良い内容が重要だ。VMateではシナリオを持っている一部のコアユーザーや、VMate自身のシナリオ作成チームなどと連携して動画制作をサポートし、イベントを通じて制作された動画を広げていく」

ーー中国のショート動画アプリはすでにECプラットフォームと提携し、動画を利用した商品プロモーションを行っていますが、VMateはインド市場で同様の試みを行いますか。

「ショート動画の収益化の方法はすでにはっきりしている。ライブ配信への投げ銭、商品プロモーション、広告に加え、インドではゲームも重要な分野で、ゲーム関連動画のプロモーションも多い。プラットフォームに対するユーザーエンゲージメント率が高ければ、ショート動画によって収益を上げられることはすでに証明されている。したがってVMateがインド市場で収益をあげるようになるのも時間の問題だ。しかし全体的にインドのECは中国に比べると様々な面でまだ未熟で、インフラ、物流に大きな差があるほか、オンライン決済もそれほど普及しておらず、大部分は着払いで、返品率も非常に高く、コストも高い」

ーー中国企業が海外進出する際の最大の問題は人材不足です。VMateはどうやってこの問題を解決されていますか。

「人材をどう組織するかは、確かに大きな挑戦だ。しかし、VMateの初期運営チームは2009年からインドに進出しているUCの出身者であるため、多くの社員がインドに常駐している。インド市場への理解度は国内で最も高いと言える」

「VMateチームの構築には2つの基本的なポイントがある。まずショート動画に詳しい中国人スタッフを6-7人インドに駐在させて、業務のノウハウを現地に伝えること。そしてコンテンツ内容の理解については、インドのチームに頼ることだ」

ーー今後1-2年のインドのショート動画市場をどのように予測されますか。

「インドのショート動画市場の可能性は非常に大きい。億元(約16億円〜)レベルの製品が生まれる可能性もある。しかしショート動画プラットフォームには非常に多くの資金が必要だ。動画を審査するために1年間にかかる費用は、普通のスタートアップでは資金が続かないほど多額になる」

(翻訳・普洱)

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