AIとIoTの要塞、非接触ビジネスブームで台頭するスマートホテル

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新型コロナの影響で「非接触」が新たな流行となっている。中国ではレストランの配膳ロボットや消毒・清掃の無人車などの使用に加え、無人のスマートホテルも人気を博している。無人スマートホテルとは、人のしていた事をロボットやIoT(モノのインターネット)に任せ、オンラインによる予約から、顔認証によるチェックイン、照明、カーテン、空調の音声操作に至るまですべて「非接触」で行えるホテルのことだ。

アリババは2018年11月に杭州で無人ホテル「菲住布渴(FlyZoo Hotel)」の運営を始めた。顔認証を活用したこのホテルの宿泊料金は1000~3000元(約1万5000~4万5000円)だ。宿泊者数に対する従業員総数の比率は1:0.5と、他のホテルの1:2をはるかに下回る。純粋にコスト削減の視点からしても、この数字は魅力的だ。

「楽易住(Leyeju Smart Hotel)」は2016年に設立、2017年10月には四川省成都市で最初のスマートホテルの営業を始めた。今は成都、深圳、広州、杭州に9軒を展開、さらに21軒が計画中だ。中間層の顧客群を対象にし、料金は200~400元(約3000~6000円)とリーズナブルな設定だ。李展COOによれば、客室稼働率は年平均90%を超え、リピート率も85%に上る。現在の利用者数は67万人を超え、会員数は50万人以上にもなる。

利用者は、オフィシャルサイトや公式アプリのほかに、OTA(オンライン旅行会社)を通して簡単に予約ができる。チェックインは顔認証で行われ、ロボットが部屋まで案内してくれる。カーテン、空調、テレビ、照明はすべて自動調節。すべてが自動化されているため、緊急事態への対応のため1~2人の職員を配備しておくだけですむ。利用客がチェックアウトすると5分後に自動的に電気と水道が止まり、清掃員が入る。この清掃員も正規職員ではなく、スマホのアプリから応募したパートなので、出来高制の賃金を支払えばよい。

楽易住のスマートルーム

楽易住などの無人スマートホテルの営業コストは従来型のホテルの約60%に抑えることができる。人件費だけでなく、自動制御による水や電気の節約も見逃せない。また従来型のホテルと異なり、楽易住には広いロビーがない。そのため建設費が25%の節約となり、空間の利用率も高くなる。これまでは、利用効率と空き室の配慮から部屋数を80~120室とする必要があったため、それなりの土地や建物を必要とした。スマートホテルではそれが打破され、部屋数わずか20というミニホテルの設置も可能となる。

楽易住は、ホテルの利用客からさまざまなデータを収集し、それをより良いサービスに反映させる計画でいる。IoT設備に対する客の反応を元に、技術的な改善を行ったり、それをベッドやテレビの販売に結びつけたりすることもできる。室内のスマート設備やテレビなどはすべてが自主開発によるものだ。データセキュリティもAIとIoTを通して行われるため、人手によるものより安全になる。

現在の楽易住はすべて直営店だが、次の段階ではフランチャイズを考えている。そうなるとIoTのノウハウが伝授され出店速度が増すことだろう。2020年には100~150軒を一級と二級都市に出店する計画だ。

楽易住の創業者兼董事長である張健氏はIoT分野で長い経験を持ち、共同創業者の羅飙氏もIoTやビッグデータの研究者だ。そして李展COOはフォーチュン・グローバル500の某企業の戦略部門の出身だ。

今年1月、AI+IoTホテルのサービス企業「携住科技(XieZhu Technology)」はシリーズA+で2億元(約30億円)を超える資金調達を行った。提携するホテルは8000軒、グレードアップを図った客室は35万室に上る。「亜朵酒店(Atour Hotel)」も、スマート化を進めているホテルだ。技術による効率化を追求する楽易住とは異なり、亜朵酒店は設備とサービスの質を重視する。またイメージ戦略と付加価値サービスにより顧客の忠誠度を強化する。いずれの路線をとるにせよ、ホテルのIoT導入は今後も一層進んでゆくだろう。スマートホームの実現に向け、ホテル業界が旗手の役割を担うことになりそうだ。(翻訳・近藤)

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