【分析】生活関連サービス、中国2強の「美団」と「アリババ」の対決は続く

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新型肺炎流行で利用が急増しているフードデリバリーなど生活関連サービス分野で中国の2強となったアリババグループと美団点評(MeituanDianping)――。この2陣営が激しく競り合う構図は今後もまだまだ続きそうだ。広告収入などに収益源を広げようとする美団に、キャッシュレス決済のアリペイ(支付宝)などを傘下に抱えるアリババはグループ総合力で対抗、顧客獲得やシェア拡大、収益率向上といったあらゆる面で競い合う見通しだ。

レストランなどの口コミサイトやフードデリバリー、シェア自転車を傘下に収める美団の時価総額は2019年に140%も増加、アリババの61%、京東の70%、拼多多の76%を上回る成長をみせた。一方、アリババグループは18年10月にフードデリバリーの「餓了麼(Ele.me)」、口コミサイトの「口碑(koubei)」を統合して生活関連サービスの「阿里本地服務公司(ALSC)」を設立、美団と長期にわたって対抗していく姿勢を鮮明にしており、2強対決の構図が固まった。

今年1月下旬以降、美団の株価は14%近く下落、他のいくつかの巨大企業以上の下げを演じた。春節連休は本来、外食産業や旅行業の書き入れ時であり、新型コロナウイルスの感染が広がったため突如停滞、美団の手数料収入や広告収入にも影響を与えている。こうしたマイナス面を株式市場が懸念したのだ。

だがフードデリバリーはレストランが閉店に追い込まれる前の最後の砦でもある。ある配達代行企業の創設者である劉松氏は36krに対し「春節中のデリバリー取引の合計額は前年同期の約30%にとどまったが、外食需要の一部はデリバリーにシフトした。春節は本来、主要都市の人々が帰省するためデリバリーが活発な時期ではなく、通年でみれば(肺炎の)影響は大きくない」と明らかにした。長期的にはデリバリーに頼る習慣はより強固になり、飲食業のオンライン取引比率はさらに高まるとみられている。すでに生鮮食品宅配は外出制限を追い風に注文量が爆発的に増えており、美団の自社通販や、加盟店のプラットフォーム方式をとるアリババ傘下の餓了麼は急成長している。また03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の時期の経験からは、流行終息後に外食産業の反転がもっとも早かった。

成長持続へ美団が描くのが広告収入の拡大だ。微団の収入源は①レストランのネット予約などの際に事業者から徴収する手数料②ユーザーから徴収する配送料③事業者からの広告費――の3つに大きく分けられる。競争激化の中で手数料や配送料の引き上げは特に小規模の事業者やユーザーの離反を招く。残る選択肢は③の広告料の値上げ、というわけだ。特に大量のアクセスがあるプラットフォームにとって広告料はもっとも手っ取り早く利益率が高い収入

実際、美団は19年4-6月期以降の決算発表後の幹部会議で「広告を出稿する業者数を増やす努力をしており、広告商品の多様化によって広告収入も増える」との見通しを明らかにするとともに「今後、数四半期は広告収入の増加が最大の増収要因となるため、当面、事業者からの手数料引き上げはしない」との考えを示している。

黒字化を果たし、営業キャッシュフローも純流入に転じたことで、新規事業戦略も積極化している。今後、優先して資源投入を強め強化していく分野としてまず挙げられるのは生鮮食品宅配の「美団買菜」。新型肺炎の流行でニーズが急増しているためだ。次にシェア自転車。新規事業の中で唯一、1日あたり1千万件以上という膨大な利用件数を誇り、美団のグループ内の他のスマホアプリとの間で相互にサービスを利用する「クロスセリング」の増加にも貢献しているビジネスだ。最後に外食向けB to Bビジネス。具体的には外食事業者向けSaaS(Software as service)の一つ、財務管理・仕入れや商品管理する総合プラットフォームの「快驢」などだ。これらは現状では利益には貢献していないディフェンシブな事業だが、キャッシュフローが潤沢な今は存分に展開できる状況にある。

一方、アリババも手をこまぬいてはいない。北京、上海、広州などの主要大都市では傘下の餓了麼と美団点評とのシェア争いは膠着状態に入ったが、阿里本地は昨年、多くの地方中小都市で半年間の特典提供キャンペーンを実施した。この動きは今年も続きそうだが、この中では、グループ内のアントフィナンシャルが展開する巨大なモバイル決済手段、アリペイ(支付宝)と提携することで、顧客獲得コストを抑制し、グループ内の他サービスとのクロスセリングを促す動きがさらに活発化するとみられる。

中国のビジネスニュースメディア「晩点」の報道によると、阿里本地董事長を兼務する予定の胡暁明アントフィナンシャルCEOはアリペイと餓了麼だけでなく、オンライン旅行予約サイトの「飛猪」などとも連携して生活関連サービスを提供し、総合力で美団に対抗していく考えを示した。アントフィナンシャルは阿里本地を利用する個人業者・顧客に対しては消費者金融などを、また企業などB to Bの顧客には「サプライチェーン・ファイナンス」サービスを提供することで差別化を図っている。

※サプライチェーン・ファイナンスとは購買-生産-販売といった一連の企業活動(サプライチェーン・マネジメント)に、必要な資金を迅速かつ低コストで提供すること。

美団と阿里本地との競争において、表面的な関心事は両社の市場シェアが6対4となるのか、または7対3にひらくのかという点に向かっているが、より重要なのはアリババ側が中核事業であるネット通販事業で追い上げてきた拼多多との闘いに全力を尽くすなかで、阿里本地にどれだけの忍耐力と資金を注ぐことができるのか、という点だ。その答えは今年はっきりするだろう。

(翻訳・池田晃子)

(編集・後藤編集長)

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