コロナ禍に負けなかった人気茶飲料チェーン「奈雪の茶」 安定経営を実現できた理由とは

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2015年に創業された人気茶飲料ブランド「奈雪の茶」は、若い世代を中心に爆発的な人気を博している。本国である中国からグローバルに店舗を拡大していき、現在は中国50都市で約420以上店舗、シンガポールで約 350 店舗を展開している。最近、同社が2020年7月4日に大阪・心斎橋に日本における一号店をオープンすると発表した。また、年内には北米でも新規出店する予定だという。

新型コロナの影響もあるものの、迅速にオフラインからオンライン化への移行を進めた同社、比較的に安定した経営を実現できている。この度は、36Krは創業者の彭心氏に詳しい話を尋ねてみた。

デジタル化イノベーション:オンラインでの販売拡大とデータを活用した商品戦略

新型コロナウイルスの流行を受けて、彭心氏は社内に対し、今年は新規出店のスピードを緩めると表明した。段階的にデジタル化戦術を進め、WeChatミニプログラムでの注文や、WeChat Mall(微信商城)への出店、外部のデリバリープラットフォーム活用、ライブ配信、アリババ系EC「天猫(Tmall)」への出店などあらゆる作戦を通して、オンラインとオフラインでの消費シーン融合を加速していくという。

まずは店舗の営業方針として商品の受け渡しでは、店頭受け取りと配達の双方で「非接触」を率先して実現する。これに関してはWeChatミニプログラムとWeChat Mallに力を入れる。新型コロナウイルス流行期間にも新商品を発売し、各種の割引セットも売り出したことから、WeChat Mallのアクセスは前週比89%増加した。次に天猫に公式店舗を開店し、販売のデジタル化に照準を合わせる。そして、ライブ配信による販売促進を行い、デジタル化エコシステムを完成する。奈雪の茶は羅永浩氏(スマホメーカー「スマーティザンテクノロジー(錘子科技)」創業者で、ライブコマースに参入したことが話題となっている)や有名ライバーの薇婭(viya)のライブ配信で紹介されたことがある。ユーザーと積極的な交流が可能なライブも、デジタル化の一手法として取り入れていく。

奈雪の茶は迅速に対応したことで、新型コロナウイルスが流行した第1四半期(1月~3月)にも安定した経営を実現できた。3月、ミニプログラム経由の注文は全体の50.36%、会員からの注文は53.15%を占め、新型コロナウイルス流行前からはそれぞれ63.8%、72.3%の増加となった。オンラインでの注文は全体の83%を占めた。

昨年末、奈雪の茶が36Kr研究院と合同で発表した「2019年新茶飲料消費白書」によると、ニュータイプの茶飲料に関して消費者は価格よりも味や体験、サービス、品質などをより重視する傾向にあるという。

(写真:「2019年新茶飲料消費白書」より)

実店舗は茶飲料ブランドにとって必要不可欠だが、注文や商品受け取りのために長時間並ぶなど、消費者体験に影響する課題も存在する。彭氏はデジタル化によってこれらの問題を解決できると考えている。現在ある多くのデジタル化ツール、例えばモバイル決済、ミニプログラムやWeChat Mallでの注文などがオンライン・オフラインでの消費者体験向上に役立つ。これはニュータイプの茶飲料業界ではすでに共通認識となっている。そしてより重要なのはヒト・モノ・シーン全てをデータ化することだ。ビッグデータに基づいて戦略を立て、ユーザーを深堀りした運営をする。

デジタル化は茶飲料企業のリスク対応能力を向上させる

多くの茶飲料ブランドはまずデリバリープラットフォームに出店し、商品をオンラインで取り扱えばデジタル化が完成したと考えがちだ。しかしこれはただ一歩目を踏み出したにすぎない。デジタル化の最も重要な点は、デジタル化と事業をつなげ、核心となるデータを形成することだ。さらにデータの分析と運用を通して、事業戦略の判断材料とし、事業の効率と消費者体験を向上させる。奈雪の茶がデジタル化で重点を置くポイントは以下の2点だ。

1.デジタル化運営を通して消費者体験を向上させる
デジタル化の力を借りて、消費者プロファイリングを精密に行い、異なる消費者グループの好みを分析。最終的にデータに基づいて消費者に良質な商品とサービスを提供する。その後は各販売チャネルごとの運営の特徴やシナリオ、ペルソナに合った商品を生み出し、移り変わる市場のニーズに応えることができる。

2.データを事業戦略の判断材料にする
「2019年新茶飲料消費白書」によると、2019年に中国の茶飲料市場は4000億元(約6兆円)を突破。コーヒー市場の2倍だ。市場は賑わっているようだが、リスクも少なくない。商品作りのハードルが低く、商品の同質化が深刻だ。現在、奈雪の茶は中国国内で50以上の都市に350店近い店舗を持つ。品質の安定が最大の課題で、これはサプライチェーンと原材料の在庫管理に高いレベルが要求される。以前の小売飲食業界の仕入れでは、商品ごとに毎月の販売実績と店舗の運営経験によって調整を行うのが基本だった。現在はデータ分析を通して、地域ごとに消費者が好む商品が異なることが判明し、店舗はこうしたデータの動きをもとに仕入れを調整できる。データを利用して消費者側とサプライヤー側をつなげることで、消費者のニーズに敏感に応えられる一方、サプライヤーは無駄のない生産が可能となり、収益向上を実現できる。

新型コロナウイルスが収束すれば、茶飲料市場はより大きく成長するだろう。将来的に競争の鍵となるのは安定性(サプライヤーの安定・店舗基準の安定・サービスの安定)だ。デジタル化は茶飲料業界の大きなトレンドとなるだろう。
(翻訳・山口幸子)

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