アパレル卸売プラットフォームの「一手」が約43億円の資金調達、15兆円超えの巨大市場に照準

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アパレル卸売専門のECプラットフォーム「一手(yishou)」が、シリーズCで4000万ドル(約43億円)の資金調達を行ったことがわかった。リードインベスターは「CMC資本(CMC Capital Group)」、コ・インベスターは同社株主の「華興新経済基金(China Renaissance new economy fund)」で、「華興資本(China Renaissance)」が財務アドバイザーを担当した。創業者兼CEOの蒋昀氏によると、調達した資金は主にアルゴリズムの改良、ライブコマースに関するサポート、マーケティングに使われるという。

中国のアパレル小売は1兆元(約15兆円)超えの巨大市場で、多くの中小規模の製造業者と販売店によって支えられている。アパレルの流行は変わりやすく、製造業者ごとの品質がまちまちであるため、中小の販売店は適切な仕入先を見つけることが難しく、デジタル・トランスフォーメーションを行うだけの体力もないという課題があった。

一手は2016年に広州で設立され、「プラットフォーム+各種サポート」のビジネスモデルでこの課題を解決しようとしている。同社は工場や商品を選定し、自社のプラットフォーム上で販売店向けの卸売りショップを開設させる。販売店のバイヤーや店主に対しては、商品の組み合わせのアドバイスや、倉庫、物流の代行を行う。1点のみの仕入れでも卸価格が適用される。

創業当初、製造業者と販売店のマッチングのみを行っていた一手は、現在各種の関連サービスを提供するようになった。販売店向けには仕入代行や在庫管理代行など、製造業者向けにはライブコマース関連の技術・販売サポートを行っている。

同社が提供したデータによると、現在一手に登録している製造業者は約1万社で、販売店は約300万。月間のリピート率は60%〜80%であり、コアユーザーは90%に上る。商品は1日2000〜3000 SPU(スタンダードプロダクトユニット)更新され、オンラインで1〜7日間販売される。一手の売り上げは毎年3〜4倍に増えており、現在の月間取引総額は2億元(約30億円)超えで、黒字化を実現している。収益は販売店向けの商品提案手数料、倉庫手数料、生産者向けのライブコマースサービス料、マーケティング手数料などが中心だ。

一手の従業員数はオンラインプラットフォームとしては比較的多いが、蒋CEOは人手を増やすことで、生産者と販売店のマッチングがより正確になり、他社と差別化できると指摘する。アルゴリズムによるレコメンドシステムで有名な「字節跳動(Bytedance、バイトダンス)」でも、多人数のアノテーション担当チームを抱えており、分類とタグ付けされたデータでAIの機械学習を支えているため、正確なレコメンドが実現できたのである。

人間によるサービスを重視する一方、一手は取引の効率を上げるための施策をも取っている。品質やデザインに定評のある出店者を優良事業者として認定し、それらにかける人手を減らし、今後の成長が期待できる出店者に回す手法である。このシステムにより優良事業者が増えれば、販売店がより仕入先を選びやすくなり、効率化が期待できる。

また、今回の資金調達後に行うアルゴリズムの改良も効率化を支えるものだ。一手では、販売店が1日に10種類の服を選ぶとした場合、平均20〜30分間を要するという。現在提供しているアルゴリズムでレコメンドを利用した場合、時間が20%〜25%短縮され、開発中のアルゴリズムを実用化できれば、40%〜50%も短縮可能だとされる。蒋CEOは、テクノロジーで効率を上げ、取引のコストを下げ、アパレル業全体の成長を促していくことが一手の使命であり、この目標に向かって前進を続けたいと意気込んでいる。

(翻訳:小六)

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