家電メーカーTCL、2019年のテレビ販売台数は世界2位 今年もQLEDテレビをリリース

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家電メーカーのTCLは2月27日に開催した2020年春季新製品オンライン発表会で、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、スマートロックなど様々な製品を一度にリリースした。

TCLの王成CEOによると、2019年のテレビ販売台数は前年比12%増の3200万台に上り、世界第2位、中国トップだった。TCLの海外事業は、全体の売上高に占める割合が55%に達し、貿易摩擦が続いた昨年も成長を遂げた。

世界的にはテレビ販売が頭打ちとなっている。家電市場調査機構の「AVC Revo」によると、2019年上半期(1~6月)の世界のテレビ出荷台数は前年同期に比べ0.7%減少。また、中国電子商会(CECC)が発表した同時期の中国のテレビ出荷台数は0.3%減だった。こうした状況の中、TCLのテレビ販売台数が12%増えたことは注目に値する。

2020年は、マイクロソフトとソニーが新たなゲーム機を発売する見通しで、高リフレッシュレートモニターの需要が高まる可能性がある。すでにTCLやLGなどのメーカーは対応を進め、リフレッシュレート120Hzに対応するテレビをリリースした。

今回の発表会でリリースされた「C8 QLED TV」は、量子ドット技術「Pro 2020」を採用し、コンテンツ技術「IMAX Enhanced」の認証も受けている。価格は55インチが7999元(約12万円)、65インチが9999元(約15万円)、75インチが1万2999元(約19万5000円)。

21.5インチの大型モニターを搭載したスマートホーム冷蔵庫「C5」もリリースされた。この冷蔵庫は、指紋認証に加えて顔認識も可能で、家族それぞれにカスタマイズされたレシピを提供する。

その他にTCLは、エアコンの「U潤」「T睿」「i漣」シリーズ、二層ドラム式洗濯機「X10」、IoTスマートロック「K6X」などをリリースしている。

製品ラインナップが充実している家電メーカーであるTCLの強みは、スマートデバイスの相互接続ができることだ。例えば、冷蔵庫のモニターをテレビとつないでキッチンにいながらオーディオコンテンツを楽しむことや、全ての家電をひとまとめにして人の手を介さないオートコントロールも可能となる。

TCLは発表会の最後に、スマートエコシステム「T-LODGE」をリリースすると共に、同社の「AI×IoT戦略」を支える技術研究開発グループ「鴻鵠実験室(Honghu Laboratory)」を立ち上げたことを明らかにし、スマートホーム化のソリューションを提供する体制を整えた。

中国には2種類のスマートホームプラットフォームがある。一つは京東(JD.com)やアリババといった電子商取引(EC)事業者で、自身の強みを活かし製品メーカーと提携している。一方のシャオミ(小米科技)に代表されるエコシステムチェーン企業は、自社で製造する製品を閉鎖的なシステム内でつないでいる。後者の陣営は、製造業が多いものの大手企業が少なく、EC事業者に比べ勢力が弱い。

TCLは、後者の陣営の中でも全製品ラインナップを有する数少ない企業の一つだ。テレビメーカーのTCLはディスプレーをスマートホームの中心に据え、冷蔵庫などの製品に搭載する大型モニターも提供することで子会社の「華星光電(CSOT)」がつくるフラットパネルの製品力を活かしており、スマートスピーカーの開発に注力するEC事業者とは異なる路線を歩んでいる。

現時点ではどちらのやり方がベターかはっきりしておらず、海外のグーグルやアマゾンのように市場を支配するプラットフォームはまだ現れていない。こうした中、2種類のプラットフォームが自発的に接触を図り、共同成長を目指す動きがみられる。

統計によれば、中国ではライト、スイッチ、テレビなどの設備と接続済みのスマートスピーカーは10%に過ぎず、スマートホームの普及率はわずか5%にとどまっているため、企業同士でぶつかり合うよりも、急速なシェア拡大に重きが置かれている。

画像提供:unsplash.com
(翻訳・神戸三四郎)

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