【振り返り】新型コロナ期間中でも争い止まず、中国インターネット大手各社の春節合戦

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中国で新型コロナウイルスによる肺炎が突如発生し、多くの企業で春節(旧正月)期間のプロモーションの予定が狂ってしまった。しかし、企業間の争いの勢いがそがれることはなかった。

ショート動画投稿アプリ「快手(Kuaishou、海外版はKwai)」は1月25日、提携パートナーとなったCCTV(中国中央テレビ)の大みそか特別番組「春節聯歓晩会」(以下、春晩)に関するデータを発表。同社が手掛けた視聴者参加型「紅包」(お年玉)イベントの参加者は世界中で延べ639億人と昨年実績を大きく上回り、獲得した「いいね」の数も春晩史上最多だったことを明らかにした。

この結果は最初から分かっていたようなものだった。春晩に先立ち、多くの芸能人が「快手アプリで総額10億元(約160億円)の紅包をもらおう」イベントの宣伝をインターネットやテレビなど各媒体で全面的に展開していた。快手のライバルである「抖音(Douyin、海外ではTikTok)」も春晩の提携パートナー権を獲得した快手に対抗し、「抖音アプリで総額20億元(約320億円)の紅包をもらおう」とのスローガンを掲げ、多くの地方衛星放送局で宣伝活動を行った。

中国で恒例の春節映画も新型肺炎の影響で公開延期が相次いだ。こうした中、抖音と動画プラットフォームの「西瓜視頻(Xigua Video)」、ストリーミングメディアプラットフォームの「歓喜首映(huanxi.com)」、ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」は共同で、春節映画「囧媽(Lost In Russia)」を春節元日の1月25日からオンライン公開すると発表し、一時は大きな波紋を呼んだ。特殊な状況となった今年の春節休暇中、インターネット各社の水面下の戦いが止むことはなかった。

春節休暇は今やインターネット各社の勢力争いの場となった。実は、この時期の戦いを始めたのは中国のIT大手テンセントが手掛けるメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」とEC(電子商取引)大手アリババ傘下のモバイル決済サービス「支付宝(アリペイ)」だ。

Wechatがアリペイに仕掛けた奇襲

2014年の春節まで1カ月を切った同年1月10日、テンセントはチャットアプリWechat(微信)で「紅包(お年玉・お小遣い)の送受信や受領した電子マネーの現金化ができる機能の開発に乗り出した。紅包の額面設定方法は2種類。個別に額面を設定する方法と、全ての紅包の額面を一律とする方法だ。

本来は内部テスト段階の機能だったが、新鮮さと面白さが受けてすぐに広まった。同年1月28日午後には「新年紅包」のアイコンがWechatの「我的銀行卡」(本人の銀行カード)ページに登場。6億人以上のユーザーが「微信紅包」ページにアクセスし、紅包を渡せるようになった。

微信紅包の登場は中国のオンライン決済の構図を大きく変えた。アリババグループ創業者のジャック・マー(馬雲)氏は同年1月末、微信紅包を第2次世界大戦時の「真珠湾攻撃」に例え、計画も実行も完璧な奇襲攻撃だと評した。

微信紅包が掘り起こしたユーザーは、微信のモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」の急速な発展につながる初期ユーザーとなった。これらのユーザーは、微信支付のリリース当初、導入事業者やユーザーの期待に応えるシステムを構築するのに役立った。微信紅包の快進撃を受け、テンセントはさらなる攻勢をかける。

2015年の春節の大みそかまで残り2日となった同年2月16日、テンセントはCCTVの春節聯歓晩会(紅白歌合戦のようなスペシャル番組)と微信が提携することを正式に発表。生放送中にさまざまな視聴者参加型イベントを行うほか、微信ユーザーは「揺一揺」(シェイク機能)を使い、企業が協賛する総額5億元(約80億円)以上の微信紅包を当てることもできると明らかにした。そして18日夜8時、春晩が始まるとともに、中国インターネット業界で語り継がれる支付宝と微信による春節の紅包合戦の火蓋も切って落とされたのだ。

微信が発表したデータによると、大みそか当日の微信紅包の送受信件数は述べ10億1000万件。最も重要な点は微信支付のユーザー拡大に寄与したことだった。一方、支付宝が発表したデータでは、支付宝紅包の送受信件数は大みそか当日の24時間で2億4000万件にとどまった。ただし、アリババはその後も2016~18年の3年にわたり、春晩の最高位スポンサーを務めている。

15年の春晩から続く微信と支付宝の激しい戦いが中国のモバイル決済の急速な普及を促し、さまざまな革新を生み出した。春晩はインターネット各社の決戦の場へと変わっていったのだ。

作者:「深響」(ID:deep-echo)、依民

(翻訳・池田晃子)

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