家庭用浄水器センサーでシェア9割超、米国でも販売好調 「一目科技」の液体モニタリングの強みとは

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健康やライフスタイルに関心を寄せる人が増えている。家庭用浄水器の販売もここ最近右肩上がりで伸びている。このチャンスを捕らえたのが2016年創業の「一目科技(Yimu Technology)」だ。同社は民間用センサーおよび人工知能(AI)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせた一般消費者レベルの「AIoT」デバイスの開発に特化したベンチャー企業だ。

一目科技は現在、企業向けと一般消費者向けの生産ラインを持つ。いずれも中核技術は液体のモニタリングに基づくソリューションだ。

液体モニタリング技術は常に専門家にとっても難易度の高い分野とされてきた。液体にはサンプル採取の難しさや検査結果にノイズの影響が出やすいなどの問題があり、従来の検査方法では、その有効性は芳しくなかった。一目科技はマイクロ流体制御技術やマイクロスペクトルセンサーなどの技術を習得し、微量の液体を正確に制御、分析できる上、検査モジュールの体積をも非常に小さくできるという。参入障壁に話が及ぶと、一目科技創業者の李智強博士は、これらの中核技術の習得こそが同社の強みであり、現時点で保有している関連特許は130件余りであることを明かした。

中核技術の確立後の課題は、いかにこの技術をビジネスに結びつけるかだ。

企業向けにおいては、家電大手「ハイアール電器(Haier Electronics)」や「美的集団(Midea Group)」「シャオミ(Xiaomi、小米科技)」などと提携し、センサー関連のソリューションを提供している。一目科技の家庭用浄水器センサーは現在、中国国内でシェア90%以上を占め、中国で年間1500万台、米国で1400万台販売するという同社の目標も達成した。昨年から始めた洗濯機センサーでも、1~2%のシェアを得ている。また、一目科技の液体モニタリングシステムは水路の水質検査などスマートシティでも活用され、新型コロナウイルス感染症がまん延した時期には、一部の都市の疾病センター(CDC)や小中学校などでも利用された。

消費者にしてみれば、センサーが表示する専門的なデータ自体には、魅力があるわけではなく、また直感的にそのデータを理解できるものでもない。この問題に対して一目科技は技術の実用化に重点を置き、実際の利用シーンに目を向け、ユーザーが感じる不便さを根本から解決して使い勝手を向上させることにした。例えば、現在市販されている浄水器の多くには貯水タンクが取付けられているが、時間がたてば二次汚染を生じさせかねない。一目科技は自社開発の24時間オートフレッシュ機能でこの問題を解決した。センサーがリアルタイムで水質をモニタリングし、基準値に達しそうになると自動で殺菌、浄化を行う。紫外線照射の強度や間隔をさまざまに変えて菌やウイルスの繁殖を抑え、いつでも清潔で安全な飲用水を作り出すという。

また、自社製品と大手メーカー製品との市場における競争に関して李博士は、ブランド力から見ると確かに同社製品の知名度は低めだが、基盤となるセンサー技術を保有しており、その技術をうまく使ってユーザー体験を向上させることで、製品の魅力がユーザーを引き付けてくれるとの考えを示した。今年4月に発売した「一目智能即熱浄飲機(浄水機能付スマートウォーターサーバー)」はシャオミ傘下のECサイト「小米有品(YOUPIN)」などで販売されており、1日あたりの売上高は38万元(約570万円)だ。また、家庭用スマート浄水器「一目水環(ecomo)」は2019年6月、小米有品で新製品発売クラウドファンディングキャンペーンを行ない、14日間で1009万元(約1億5000万円)の資金調達に成功した。

同社はここ2年、売上高が毎年8~10倍の速さで伸びている。そのうち企業向けが40~50%を占め、消費者向けが50~60%を占めている。資金調達では2019年9月、新ラウンドで3000万元(約4億5000万円)を調達した。リードインベスターは中国大手家電メーカーの「TCL」だ。

中国に会社を設立してから4年余りの発展を経て、同社開発チームは60人余りの専門家チームへと成長した。管理職や研究開発の中核メンバーはいずれも中国国内外の名門校の出身で、環境工学、ソフトウェア・ハードウェア開発での長年の経験を有している。創業者の李智強博士は、同済大学で環境工学学士号を、米カーネギーメロン大学で環境工学博士号を取得、2010年には世界最小のマイクロ流体バイオセンサー(uMFC)を開発している。また、同社は中国清華大学、カーネギーメロン大学を含む中国国内外の有名大学との科学研究協力を数多く行なっている。
(翻訳:lumu)

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