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中国の新興コーヒーチェーンで初出店から19カ月という異例の速さで米ナスダックへの上場を果たした「瑞幸咖啡(luckin coffee)」が、同市場への上場廃止を余儀なくされている。先月29日にはすでに売買を停止した。取引停止前日の28日には株価が暴落するあまりサーキットブレーカーが6回も発動、終値は54%下げて1.38ドル(約148円)となった。
昨年5月に上場した際の公開価格17ドル(約1827円)からは91.88%も下落したことになる。なお、同社の株価が最高値を記録したのは今年1月17日のことで、その価格は51.38ドル(約5521円)だった。
これまでナスダックから2度にわたり上場廃止の通告を受けていたのに対し、釈明の場を設けるよう求めてきた瑞幸咖啡だが、ここにきて方針を180度転換し、通告を受け入れた。なお、中国国内で運営する約4000店舗は引き続き営業すると発表。「3万人近くの従業員が従来通りに良質な商品とサービスをお届けする」としている。
再上場を狙っての退場か
2019年の年次報告が未提出だったことを上場廃止の理由にすれば、ナスダックと瑞幸咖啡の双方にとってメリットがある。ナスダックとしては瑞幸咖啡を早々に退場へ追い込みたい考えだが、上場廃止の理由が22億元(約330億円)にも上る不正会計となると、手続きは煩雑で時間がかかるからだ。
重慶敬友弁護士事務所のパートナー弁護士・周玉婕氏はナスダック上場廃止までの流れについて「瑞幸咖啡がナスダックから上場廃止の通知を受け取った際、当初はこれを不服として弁明機会を求めていた。この場合、上場審査部(Listings Qualifications Department)、上場・ヒアリングレビュー評議会(The Nasdaq Listing and Hearings Review Council)、取締役会と段階を追って上訴することができ、最終的には米証券取引委員会(SEC)が上場廃止の可否を決定することになる」と説明した。
瑞幸咖啡が不服の立場をとり続ける限り、長期戦となるのは必至だった。
瑞幸咖啡が今回、上場廃止を受け入れたということは、時間的ロスを省き、手続きをスムーズにすることを選んだということになる。
インターネット業界に詳しいある人物は「瑞幸咖啡はナスダックから2回、上場廃止の通知を受けている。その理由は『不正会計および情報開示の義務違反』『2019年の年次報告書の未提出』とそれぞれ異なるものだが、後者を上場廃止の理由とすればより都合が良い」と解説し「世論の炎上から速やかに逃れ、経営体制を維持し、あるいは新たな出資者が現われる可能性に期待しているのではないか。そうなれば理論上は再び上場することもあり得る」との見方を示している。
多くの国において、重大な違法行為により強制退場した企業の再上場は許されていない。しかし、シンガポールマネージメント大学ロースクールの張巍助教授によると、米国では強制退場の執行に一定の基準が設けられており、瑞幸咖啡の上場廃止理由が不正行為によるものでなければ、今後に一縷の可能性を残すことになる。
上場廃止後はいずこへ
米国の上場企業が強制退場となった場合、その後の身の振り方は破産申請か市場外取引市場へ転向するかの二択となる。
中国証券監督管理委員会(CSRC)はこうした企業に対し中華人民共和国証券法に基づき1000万元(約1億5000万円)、米証券取引委員会は米SOX法に基づき2500万ドル(約27億円)の罰金を課すことになる。こうなれば国内外の投資家からの賠償請求を受けることにもなるだろう。複数のメディアによる報道をみると、瑞幸咖啡の賠償額は少なくとも数十億ドル(数千億円)、あるいは100億ドル(約1兆1000億円)を超える可能性もある。確実に破産が視野に入ってくる事態だ。
しかし損害賠償請求には時間がかかる。瑞幸咖啡は、当面は市場外取引に転向して命をつなぐことになるだろう。ある証券市場関係者は、瑞幸咖啡がOTCBB(OTCブリティンボード)での取引を選ぶ可能性が高いと予想する。
間違いなくいえるのは、瑞幸咖啡は今後、個人投資家を主な拠り所とし、流動性の低い市場外取引市場で生きながらえながら、幾多の投資家からの賠償請求に対応していくことになる。
(翻訳・愛玉)
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