糖尿病患者の負担を軽減、中国スタートアップが針を使わない血糖値測定器で認証取得

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糖尿病患者の負担を軽減、中国スタートアップが針を使わない血糖値測定器で認証取得

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中国は糖尿病大国になってしまった。現在、中国の糖尿病患者数は世界一になっており、中国人の約10人に1人が糖尿病を患っている。世界的に見ると、糖尿病は世界人口の8.8%に影響を及ぼす世界最大の流行病の一つになっている。急激な高齢化や疾病構造の変化に伴い、糖尿病は今後も増加していくと見込まれる。

糖尿病患者にとって大きな負担となっているのは、毎日針を刺して行う採血だ。患者は血糖値を測定するために毎日、何度も指先を傷つける必要がある。1日最低3回、できれば6〜7回測定する必要があるのだが、患者がこれを守るのは大変だ。

これが、血糖値測定器が普及しない大きな原因になっている。中国の血糖値測定器の普及率はわずか20%、つまり、患者5人のうち血糖値測定器を購入して使用するのは1人だけだという。世界平均の60%、先進国の90%と比べて中国の普及率はかなり低い。

「博邦芳舟医療科技(GHA / Global Health Ark Medical Technology)」は、この血糖値測定器にイノベーションを起こした。同社の血糖値測定器は皮膚を傷つけない非侵襲的な測定法を採用している。2019年8月、博邦芳舟は中国企業としては初めて「非侵襲的血糖測定器」で医療機器登録証明書を取得した。

本血糖値測定器は、博邦芳舟が清華大学との10年に及ぶ共同研究によって開発された。これは「国家ハイテク研究発展計画(863計画)」に由来し、そのコア技術のいくつかは国内発明特許を取得している。研究開発から臨床試験登録まで、何万人分ものデータを測定してきた。

新しい測定技術で関心が集まるのは、その精度だろう。博邦芳舟の非侵襲的血糖値測定器はMHC(Metabolic Heat Confirmation)方式をベースに複数のセンサーを組み合わせ、皮膚を傷つけることなく1分弱で血糖値を測定する。臨床試験を通して、その測定精度は静脈血採血による測定値の94.5%、指先セルフ採血の測定値の94.4%に達することが明らかになった。

博邦芳舟はこの製品について「中国初の非侵襲的血糖値測定器認証書を昨年8月に取得しても、それをすぐにそのまま販売することはなかった。センサーの精度を向上させ、アルゴリズムを最適化し、外観を調整するなど、製品をブラッシュアップしたのだ。ブラッシュアップされた製品は量産テスト中であり、認証を取得した当初の測定器に型番を追加することによって承認を得、今後1〜2カ月以内に発売する予定だ」と語る。

鳴り物入りで販売を計画するのであれば、マーケティング計画も考えなければならない。博邦芳舟は現在、全国の医療機器販売代理店と提携し、大手代理店の成熟した販売チームとチャネルを通じて、薬局、糖尿病患者、糖尿病予備群に販売している。将来的には健診センターや医療機関への参入も検討しているという。

従来の侵襲的検査では1日6〜7回の採血が必要であるが、博邦芳舟の非侵襲的血糖値測定器は完全に非侵襲的なので痛みがなく、感染リスクを軽減できる上、いかなる消耗品も使用しないのでランニングコストがかからない。患者への負担も小さいのでユーザーの拡大が見込まれる。この製品は、糖尿病患者の毎日の血糖管理だけでなく、血糖調節障害(耐糖能障害および空腹時血糖障害)のある患者にも適用できる。製品の価格は1万元(約15万円)程度を見込んでいるが、消耗品が不要なため、長期間使用すれば、1回あたりのコストは抑えられるという。

発売予定商品イメージ

この中国初の「非侵襲的血糖値測定器」認証書はどれほど大きなブレイクスルーなのか。業界ではどの程度のレベルなのか。業界概要をちょっと整理してみよう。従来の検査方法は針を使った侵襲的検査であり、この市場の85%に上る病院関係は「ジョンソン・エンド・ジョンソン」「エフ・ホフマン・ラ・ロシュ」「アボット・ラボラトリーズ」などの外国の製薬会社が占めている。小売面では「魚躍医療(Yuyue medical)」「三諾生物伝感(Sinocare)」「北京怡成(Biostrips)」が、国内ブランドのECチャネルでの市場拡大をサポートしている。

技術の進歩に伴い、皮下埋め込み型などの低侵襲的な血糖値測定器が開発される。2017年に中国で発売されたアボットの「FreeStyleリブレ」のほか「Dexcom」「Cnoga Medical」「美奇医療器械(Meiqi)」「凱立特(POCTech)」なども低侵襲的な血糖値測定器を開発している。

今、血糖値測定器は低侵襲的から非侵襲的にシフトしている。例えば、イスラエルの医療機器メーカーがグルコースモニター「GlucoTrack」を開発、2014年にCEマークを取得した。こちらの製品は、耳クリップで耳たぶを挟み、超音波、電磁、熱の変化により、血糖値を算出する。

博邦芳舟は商品発売準備と臨床試験のために新たな資金を調達すべく、出資者候補と連絡を取り始めているという。

(翻訳・永野倫子)

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