医療のオンライン化、3年の予定をわずか1カ月で実現した中国 新型コロナで波に乗る「京東健康」

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新型コロナの流行に伴い、中国EC大手「京東集団(JD.com)」傘下のヘルスケア企業「京東健康(JD Health)」のオンライン診療が活況を呈している。外出制限があった期間には、全時間帯勤務の医師は一人で一日最高150件もの診察をこなす必要があった。制限が解かれた今でも全時間とパートの医師を含めた総診察件数は一日に10万件前後と、新型コロナ流行前の倍になった。辛利軍CEOは医師の募集に着手している。

また、オンライン薬品販売は前年同期比100%以上の増加を見せた。これは新型コロナの流行期間にも配送を続けた「京東物流(JD Logistics)」に負うところが多いが、自前のサプライチェーンを有することの強みがここでも明らかになった。

この数カ月で診療や薬の購入に対する人々の習慣は劇的に変化し、医療や健康関係企業はどこも業績を大いに上げた。1月下旬から5月末までの期間にオンライン医療プラットフォーム「平安好医生(Ping An Good Doctor)」の株価は70%以上値上がりし、アリババグループ傘下の医療プラットフォーム「阿里健康(Ali Health)」の株価は100%の伸びを見せた。

京東健康は2018年末に京東から分離して独立した企業だ。2019年中盤に分離後の最初の資金調達を行い、評価額も70億ドル(約7500億円)を超えた。

36Krは京東健康の辛利軍CEOをインタビューし、健康分野での奮闘の軌跡について語ってもらった。

――京東がヘルスケア分野を開拓するにあたり、有利な点は何ですか。

「この分野を開拓するには、サービスとサプライチェーンという2つの鍵を考える必要がある。売上高から見ると、京東健康のヘルスケア関連のリテールの規模は、従来のチェーン店やオンラインの同業者を抜いて中国のトップにある。このリテールを切り口に、サービスのチャンスを開拓できる。例えば、血糖測定器が800万台売れたとする。その背後には800万人の糖尿病患者がいるわけで、その一人一人に血糖コントロールに関する医療サービスを提供できるわけだ」

――京東健康の業務のうち京東のEC体系を利用しているものはどれですか。

「栄養機能食品、保健用食品、医療機器などはプラットフォームを共有しEC体系を利用している。しかし一部の製品、例えば院内処方薬は病院の体系を利用し、院外処方薬はリテール体系を利用するなど、独自の運営も必要となる」

――医薬品販売の売上高の割合は全体のどれほどですか。

「90%以上になる。医療サービスのオンライン診療の件数は一日平均して10万件あるが、手数料からの収益はまだそれほど高くない」

――この分野の最大の好敵手はどこですか。我々は皆アリババだと思っているのですが。

「オンライン医療市場にはアリババも含め多くの企業が参入しているが、誰かを競争相手と意識したことなどない。とにかく市場が大きいからだ。米国のユナイテッドヘルスの売上高は2600億ドル(約28兆円)にもなり、中国はまだまだ足元にも及ばない。我々の最大の敵はどこかの会社ではなく、人々のオフラインでの消費習慣だと思っている」

――今回の新型コロナの流行は、京東健康にどんな変化をもたらしましたか。

「今回ほど人々の生活習慣に大きな変化を与える出来事はこれまでになかった。SARSの時でさえなかった。今回のコロナにより、人々は病院での感染を恐れて、オンラインで受診するようになった。お年寄りでさえ、インターネットで薬を買うようになった。政府が本来3年かけて実現しようとしていた医療のオンライン化が1カ月でできてしまった。製薬業界も変わりつつある。医療機関で扱われていた薬が全く売れなくなってしまったため、我々との提携を求めてきている。あらゆる業界が急速に変化しつつある」

――京東健康は慢性疾患の管理で差別化を図ろうとしていますか。

「今の段階では特に何かに特化しようとしているということはない。もっとも、薬品リテール業務という有効なリソースを活用するなら、当然ながら慢性疾患の管理サービスに行き着くことになるだろう。京東の伝統的なビジネスモデルは全過程のサービスを自ら手掛け、安易に第三者に委託したりしないというやり方だ。これは保守的で時間がかかる方法だが、最も堅実な道だ」

(翻訳・近藤)

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