テスラ、中国地図サプライヤーをテンセントから「百度地図」へ切り替え 本当の理由とは

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EV大手の米テスラは1月17日、微博(ウェイボー)の公式アカウント上で、自社で扱う地図データのサービスプロバイダーを「百度地図(Baidu Maps)」に切り替えると発表した。 これまでテスラが使用していたのはテンセント(騰訊)系の地図・位置情報サービス「四維図新(NavInfo)」だった。

テスラはなぜ中国国内のプロバイダーを切り替えたのだろうか。そしてなぜ百度地図を選んだのだろうか。四維図新を切り捨てたことで、どのような影響があるだろうか。

四維図新に打撃

中国で普及している地図・位置情報関連サービスは、次の3つに大別できる。1つ目は地図サプライヤーで、位置情報に関するさまざまなデータを収集するもの。四維図新やアリババ系の「高徳地図(AutoNavi)」などが挙げられる。2つ目はサービスプロバイダーで、旅行やフードデリバリー、物流向けにソリューションを提供するもの。百度地図や高徳地図、「騰訊地図(Tencent Maps)」などが挙げられる。3つ目はこうしたデータやサービスを自社で実用化している企業で、配車サービス大手の「滴滴出行(Didi)」やO2Oサービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」、テスラなどが挙げられる。

四維図新はテスラの地図サービスプロバイダーではなく、位置情報データを提供する地図サプライヤーだ。

百度地図が今後も四維図新の位置情報データを使用し続けるのであれば、四維図新には何ら影響はないだろう。だが、百度地図と四維図新がライバル企業だということを考えれば、位置情報データを使用し続ける可能性があるかどうかは疑問だ。

数年前までは地図といえば車載型が一般的であり、市場は四維図新と高徳地図の独壇場だった。だが、2009年に高徳地図が有料版アプリをリリースし、車載型に代わる新たな道を開拓したことで、四維図新は大きな打撃を受けた。そこで、四維図新は2011年に百度地図と提携、百度地図の新たな市場開拓を全面サポートし、百度地図もその期待に応えた。

2013年8月には高徳地図を打倒すべくフリー(無料)戦略に打って出た。するとわずか1~2年で業界トップに躍進、市場シェアは一時66.3%まで拡大した。だが、翌2014年にテンセントが四維図新に11億7000万元(約187億円)を出資し、同社の第2位株主になった。百度地図は盟友の裏切りに驚き、これが後に両者が袂を分かつ原因ともなった。その後、両者の関係悪化は決定的なものとなり、2017年11月には、ついに法廷闘争にまで発展した。

こうした経緯を考えると、テスラとの協力に向ける百度地図が四維図新の位置情報データを使用し続ける可能性は低いとみられる。

百度地図は実績豊富

四維図新にとって、テスラは自動運転市場における極めて重要な盟友だった。

テスラの発表によると、現在、同社の完全自動運転用コンピュータを搭載した車両台数は60万台以上に上り、1日あたり200万マイル(約320万キロメートル)走行しているという。

四維図新は現在、テンセント系の騰訊地図のほか、配車サービス大手の「滴滴出行(Didi)」やEC大手の京東(JD.com)傘下の地図サービスに基礎データを提供している。だが、こうした裏方に徹するのではなく、自動運転市場でソリューションプロバイダーとして表舞台に立ちたいという野望がある。

四維図新の2019年第3四半期(7~9月)の決算報告書によると、売上高は前年同期比15.34%減の4億5100万元(約72億円)、純損失は6141万5500元(約9億8000万円)と、前年同期の純利益5597万400元(約8億9000万円)から大幅な赤字転落となった。ただ、2019年上半期(1~6月)の決算報告書には、自動運転事業の売上高が前年同期比140.83%増の4831万4400元(約7億7000万円)に上ったとの記載があり、急速な成長を示していたことから決算内容を好感する見方が広がった。

中国の企業情報サイト「企査査(Qichacha)」によると、四維図新は自動運転事業で主にBMWやダイムラー、ホンダ、テスラなどの大手自動車メーカーと協力している。

一方の百度地図には豊富な実績がある。百度地図は膨大なリアルタイムの交通情報に基づき、中国全都市の道路状況をカバーしているほか、テスラの大画面タッチパネルにも対応している。

さらに、百度地図を提供するバイドゥ(百度)には自動運転分野で長年培ってきた豊富な実績があるということを忘れてはならない。

バイドゥは今から7年前に自動運転の研究開発に乗り出した。バイドゥの李彦宏(ロビン・リー)CEOによると、同社がこれまでに取得した自動運転の路上試験ライセンスは計150件と、中国で交付された路上試験ライセンスの半分以上を占めるほか、北京市で交付されたレベル4(国内最高レベル)の路上試験ライセンス5件は、すべてバイドゥが取得したという。

一方、四維図新が取得したのは最高でもレベル3止まりであり、バイドゥの試験レベルのほうが高いうえ、データの蓄積も豊富なことは明らかだ。よって、テスラが百度地図を選んだのも納得がいく。

では、高徳地図はどうだろうか。なぜテスラは高徳地図を選ばなかったのだろうか。それは同社がテンセントにとって最大のライバルであるアリババ陣営側に属するからだ。一方、テンセント(騰訊)のほうは2017年3月に17億7780万ドル(約1950億円)でテスラ株の5%を取得し、主要株主の一角に加わっている。このことからして、テスラが高徳地図を選ばなかったのは当然といえば当然だろう。

自動車のスマート化が年々進むなか、テスラとバイドゥの連携は今後、自動運転市場に波乱を巻き起こしかねない。いや、もしかしたらすでに新たな変化があちらこちらで密かに起きているのかも知れない。

作者:鋅刻度 (Wechat ID:znkedu) 陳鄧新
(翻訳・北村光)

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