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6月27日、中国のライドシェア最大手「滴滴出行(DiDi)」がはじめて一般向けの自動運転サービスを開始した。DiDiのアプリで申し込み、審査を通過すれば、上海の自動運転公道試験の指定エリア内でロボタクシーを無料で呼ぶことができるようになる。
DiDiの発表によると、このサービスは自動運転公道試験の指定エリア内に限定されているため、ロボタクシーを呼ぶ際は乗車と下車地点をともに指定エリア内に設定する必要がある。
安全面への配慮から、ロボタクシーには人間の運転手が同乗し、いつでも運転に介入できるようにしているほか、DiDiは中国初の試みとして自動運転セキュリティセンターを立ち上げた。センターから車両や道路の状況をリアルタイムでモニタリングし、想定外の事態に陥ったときに車両に指令を出すことが可能で、こうしたセンターは自動運転の大規模な実用化に向けた実験の一環でもある。
指定エリア内の一部の交差点には、DiDiが開発した路車間通信システムが配備されており、他社の自動運転車両でも交通状況を受信することが可能なため、安全性の向上につながる。
今回の有人ロボタクシーサービスの特徴について、DiDiのCTO兼自動運転会社CEOの張博氏は、「ロボタクシーが走行できないエリアに行く場合、人間が運転するタクシーにスムーズに乗り換えられるように配車している。そのためロボタクシーは単に目新しいだけではなく、十分交通手段の一つとして利用できる実用性を持つ」としている。
DiDiの創業者兼CEOの程維氏は、「DiDiの強みは、実用シーンとデータを自社で所有し、投資を続ける決意もあるという点だ」と話す。自動運転の技術、ビジネスモデル、法整備のためには、少なくともあと10年かかると程CEOは見ているが、それでもこの分野で投資を続けるという決意は変わらない。「人間ならではもてなしが消えることはない。自動運転によって、ネット配車の運転手は新たな職業に生まれ変わるだろう」ともしている。
DiDiは2016年から自動運転の開発を始め、現在米中両国で合計400人近い規模の開発チームを持つ。同社は北京、上海、蘇州、カリフォルニア州での公道試験のライセンスを取得している。同社では、昨年9月に上海での有人ロボタクシー走行試験のライセンスを取得後、自動運転事業部を自動運転会社として独立させ、今年5月にソフトバンク・ビジョン・ファンドから5億ドル(約500億円)超の資金調達をした。1回の資金調達額としては中国の自動運転企業で最高額である。
ロボタクシーについては、2020年上半期に自動運転スタートアップの「AutoX」と「WeRide(文遠知行)」が地図情報大手の「高徳地図(amap.com)」と協力してサービスを試験的に開始。「小馬智行(Pony.ai)」は従業員向けの有人ロボタクシーサービスを開始するなど、実用化に向けた動きが活発だ。自動運転各社の競争は、今後技術面からサービス面、運営面への広がっていくだろう。
(翻訳:小六)
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