ファーウェイ、自動車市場への参入加速 ハイシリコン開発の「Kirin710A」がEV最大手BYDに採用

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ファーウェイ、自動車市場への参入加速 ハイシリコン開発の「Kirin710A」がEV最大手BYDに採用

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中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が自動車分野への参入を加速させている。すでに自動車用の5G通信対応チップと新システム「HiCar(ハイカー)」の開発を進めていることが報じられているが、今度は主軸製品のチップセット(SoC)「Kirin(麒麟)」シリーズが自動車に搭載されることが明らかになった。

ファーウェイと電気自動車(EV)大手「BYD(比亜迪)」に近い複数の関係者は、「Kirin710A」がBYDのデジタルコックピットに採用される見通しで、ファーウェイとBYDはすでにこの件について業務提携を結んでいるとの見解を示している。Kirinシリーズはファーウェイ傘下の半導体メーカー「ハイシリコン(HiSilicon)」が開発したスマホ用SoCで、現在はファーウェイおよび同社のサブブランド「Honor(栄耀)」のスマホにのみ搭載されている。

ある消息筋は「BYDはすでにKirin710Aの技術資料を入手し、開発に着手している」と述べ、SoCメーカーが技術資料を提供する前提には必ず企業間の業務提携契約があるとし、Kirinシリーズは今のところBYDに的を絞って市場を切り開こうとしているようだと指摘した。

この件に関して取材を申し込んだが、BYDは「今のところ発表できる情報はない」とし、ファーウェイからは6月15日現在、回答が得られていない。

BYDはつい先ごろ、ファーウェイの5G通信モジュール「MH5000」を搭載した新車種「漢」を発表した。5G通信モジュールもKirinシリーズも、ファーウェイ・コンシューマーBGが手掛けた製品だ。これに先立ち、同コンシューマーBGとBYDは、手持ちのスマホを自動車キーとして利用できるシステムや、HiCarを利用してスマホと車載システムを連動させるシステムで協業している。

コンシューマーエレクトロニクス市場の成長に限界を感じたファーウェイは、巨大な自動車市場に狙いを定めている。同社CEOの任正非氏は昨年5月27日付けの社内文書で、スマートカーソリューション事業部を設立し、ICT管理委員会の管理下に置くと発表した。文書では、ファーウェイは自動車を製造することはなく、ICT技術に特化したスマートカー向けICT部品サプライヤーとして、自動車メーカーがより良い車を作れるようサポートするとしていた。

ファーウェイ輪番董事長の徐直軍氏も、同社がスマホ用SoCのKirinシリーズと独自OS「鴻蒙OS(Harmony OS)」をベースに、スマートコックピットを開発する計画を発表している。

36Krの取材では、今回KirinシリーズがBYDのEVに搭載されることになった件は、ファーウェイのスマートカーソリューション事業部が窓口になったのではなく、ハイシリコンとBYDによる直接契約だったことが明らかになっている。

ある消息筋は「ファーウェイのスマートカーソリューション事業部は通常、ソリューションのモジュールまたは一式を提供しているためBOM(部品表)コスト管理が難しい。そのため、一部の自動車メーカーはSoCをメーカーから直接調達している」と述べている。

ファーウェイに近い関係者は、Kirinシリーズだけでなく、ファーウェイとBYDが協業するHiCarや5G通信モジュール、自動車用デジタルキーなどの製品についても、BYDがメーカーから直接調達する形を取っているとした上で「スマートカー事業部はファーウェイの自動車ビジネスにおける一つのチャネルに過ぎない」と述べている。BYDとファーウェイ・コンシューマーBGの協業の基盤は、昨年8月に成立した。当時、シンガポールの受託製造サービス(EMS)大手「フレックス(Flex)」がファーウェイのスマホ製造を中止したことを受け、BYDと台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の「富士康科技集団(フォックスコン)」がファーウェイのスマホ製造を受託することになった。

ファーウェイは昨年4月1日、上海にもSoCの対外販売業務を担当する子会社「上海海思技術(HiSilicon Technologies)」を設立し、4Gおよび5G対応チップと汎用チップを外部の企業に提供することとしたが、kirinシリーズは対象外だった。今回のBYDとの提携は、Kirinシリーズのオープンな供給の第一歩となるかもしれない。

スマホ用SoCの開発から自動車向けSoCの開発に向かう流れは明らかだ。米クアルコム(Qualcomm)が自動車向けに開発したSoC「Snapdragon820A」は、すでに車載装備としてほぼ標準化されている。BYDも2019年から同SoCをコックピット用に採用すると発表していた。しかし、流動的な国際情勢の下、中国企業は国産チップの利用も検討し始めている。

ハイシリコンが開発した「Kirin710」シリーズは2018年7月、ファーウェイのスマホ「HUAWEI nova 3i」に初搭載された。製造は台湾の半導体大手「TSMC(台湾積体電路製造)」が受託し、12nmプロセスが採用された。ところが今年5月の「科創板日報」の報道によると、「Kirin710A」は中芯国際(SMIC)が量産化することになり、チップの設計から製造、パッケージテストまで、全てが中国本土で生産されることになった。Kirin710Aのクロック周波数はベースとなったKirin710の2.2GHzよりも低い2.0GHzで、14nmプロセスが採用されている。

自動車のスマート化が大きく進む中、関連電子部品市場は1000億ドル(約11兆円)規模になる見込みだ。ファーウェイは、さまざまなルートを使い、自動車市場への参入を加速させている。

(翻訳・田村広子)

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