新型コロナ流行を追い風に急成長、アリババ一押しの生鮮EC「盒馬ミニ」の戦略

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アリババ系の次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」の新型コロナウイルス流行後の新戦略が注目される。

3月19日に開催された盒馬の新年戦略発表会にて、盒馬の侯毅CEOは、新型コロナウイルス流行期間中における盒馬の業績を総括し分析した。出店、入荷、労働力、流通のいずれも新型コロナウイルス流行によって長期的な影響を受けている。

同発表会で、侯CEOは今年の出店計画も発表した。2020年末までに、中国全土に盒馬鮮生を100店舗、上海には盒馬の小型スーパー「盒馬mini(Hema mini)」を少なくとも100店舗オープンし、市全体をカバーする計画だ。

侯CEOは、盒馬鮮生と盒馬miniのコンビネーションによって出店を拡大する構想を持っている。大型店舗の盒馬鮮生で主要市街地の商圏を押さえ、小型店舗の盒馬miniで周辺をフォローすることにより、盒馬をより地域に浸透させていきたいという。

盒馬の主要市街地への進出がほぼ完了するのにともない、大型の盒馬鮮生の出店はペースダウンし、店舗の役割もブランド確立や顧客満足度の向上へとシフトしている。産直サプライチェーンの整備により、盒馬miniでも大型店舗同様の高品質な品揃えが可能となった。盒馬miniの売上高は、今後数年間で盒馬グループ総売上高の50%にまで増加するだろう。

発表会の席上、侯CEOはさらに大胆な決断を述べた。「盒馬miniは我が社の究極の目標であり、生鮮ECの主要モデルである」

なぜ盒馬miniなのか

この決断にいたるまで、盒馬は1年に及ぶ内部テストを行い、盒馬miniと「盒馬小站(Hema Xiaozhan)」の業績を比較し検証を行った。

店舗展開の速さでは、盒馬小站に分がある。開店コストと店舗用地選定の要件基準が低いことから、テスト期間だけで70店舗を出店し、上海にとどまらず杭州などの周辺都市にも進出した。同じ期間に盒馬miniの出店は6店舗のみだった。しかし、盒馬miniは来客数と商品構成では盒馬小站を凌駕している。

結果として、コスト、効率、来客数、サプライチェーンなど多方面において最良の選択は盒馬miniだと判断された。盒馬小站は新型コロナウイルスの流行中にも利益を上げていたが、この業態の廃止が決定された。盒馬小站のほとんどは盒馬miniにアップグレードされるか、閉店となる。

ウォルマートの社区(中国独自の地域コミュニティー、行政単位)ストアやテンセント出資の「永輝超市(Yonghui Superstores)」はすでにかなりの勢力になっており、台湾の「大潤発(RT-Mart)」なども参入しつつある。多くの資本や巨大サプライチェーンの実力者が参入する中、盒馬miniが優位に立つにはどうすべきだろうか。

一つはテクノロジーの更なる利用だ。生粋のニューリテールである盒馬miniはデジタル化とスマート化を基軸としており、どの店舗もオンラインでの売り上げが50%を超えている。もう一つはサプライチェーンの拡充だ。盒馬は野菜や果物の産地直送システムの構築など、品揃えの差別化に尽力してきた。侯CEOは、2020年末までに商品の50%を盒馬プライベートブランドにするという目標を掲げている。

新型コロナウイルス流行が盒馬にもたらしたもの

新型コロナウイルス流行の最も直接的な影響と言えば、注文数、販売量、顧客数の大幅な増加であろう。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、盒馬鮮生のオンライン注文数は前年同期比220%増と急増した。モバイル関連データ統計会社「Quest Mobile」の調べでは、今年の春節期間中、盒馬鮮生アプリのDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は前年同期比で127.5%増加したとのことだ。

用地取得に関しても予想外の収穫があった。新型コロナウイルス感染症蔓延のため、オンラインでの営業ができないスーパーマーケットや飲食店は生鮮市場から撤退を余儀なくされ、街中に多数の空店舗が出た。こうした空き店舗は、盒馬が新店舗を進出させる場所を選定する上で大きな助けになった。

新型コロナウイルスの爆発的な拡大によって、家であまり調理しなくても食べられる惣菜や調理・加工済み食品のカテゴリーがクローズアップされた。盒馬は自前の調理センターを持っていたが、スマート化が不十分だったため、新型コロナウイルス感染症の影響が最も激しかった時期に、生産能力が需要に遠く及ばず、爆発的に増えた注文に対応しきれなかった。盒馬は今年初めて、調理・加工済み食品3R事業部(3R=Ready to cook, Ready to heat, Ready to eat)を設置、組織全体でこの分野の速やかな拡大を目指す。

人材面では、盒馬はグループ内でスタッフシェアリングを開始し、外食企業40社以上から5000人の派遣社員を受け入れた。盒馬は今後、このスタッフシェアリングを社会全体に拡張し、働く意欲のある人が空き時間を活用して盒馬で働く仕組みを作ろうとしている。盒馬によると、このプラットフォームは4月には公開される予定だ。

配達方法も変化した。盒馬は、元々バラバラだった配送注文をまとめて団地に届け、注文者が所定の場所まで自分で取りに行くという「社区共同購入」を試験的に導入した。

盒馬関係者によると、盒馬は上記社区共同購入システムを内部テスト中であり、利用者はこのシステムを通じてオンラインで注文し、社区の所定の場所で受け取る。このサービスを今後も継続するかどうかは、内部テストの結果次第だ。

新型コロナウイルス流行による目まぐるしい状況変化に対応し、新型店舗戦略を柔軟に切り替え、盒馬は常に試行錯誤の下、突破口を切り拓いてきた。侯CEOの願いは、盒馬に「自己変革を怠らない業界リーダー」というイメージを定着させることである。
(翻訳・永野倫子)

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