トヨタ合弁会社が天津に新工場建設、BYDと共同開発のEVを生産へ

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トヨタ自動車と中国第一汽車集団の合弁会社「一汽トヨタ自動車(Tianjin FAW Toyota Motor、TFTM)」が中国の天津市に新工場を建設中だと証券関連メディア「財聯報」が報じた。新工場は年間生産台数20万台に上る新エネルギー車の製造拠点で、建設に約85億元(約1300億円)を投じる予定だという。同社は2018年に天津の泰達工場を新エネルギー車生産仕様に改装しており、今回の新工場建設はそれに続く新エネルギー車生産能力の拡充策となる。

新工場は天津の濱海新区に建設され、敷地面積は197万平方メートル。将来的には中国の新エネルギー車大手BYD(比亜迪)と共同開発した車種を生産する可能性が濃厚だ。これは同工場がトヨタ独自のEVプラットフォーム「e-TNGA」を採用した車種のほか、BYDの「e-platform」をベースとした純電気自動車(BEV)も生産する可能性を指す。

トヨタとBYDの提携の動きはすでにあった。昨年7月、両社はセダンや低床SUVの共同開発を行うことで合意したと発表。同11月にはそれぞれが50%ずつ出資する合弁会社を設立すると発表した。新会社ではBEVの研究開発を手がける予定で、2020年に中国で設立するとしている。同社の関係者によると、同社では主にBYDのe-platform技術を用いるという。

電気自動車に関してはハイブリッドカーを重視してきた一汽トヨタは、BEVに関する初動が遅れた。昨年6月になってようやく完全電動化戦略に舵を切り、同年にBEV向けのe-TNGAを発表している。中国ではこの数年にわたり、BEVのほうが大きく脚光を浴びてきたが、ハイブリッドカーは市場でBEVほどの歓迎を受けなかった。

そこで一汽トヨタは昨年、これまでの戦略を急転させ、「6年以内に全車種を電動化する」と宣言。目標販売台数を100万台とした。

一方のBYDは目下、EVの中核を成す「モーター、バッテリーセル、VCU(車両制御ユニット)」関連の技術を全て備えた世界唯一の新エネルギー車メーカーだ。2018年に発表したBEV向けの技術プラットフォームe-platformは、駆動システム、パワードライブユニット、ダッシュボード、エアコン、オーディオ、スマートキーなどの制御モジュールを網羅し、最大限に標準化およびモジュール化を図った設計を採用しており、車両の性能強化はもちろん、中核部品の軽量化や省スペース化を実現できる。

BYDのこうした三位一体型の技術は業界で強みを持ち、e-platformは全技術が対外的に開放されている。

新エネルギー車の技術プラットフォームはガソリン車以上に多様性が求められる。市場競争が過熱するに従い、ガソリン車との兼用プラットフォームでは立ち行かなくなってきているのだ。中国の新エネルギー車は三~四級都市(地方都市)で競争を繰り広げており、中~高価格帯のEVが成長中の地方市場を勝ち抜くには、短期間で技術の拡充を達成することが極めて重要だ。BYDはe-platformを開放することで開発コストの削減だけではなく、開発期間の短縮を実現し、さらに技術的優位性を固めている。

BEVにおいては技術力と販売台数という二重の足かせを抱える一汽トヨタが、BYDの技術プラットフォームの力を借りて複数の車種の量産に漕ぎつけ、目標販売台数を達成し、BYDブランドの後ろ盾によって工場建設資金を調達できるなら、それこそ三重の利益を得ることになる。

一汽トヨタは今年、初のBEVを正式発表するとみられる。将来的にはHEV(電気式ハイブリッドカー)、PHEV(プラグインハイブリッドカー)、FCEV(燃料電池自動車)、EVなどで複数の車種を市場に投入してくるだろう。一汽トヨタの本拠地である天津市の計画では、年内に同プロジェクトを確実に前進させたい構えだ。
(翻訳・愛玉)

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