中国新エネ車補助金縮小、新政策に対応するテスラやNIOが打ち出す戦略とは

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中国新エネ車補助金縮小、新政策に対応するテスラやNIOが打ち出す戦略とは

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中国政府が4月23日に公表した新政策によると、今年7月以降、新車販売価格30万元(約450万円)以内の新エネルギー車(NEV)のみに補助金を給付するとしている。また、バッテリーパックを交換するタイプの新エネ車のみ30万元(約450万円)以上でも補助金を受給できる。

これを受け、米テスラは4月30日に中国国内で製造されるModel 3のスタンダードレンジを30万元(約450万円)以下に値下げすると発表した。ライバルの中国新興EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」はバッテリーパックを交換するタイプのため、これを機に利益率の向上を目指している。両社の中国での競争はより一層激しくなりそうだ。

販売台数が多いほど高い粗利率

3月に中国国内で販売された電気自動車全体のうち、中国国内で製造されたテスラ社のModel 3が29.4%を占めている。しかし、米国での販売状況と比べれば、テスラがこの数字で満足できるとは考えられない。

販売台数が増えれば、自動車メーカーは下請けに対し部品の値下げについてより強気に交渉することができる。2019年Q4の時点で、Model 3はテスラの納車台数の83%を占めている。この大量の販売数によって、テスラの車両販売の粗利率は向上し、現在20%で安定している。

テスラが公表したデータをもとに36Krが作成(2020年4月30日時点)
テスラが公表したデータをもとに36Krが作成(2020年4月30日時点)

テスラは中国国内で値下げを行う予定であり、その前提で粗利率を上げるのならコストをさらに抑制しなければならない。自動車情報メディア「Gasgoo」によると、電気自動車のコストのうちパワートレインが50%を占めており、シャーシ、ボディ、インテリア、電子及びその他部品がそれぞれ14%、15%、9%、12%となっている。

データはGasgooと中銀国際(BOC International)より(2020年4月30日現在)

つまり、コストの多くはバッテリー、モーター、電子制御などのパワートレインによって占められている。そのため、今年2月、テスラは動力電池大手の「寧徳時代(CATL)」とリチウム電池の提供について合意しており、提供の開始予定時期は補助金の新政策が始まる今年7月である。寧徳時代の電池を採用すれば、今年Q3のテスラの粗利率は大きく改善されるだろう。

NIOの戦略

NIOも粗利率の向上を目指している。2019年のQ3とQ4の納車台数は前年同期比でそれぞれ47%と3%上昇したが、補助金の減額による粗利率の低下は顕著だった。

2019年Q4の業績発表会において、同社の李斌CEOは2020年の重要目標の一つに粗利率の向上を掲げた。2020年Q2に粗利率の黒字化を、年末までに二桁になることを目指すという。

この目標に、補助金の新政策はどう影響するだろうか。中国国内で販売されている電気自動車のうち、バッテリーパック交換タイプは蔚来のES8とES6のみである。両車種はともに30万元(約450万円)以上でありながら補助金給付対象になるため、NIOにとって大きな好材料となるだろう。

中国国内生産のModel 3はすでに他社に大きなプレッシャーを与えているが、今回のテスラの値下げの蔚来に対する影響は限定的だ。蔚来のES8とES6はSUVで、セダンのModel 3と顧客層が異なり、また両車種とも補助金給付の対象になるためだ。

今後、NIOは新車種のEC6、テスラは中国国内生産のModel Yを発売する予定である。この2車種はともにSUVであり、価格帯も近い。両社の本格な競争はこの2車種から始まるだろう。李斌CEOはすでに、EC6はModel Yの販売状況に合わせて価格を設定すると明言している。

補助金の新政策施行まであと3カ月、Model 3の値下げには他社も追随するだろう。一方、補助金の価格制限を受けない蔚来は、他社の出方をじっくりと伺おうとしている。7月になれば、状況はより明確になるだろう。

(翻訳:小六)

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