初音ミク、中国ライブコマース界に登場 バーチャルアイドルが未来のKOLに?

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バーチャルアイドルの元祖「初音ミク」が中国のライブコマースに参戦する。今月8日、アリババ傘下のECモール「淘宝(タオバオ)」のライブコマースツール「淘宝直播(タオバオライブ)」に参加することが正式に発表され、配信専用ページが設けられたのだ。彼女が初めて行った1時間余りのライブ配信は、ピーク時の視聴人数が300万人にも達し、タオバオのサーバーを一時ダウンさせた。

中国のバーチャルアイドル洛天依(ルォ・テンイ)も過去に何回かライブ配信を行っており人気が高い。実在のライバーとバーチャルライバーにはどのような違いがあるだろうか。

画像:微博(Weibo)より

実在ライバーVSバーチャルライバー

1)疲れる「模範」ライバーVS疲れ知らずのバーチャルライバー

今年3月以来、模範的ライバーとも言われ男性美容家として人気の高い李佳琦(Austin)は頻繁に休暇を取っている。人々は、緊張を強いられるライブ配信や激しい競争に疲れたのではないかと推測している。反面、バーチャルライバーの利点は何よりも「疲れを知らない」ことにある。コンピュータ技術で生成されたバーチャルライバーは、ボーカロイドの音声合成プログラムをベースに開発された音源ライブラリを使用しており、そこに含まれるデータは多くの声優の声をサンプリングしたもので、長時間にわたる緊張が続くライブ配信でも問題が生じることはない。

2)ミスを犯す人間VS優等生のバーチャルアイドル

2020年に入ってから李佳琦のライブ配信ではゲストの名前を呼び間違えたり、関係者の参加が禁止されているお年玉争奪戦にスタッフが参加したりしたことが大きな論争を引き起こした。しかし、バーチャルライバーならこうしたリスクマネジメントにかかるコストが極めて低い。バーチャルライバーは安定した人物像や言動を緻密に設定してあるため、「問題を起こさない」親しみやすいキャラクターを確立できる。

洛天依と長安フォードの楊嵩氏は次元を超えたQ&Aバトルを行った

バーチャルアイドルにはそれ自体の魅力や扱いやすさ、そして新鮮味があり、さまざまなメリットがある。では、バーチャルアイドルにはどのような制約があるだろうか。

配信費用が高いバーチャルアイドル

影響力と販促力のあるバーチャルライバーを育てるには莫大なコストがかかる。バーチャルライバーを起用して販促のためのライブコマースを行うことは、ブランドにとっては大きな冒険だ。

ライブ配信中は、生身の人間である俳優の身振り、顔の表情、目つき、指の動きなどをキャプチャ―し、リアルタイムで3Dキャラクターの動きに反映させ、実際の人間の動きに近い生き生きとした立体的なキャラクターを表現する。難易度の高い動作や、バーチャルライバーと商品との関わりが必要な場面があれば、事前に3Dモデリングによって動作を完成させておく必要がある。低グレードのライブ配信であっても通常の配信設備のほかに10万元(約150万円)前後の追加費用が必要となり、高グレードのライブ配信ならトータルで50万元(約750万円)を超えるコストがかかる。ライブコマースの女王と称される薇婭(viya)の1回の出演料は25万元(約380万円)で手数料は20%、李佳琦の出演料は18万元(約270万円)で手数料は20%だ。ブランドにとってバーチャルライバーの活用はまだ様子見の時期かもしれない。

ビリビリ動画でバーチャルライバーを起用して行われた「小鵬汽車(Xpeng Motors)」の新車のライブ配信

バーチャルライバーはライブ配信の新勢力となるか

愛奇芸「2019年バーチャルアイドル観察報告」

動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」が発表した「2019年バーチャルアイドル観察報告」によると、2019年中国における2次元コンテンツのユーザー規模は4億9000万人に達し、そのうちライトユーザーが3億9000万人、コアユーザーが1億人程度で、これらのグループは将来的にライブコマースの主要ユーザーになる可能性がある。

現在はまだ模索段階ではあるが、各インターネットプラットフォームはバーチャルライバーに力を入れつつある。ゲーム実況配信プラットフォーム「虎牙直播(Huya)」ではすでに「バーチャル経済×オーディションと養成×ライブ配信エコシステム」という提携モデルを構築し、幅広いエンタメライブ配信の可能性を追求している。タオバオライブは今年、正式にバーチャルアイドルの支援計画を発表した。近い将来、バーチャルライバーはライブコマースにとって注目すべき新勢力となりそうだ。
(翻訳・普洱)

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