中国農科院発ベンチャー、家畜ふん尿処理の無臭化・スマート化を実現

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中国農科院発ベンチャー、家畜ふん尿処理の無臭化・スマート化を実現

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中国全土で排出される家畜のふん尿は年間約38億トンに上るが、その利用率は60%に達していないとの統計がある。再資源化、無害化処理されていない大量の廃棄物が広範囲にわたって不法に投棄され、深刻な環境汚染を引き起こしている。

テクノロジーを活用した家畜ふん尿処理ソリューションを提供するハイテク企業の「中農創達(CAC)」は、中国農業科学院農業環境及び可持続発展研究所と協力し、科学技術の成果を市場ニーズに結びつけて製品化する。同社のナノ膜無臭堆肥化システム「畜清」は、IoTとナノ膜発酵技術を使用して鶏糞、牛糞、羊糞、豚糞、剪定枝、穀稈、漢方薬の残留物、都市部の汚泥、廃棄野菜などの有機廃棄物を無害化してリサイクルするもので、畜産農場、有機肥料プラント、ふん尿処理センターなどで広く活用されている。

従来のふん尿処理方法では、臭いがきつく、初期費用が高いという問題があった。「原料を堆肥化するための発酵槽は、温度を維持するために大量の電気を使用する必要があり、発酵コストは1トンあたり80~100元(約1200~1500円)かかる。一方、換気しながらの堆肥発酵では1トンあたりのコストを30~35元(約450~530円)に抑えられるが、専用発酵槽、サンシェード、堆肥ターナーや付帯設備に費用がかかる。中農創達の馬瑞強総経理は、ナノ膜無臭堆肥化システム「畜清」を使えば、臭いを抑えるだけでなく、発酵全体のコストも削減できると語る。

簡単に説明すると、同システムでは、安価なPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ナノフィルムで堆肥の材料となる家畜ふん尿を覆い、底部から高圧空気を送り込むことで換気と微生物が必要とする酸素濃度を確保し、多くの要素をスマート化して連動させることで、臭いの元になるアンモニアの揮発量を制御しながら、高温発酵、材料の乾燥を進めている。これにより堆肥化サイクルが短縮されると同時に、家畜ふん尿などの有機廃棄物が効率良く、しかも低コストで無害化され、リサイクルできるようになった。

このシステムは、処理工場もパイプハウスも要らず、発酵槽すら必要としないので、投資額は発酵槽を使用した場合の2/3、付帯設備も合わせれば1/5で済む。設備は8〜10年使用でき、堆肥1トンあたりの消費電力は2kWh、生産コストは20〜30元(約300~450円)だ。

この発酵システム1セット200m³で、乳牛なら200頭、肉牛なら400頭、豚なら1500頭、ニワトリ・ウズラ・ハトのような小型の鳥であれば5万羽分のふん尿を処理できる。中小規模の農場であれば1セットで十分だ。セット数を増やせば、もっと大きな農場にも対応できる。

これを可能にした同社のコアテクノロジーは3つある。1つ目は、自社開発のナノ機能膜だ。膜の微小な穴は大きな分子は通さないので、外部からの雨水を防ぎつつ、内部の水蒸気を通し蒸れを防ぎ、殺菌や脱臭などの効果もある。2つ目は、低温環境でも迅速な発酵を可能にする6種類の微生物の組み合わせである。3つ目は、温度や圧力などのセンサーをIoTでつなぎ、温度管理や酸素供給などの工程をコンピューターやスマートフォンでリモートコントロールできるようにしたことである。

中農創達は設備の販売とメンテナンスサービスで収益を上げている。さらに中国政府が推進する「全県推進モデル(県を基本単位として県内の農業廃棄物の利用をまとめて計画する)」とも協調し、販路を開拓する。2017年、国家発展改革委員会と農業農村部は共同で「県全体で家畜のふん尿資源の利用を促進することに関する通知」と3年間の作業計画を発表した。2020年までに200以上の県でプロジェクトを実施し、家畜のふん尿の利用率を90%以上、大規模農場のふん尿処理施設設置率を100%にするのが目標だ。

「畜清」はフレキシブルで、分散して設置しても、集中処理設備として使うこともできるほか、肥料処理センターや地元の農家に直接販売することもできる。現在、中農創達は、江蘇省、山東省、内モンゴル自治区、河北省、湖北省、寧夏回族自治区、湖南省、四川省、広東省などで100件近いプロジェクトに参加している。

創業者の馬瑞強氏は中国農業大学の微生物学博士、シニアアグロノミスト(農業部門の技術士)で、第12回全国人民代表大会の代表に選ばれ、現在は中華全国青年連合会の委員、中国人民政治協商会議内蒙古自治区の常任委員でもある。中国農業科学院で博士号を取得した後、全国農業廃棄物資源化連盟資源循環同盟の事務総長で「中国農業科学院 農業環境及び可持続発展研究所」の副所長でもある董红敏研究員に師事し、固形廃棄物フィルムを用いた好気性堆肥発酵の技術とモデルについて研究している。

(翻訳・永野倫子)

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