「ファーウェイのスマホに米国製部品は不要」リチャード・ユーCEOが強気発言

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ファーウェイは8日、最新のスマートフォン「P40」シリーズの中国国内版を発表し、その翌日にコンシューマー向け端末事業グループのリチャード・ユー(余承東)CEOが国内メディアの取材に応じた。

Pシリーズは同社のハイエンド製品シリーズで、必然的にアップル製品と比較される。ユーCEOは競合製品について聞かれると、「アップルは低コストの産物だが値段は高い。ファーウェイはコストがかかっているが値段は安くしている」と豪語した。

高価格帯ブランドにはいくつかのパラメータを比較するよりもオールマイティな競争力やイノベーション力が必要だとユーCEOは考える。「競合企業の一部は我々の評価を下げる目的で製品のスペック面のみを比較するが、製品の評価はミスコンテストと同様、単純なスリーサイズだけでは決まらない。内面美や教養も評価の対象となる」とも述べている。

同氏は、今年の同社のスマートフォンの出荷台数は減少するとみている。「新型コロナウィルスを取り巻く状況が深刻な中、減少するのは当然の道理だが、極力そうならないように努力する。市場全体では60~70%の減り幅となるだろうが、我々だけが助かるというわけにもいかない。とにかく全力で下降を食い止めていく」と述べた。

同氏はコンシューマー向け端末事業単体では今年も成長が続くと予想しているが、昨年から始まった米国による輸出規制に加え、さらに大きな事態が起こればそれも不確実だ。海外市場が減速するのは確定だが、中国市場は依然として成長を維持し、今年は(新型コロナウィルスの感染拡大が頭打ちを迎えたとみられる)2月末から3月初めにかけて再び成長に転じたという。

米国のサプライヤーとの関係については、すでに米国製の部品は不要で、国内で完全に代替品を調達できるとした。それでも一部米国製の部品を採用しているのは、同国のサプライヤーと良好な関係を続けるためだとしている。「現在の局面は米国政府による制裁が引き起こしたもので、それでも我々が米国製の部品を使い続けるのは事業パートナーがこれまでに多くの支持や援助を寄せてくれたからだ。我々も彼らの事業を守らなくてはならない」とユーCEOは説明した。

米国による制裁に伴ってグーグルのアプリやAPIを集積したGMS(グーグルモバイルサービス)が使えなくなり、ファーウェイのスマートフォンは海外市場で大きな打撃を被った。ファーウェイはGMSの代替として自社でHMS(ファーウェイモバイルサービス)を構築。ユーCEOによると、今年はHMSを急速に展開させ、良好なユーザー体験を提供しほとんどのユーザーを満足させ得るとしており、100点満点中80~90点の満足度は叩き出せるだろうと述べた。

以下はユーCEOに対する同日の取材の模様を抄訳したもの。

――現在インターネット上に拡散している一つの画像をご覧になりましたか。P40のコアサプライヤーのリストですが、「ほとんどが国内メーカー」との見出しがついていました。これは正しい情報ですか。

「まず、ファーウェイのスマートフォンはすべてが国産の部品だけで構成されているわけではない。日本や韓国、米国の部品も採用している。ただし、米国製の部品を使わなくてもすでに完全に代替ができる状態にはなっている。それでも一部に米国製の部品を採用するのは、同国のサプライヤーと良好な関係を維持するためであり、彼らの商業的価値を創出するためでもある。実際、彼らに多くのビジネスチャンスや価値を与えてきた。米国製の部品に関しては完全に代替品が調達できるというのは事実だ。中国企業の能力もますます向上している。多くの部品が自国で賄えるようになっているし、我々は中国メーカーにも多くの機会を与えたい」

「インターネット上に出回っている情報からすると、米国が今後さらに制裁を強める可能性がある。そのようなやり方は全世界の産業にとって大いなる破壊行為だと我々は考える。すべてが相互に依存しているからだ。米国企業は中国とは切り離せないし、中国企業も米国からは切り離せない。グローバル化が進んだ現在では皆がそうだ」

――ファーウェイの製品発表会ではハードウェア以外にアプリストアを含めた多くのソフトウェアをオープンソースにすると表明しています。ファーウェイのモバイルエコシステムの進展はどの程度でしょうか。またグーグルとの提携関係が完全に戻ることはあるのでしょうか。

「我々のHMS4.0は順調に展開しており、海外ユーザーの体験も急速に向上している。我々はこれまでグーグルや一部の中国企業とともに多くの商業価値を生んできたが、米国による制裁は米国企業の利益を大幅に損なった」

――ファーウェイは3月には成長に転じたとのことですが、3月はまだ新型コロナウィルスの影響が深刻でした。成長できた理由は何でしょうか。

「多くのユーザーが5G対応機種への買い替えを望んだからだ。ファーウェイの5G製品は強い。口コミ、ユーザー満足度とも良好で、これが我々に成長をもたらした主因だ」

――今後(の販路)はオンライン重視になりますか。

「当然そうなるだろう。しかし最も重要なのはやはりユーザー体験と満足度だ。新型コロナウィルスの感染が拡大してからは我々だけではなくどの企業も危機にある。もともとは米国の制裁を受けている我々だけが危機にあったが、新型コロナによって災いはすべての企業に広まった。これまで減速を続けてきたサムスンが昨年になって一気に伸びたのは我々が米国の制裁を受けたからだ。つまり彼らにとっては大きな飛躍のチャンスだったわけだが、今となっては誰もが新型コロナの影響を被っており、互いに手を取り合って団結し、努力し、多くの協業の機会を探っている。我々の業績は他社ほど落ち込まないとみている」

――今年の5G市場では、第2四半期にも2000元(約3万円)を割るスマートフォンが登場するといわれています。中国市場では何かしら戦略の調整が行われるでしょうか。

「5Gはチャンスだ。多くの人が5G対応機に乗り換えるだろう。メディアの皆さんを通じて消費者に伝えたい。5G対応スマホは5Gのみに対応しているわけではなく、4Gスマホとしても使える。5Gスマホは近く2000元以下になることは間違いない。つまり全面的に4Gスマホに取って代わるということだ」

――5Gをめぐるミッションや目標に変更はありませんか。

「5Gに関しては我々が確実に最大のサプライヤーになる。5Gスマホのグローバル市場では現時点で我々が最大のシェアを握っている」

――P40シリーズは海外でも発売されますか。

「米国、ブラジル、韓国を除いた市場で発売する予定だ」

――欧州市場ではGMSへの依存度が高いと思いますが。

「それについては回答済みだ。GMSへの依存度が高くても、我々のHMSも遜色ない。大部分のユーザーを満足させられるだろう。彼らの要求の80~90%を満たせれば十分使ってもらえる」
※アイキャッチ画像はファーウェイ提供
(翻訳・愛玉)

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