供給断たれたファーウェイ、米国製半導体部品の在庫を最大2年分確保済み

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中国の通信機器大手ファーウェイに対し米国が自国サプライヤーからの禁輸措置を強化している問題で、ファーウェイはすでに米国の有力半導体メーカーから調達した先端製品の在庫を1年半から2年分確保済みであることがわかった。日本経済新聞が5月28日付で報じた。在庫にはザイリンクスやインテルなどの製品が含まれる。

確保済みの半導体製品はファーウェイの通信基地局やサーバーなどに使用される。とはいえ、在庫で対応可能なのはわずか1~2年の話で、最終的には米国製品に代替する解決案を出さなければならない。

米商務省は15日、米国内のみならず海外のサプライヤーに対し、エンティティリストに名を連ねるファーウェイにチップの供給を停止するよう求めた。このほど改訂された輸出規定では、米国製の製造設備を使用する海外企業は、米国の許可なしにはファーウェイおよびその傘下の半導体メーカー「ハイシリコン(海思半導体)」をはじめとするファーウェイ関連企業に対して特定のチップを供給できない。

米商務省産業安全保障局は同日、ファーウェイが米国の技術やソフトウェアを使用して同国外で半導体の設計および製造することを禁止し、国家安全を守ると発表した。

最善の解決案が見つからないまま、ファーウェイは在庫の確保に奔走している。通信基地局に使用する米ザイリンクス社製のFPGA(論理回路の構造を繰り返し再構成可能な大規模集積回路)や、米インテルとAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)が供給するサーバー用CPU(中央演算処理装置)などだ。後者は世界シェアの98%を握る製品で、他でまとまった数の代替製品を確保することはほぼ不可能だ。

部品確保が難しくなることはファーウェイも織り込み済みだった。2019年には前年比73%の1674億元(約2兆5000億円)を投じて在庫を積み増ししている。日経新聞は関係者の談話を引用し、「仮に月あたりチップ100個が必要だとしたら150個を注文し、余剰分で徐々に在庫を積み増していく。サーバー用チップも頻繁にバージョンアップしない製品なら在庫を増やしやすい」とファーウェイの考えを報じている。同関係者によると、ファーウェイは2018年末に孟晩舟CFOがカナダで拘束されてから徐々にコア製品となるチップの在庫を蓄えてきたという。

2019年5月になると米政府は禁輸措置を発動、ファーウェイは米国企業から半導体などの部品を直接仕入れることができなくなった。その後、販売代理店や取引先を通じた迂回ルートでこうした部品を調達してきたが、正規ルートで仕入れた製品ではないためカスタマイズができないうえに製造元からの技術サポートも受けられない。前出の関係者はさらにファーウェイ傘下の半導体企業ハイシリコンの製造能力について、「設計力は優れているものの、ザイリンクスやインテルと同等の性能を持つ製品は設計できない」としている。

政治リスク専門コンサルティング世界最大手のユーラシア・グループでジオテクノロジーを統括するポール・トリオロ氏は、「米国が制限を課しているチップには特定の需要があり、増産するとすればその能力を有するのは現行のサプライヤーだけだ。ファーウェイが在庫を積み増ししてもそのメリットは限定的だ」としており、将来的により性能を強化したチップが世に出れば、ファーウェイの在庫では対応できなくなるとしている。
(翻訳・愛玉)

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