巨額の資金が流入するベトナム 東南アジアの次なる有望投資先に

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巨額の資金が流入するベトナム 東南アジアの次なる有望投資先に

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今年、東南アジアで有望な投資先として注目を集めるのはおそらくベトナムだろう。

昨年初め、ベトナムのフィンテック企業「Momo」が米プライベートエクイティファンドの「ウォーバーグ・ピンカス(WarburgPincus)」から1億ドル(約109億円)を調達した。同年7月には、ソフトバンクとシンガポールの政府系ファンド「GIC(シンガポール政府投資公社)」がベトナムの決済サービス企業「VNPAY」に3億ドル(約324億円)を出資。10月にも、シンガポールの政府系ファンド「テマセク・ホールディングス」が、eコマース向けに物流サービスネットワークを提供するベトナムの物流会社「Scommerce」へ出資した。具体的な金額は非公開だが、出資額は1億ドル(約109億円)を超えるとも言われている。

ベトナムに流入する巨額の投資マネーのほとんどは、成長の著しい業界に集中している。その背景にあるのは増加を続ける消費者と購買力だ。シンガポールのVC「Cento Ventures」のリポートによると、2019年末までにベトナムが調達した資金は8億ドル(約870億円)を超える見込み。統計に含められていない取引が多くあることを考えると、ベトナムへの投資総額は10億ドル(約1090億円)になるとも考えられる。

では投資以外に、ベトナムのテック企業に大きな影響を与えたどんな出来事があっただろうか。

配車サービスで独り勝ちのGrab

2018年4月に米配車サービス「Uber」が東南アジア市場から撤退した。同じ配車サービスを展開するシンガポール発の「Grab」はこのチャンスを生かして市場シェアを拡大、一気にリードを奪った。Grabはベトナム市場に特に力を入れており、同年8月には5億ドル(約540億円)を投入することを発表。現在ではベトナムの43の省や市で配車サービスを展開しており、プラットフォーム上の車両は19万台に上る。

市場調査会社「ABIリサーチ」によると、Grabのオーダー数はベトナム全体の73%を占めている。一方、Grabの最大のライバル「Gojek」は苦戦を強いられている。ベトナムに設立した子会社「Go-Viet」は管理体制がずさんなことに加え、キャッシュレス決済「Go-Pay」や配車サービス「Go-Car」もいまだ開始できていない。

ベトナムには他にも「FastGo」や「Be」などの配車サービスがあるが、市場で最も影響力を持つ企業はGrabだろう。とはいえ、ベトナム政府は交通運輸業界に対する管理規定を打ち出す方針で、配車サービスに対しても何らかの規制が設けられる見込み。

拡大する電子決済

2020年、ベトナムのフィンテック産業全体の時価総額は78億ドル(約8500億円)に達すると見積もられている。ベトナムでは決済の約7割を現金が占めているが、人々はキャッシュレス決済の利点に気付き始めている。

ベトナム政府は現金決済の比率を10%に引き下げる目標を掲げている。年内の目標達成は難しいとみられるが、ベトナム国内のフィンテック企業約150社は消費者の決済の習慣を変えるべく全力を尽くしている。

しかし、フィンテック企業の外資による株式保有比率の上限を49%とする政策が施行される予定だ。資金調達に頼ってきた小規模企業は影響を受けるとみられるが、MomoやVNPAY、「Moca」などの大企業は規模を生かしてさらなる勢力の拡大を進めるだろう。

5Gレースの行方は

2019年、ベトナムでも5Gネットワークの構築が始まった。

5G設備の建設を巡り、ベトナムはファーウェイ(華為技術)製を採用するかどうかを、いまだ決めかねている。国産設備の開発をリードしているベトナム最大の通信事業者「Viettel」も、5Gチップの自社開発を進めているという。

同時に、海外のサプライヤーも5G対応のハード機器をベトナムに売り込もうと必死だ。ファーウェイはベトナム市場を諦めておらず、現地企業との提携を進めている。米クアルコムはベトナム政府の関係者と会談を持ち、ベトナムの5Gネットワーク実現を全力でサポートすることを約束した。

2020年は、大手企業各社が自身の5G技術をアピールすると思われるが、ベトナムで5Gが大々的に普及するまでには、まだ数年かかるだろう。

外国企業を警戒

ベトナム政府は大規模なテック企業に対する規制を強めたい意向だ。

2018年6月、ベトナムでサイバーセキュリティー法が可決された。これによりGoogleやFacebookなどのグローバル企業がベトナムに事務所を設立する際、ベトナム国内のサーバーを経由してデータを保存することが規定された。しかし同法律の強制力は弱い。同月にはさらに税収管理法を改正し、クロスボーダー取引を取り扱う商業銀行に対して、取引先に代わり税金を徴収するよう求めた。このほかOTT企業(動画・音声などのコンテンツ・サービスを提供する事業者)の管理を強化するための法令も打ち出すという。

事業者への管理強化に加えて、ベトナム政府は地元テック産業に、GoogleやFacebookなどのグローバル企業に代わる自国サービスの開発を呼び掛けている。
(翻訳・畠中裕子)

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