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ロボット掃除機メーカーの老舗といえば「ルンバ」を世に送り出した米「iRobot」だろう。30年前に設立された同社は2005年に米NASDAQに上場し、ロボット掃除機メーカーとしては世界最高の時価総額、最大の市場シェアを有する企業となった。iRobotの公式発表によると、300ドル(約3万円)以上のロボット掃除機の販売において、中国を除く世界市場で実に60%のシェアを誇るという。
市場全体への自信を胸に、iRobotは設立30周年というタイミングで最上位モデル「ルンバs9+」を中国に投入することを決定、同機種は3月8日にオンライン上でリリースされた。
最新のルンバs9+の特徴は3つある。まず光学3Dセンサーを活用した「Perfect Edge」テクノロジーを搭載したことで、壁際やコーナーまで徹底的に清掃することができるようになったこと。次に吸引力が40倍に向上したことに加え、花粉やカビなどのアレルゲンを99%カットできる「アンチ・アレルゲンシステム」を搭載していること。さらに間取りや各部屋の状況を学習し、スマホアプリを利用した管理機能によって指定した部屋だけを清掃するなど、高度なカスタマイズが可能なことだ。
新商品の発表に際して、iRobot会長兼CEOのコリン・アングル氏が36Krなど複数メディアからの取材に応じた。以下はその一部。
――中国でもロボット掃除機のブランドが急増していますが、iRobotが中国市場でも成功できるとの確信を変わらずお持ちですか。
「中国市場における当社の将来性に大きな確信を持っている。中国ブランドの製品も数年前から世界中で販売されるようになっているが、多くは機能がシンプルで価格帯も低い。iRobotのメインターゲットとは違うマーケットでヒットしているため、我々への影響は小さい」
「かつてロボットの差別化について語ったことがあるが、差別化というのはハード機器によるものではなく、狙った場所をピンポイントに清掃するという人工知能によって実現するものだ。この点でiRobotは30年に及ぶ技術の蓄積がベースにあるため、競合他社との間には簡単に超えられないほどの隔たりがある」
「将来的に掃除は全てロボットが行うようになることは、疑う余地はない。ロボット掃除機市場も今後さらに急成長を続けるだろう」
――シャオミと中国メーカー「エコバックス(ECOVACS)」がロボット掃除機の分野で激しい戦いを繰り広げていますが、iRobotは中国のミドル・ローエンド市場を諦めたのですか。
「iRobotの世界的な製品戦略には、エントリーモデルからハイエンドモデルまでそろっている。最新の研究成果やテクノロジーを全て新製品に盛り込めば、当然ながらリリース時の価格が跳ね上がる。我々の中国での戦略は、自社の強みを十分に発揮できるハイエンド市場に注力することだ」
「2019年には、売上高の12%に当たる1億4000万ドル(約150億円)を研究開発のために投じている。この金額は家庭用のロボット掃除機メーカーの中でトップだ。世界中で申請した特許は1500件以上に達している」
――未来のスマートホームにおいて、どのようなポジションを目指していますか。今後、ロボット掃除機以外のカテゴリにも拡大していく予定ですか。
「今、iRobotで最も多くの資金を投入している分野はロボットの空間認識能力に関連した技術や研究開発だ。同時にさらに空間認識能力の高い家庭用ロボットを生み出すことにも力を注ぎ、人々が生活で抱える現実の問題を解決していきたいと考えている。現在、多くのテック企業との提携を始めたところで、提携企業のより良い製品作りをサポートすべく、空間認識に関する技術の蓄積を共有していくつもりだ」
「我々は人工知能産業のトップランナー、また家庭向け空間認識技術、家庭用ロボット生産におけるリーディングカンパニーを目指して最善を尽くしていく。ハイエンドロボットのブランドとして、ずっと現実問題の解決に焦点を当ててきた。最終的な目標はロボットが人のパートナーになることであり、人々を掃除という仕事から解放し、安心してロボットに任せられるようにすることだ」
※画像は全てiRobot提供
(翻訳・畠中裕子)
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