新型コロナ禍でも好調な中国ブランド中古品市場、そのビジネスの裏側に迫る

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2月末、高級ブランド品の中古品を取り扱うライブコマース「妃魚(Feiyu)」を運営する上海妃魚網絡科技がシリーズAで数千万ドル(約数十億円)を調達したと報じられた。

この時期に資金調達という明るいニュースが飛び出したことは、高級ブランド品の中古品販売市場が新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず活況であることと無関係ではないだろう。36Kr傘下のメディア「零售老板内参」がタオバオに出店する複数の中古ブランド品ショップに取材したところ、各店舗とも新型コロナウイルスの流行以来、販売量が増加したと答えた。感染防止のために行動が制限されたことでライブ配信を視聴する人が増加し、購買意欲がかき立てられたと考えられる。

仕入れ先で明暗分かれる

客足は途絶えない一方、高級ブランド品の中古品を手掛けるバイヤーの志民さんは商品の仕入れに頭を痛めている。日本在住の志民さんは、中国から商品を買い付ける。仕入れ専門の会社を探し、安定した商品供給を確保するというのがその方法だ。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、志民さんが提携している仕入れ会社からの納品が不安定になりだした。現地の従業員は春節の休暇が明けても職場復帰することができず、仕入れが進まなくなっている。さらに中古品を売りたい顧客も、宅配業者との接触を嫌い、流行が落ち着くまで待つという態度を見せている。

商品の仕入れが滞る中、志民さんはライブ配信の回数を減らして対応している。それでも販売そのものの落ち込みはないため、「商品が十分にあれば、売り上げは飛躍的に伸びたはずだ」と悔しがる。

一方、仕入れ問題とは無縁のバイヤーもいる。中国の顧客向けに代理購入を行っている付春さんは、日本の中古品ショップから商品を仕入れているため、安定した販売を維持できている。春節期間中、付春さんのショップでは販売量が2倍に増加したという。

委託販売、転売

客足が鈍く、仕入れもままならない小さなショップの場合、高級ブランド品の中古品販売ビジネスに参入する最も簡単な方法は委託販売だ。中古品を売りたい人から委託を受け、ショップ内で販売するというもので、買い手が付けばショップ側に手数料が入る。売れない場合は商品をそのまま返却するので、ショップ側は在庫を抱える必要もない。手数料の相場は販売価格の10~20%。販売価格が1万元(約15万6000円)のブランドバッグなら、1000~2000元(約1万5000円~3万円)が手数料として差し引かれる計算だ。

このほか、転売で稼ぐ人もいる。ブランド品を委託販売に出す人の中には、相場を知らず販売価格をかなり低く設定するケースも多い。ショップでは基本的に価格設定に口を挟むことはないため、相場が1万5000元(約23万3000円)のブランドバッグでも、売り主が販売価格を1万2000元(約18万7000円)に設定すればそのまま販売する。業界に通じた人はそれをすかさず買い取り、転売することで差額の3000元(約4万7000円)を手にするというわけだ。

しかし、中国市場での委託販売は暫定的な手法に過ぎないとの見方もある。中国ではブランド品の鑑定スキルが低く、中古品販売の環境も整っているとは言いがたい。さらに委託販売中に商品に傷がつくなどの問題が発生した場合、責任の所在も不明確だ。

中古品販売プラットフォームは苦戦

昨今の中古品市場の拡大に伴って、大手を含む新規参入が増加している。高級ブランド品の中古品販売プラットフォームも急成長しているが、実際の取引はかなり断片的だ。

高級ブランド品の愛用者の中には、プラットフォーム上での買い取りサービスを好まない人も多い。買い取り価格が低いというのがその理由だ。委託販売なら自分の望む金額で売りに出せる。しかし買い手が付くという保証はなく、売れなければ結局は価格を下げるしかない。そうではあっても、プラットフォームの買い取りサービスで安く買いたたかれるよりは、委託販売に賭けるというのだ。

高級ブランド品の中古品を購入する場合にも、プラットフォームではなく信頼できるバイヤーからの購入を好む傾向にあることが取材で明らかになった。バイヤーの方が商品を豊富にそろえている上、プラットフォームでは偽物をつかまされるのではという不安があるからだ。

一般的にプラットフォームの販売手数料は割高で、出荷速度もプロのバイヤーには及ばないため、高級ブランド品の中古品市場でプラットフォームが優位に立つことは不可能だ。プラットフォームがいかに巨大になろうとも、柔軟な価格設定ができて流通スピードの速いショップやバイヤーが駆逐されることはまずないだろう。

作者:零售老板内参(ID:lslb168)、何寒秀
(翻訳・畠中裕子)

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