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7月9日、第三回世界人工知能大会(WAIC)が上海で開幕し、テスラのイーロン・マスクCEOがビデオ出演の形で基調講演を行った。
自動運転はAIの重要な実用化シーンの一つで、この分野ではテスラがトップランナーである。同社は2015年からオートパイロットシステムの搭載を開始し、これまでシステムが稼働した状態で30億マイル走行している。公道走行から得られた大量なデータに基づき、テスラは完全自動運転の実現に向かって邁進している。
以下はマスク氏の基調講演の抜粋である。
テスラの自動運転開発は中国でもうまく行っている。現在中国国内でエンジニアチームを立ち上げる予定なので、興味のある方はぜひ応募してもらいたい。米国のものを中国に持ち込むだけでなく、中国オリジナルの開発を進めて行きたい。
自動運転について、テスラは年内に完全自動運転であるL5に到達できると考えている。L5の実現に向けて、根本的な課題はもはや存在しないと思う。残る課題は小さな問題が多数残されていることと、その小さな問題を解決した後にシステム全体をまとめ上げること、完成後も絶えず修正を行うことだ。ハードウェアはテスラが現在持っているもので十分であり、ソフトウェアの改善だけでL5を実現できる。
AIの成長は特にセンシング(感知)の面で著しく、たとえば画像認識なら、どんな専門家よりもAIのパフォーマンスの方がいい。問題は、どれだけのコンピューターを使うか、どのような実例を学習させるか、そしてAIの効率性はどうかということである。
一方、AIの認知能力はまだ低い。AIが概念を本当に理解しているのか、推理や創造することが可能かどうかは疑問だ。一見クリエイティブに見えるAIもあるが、それらも創作活動を自分自身でコントロールしているとはいい難い状態だ。今後の成長に期待したい。
テスラはオートパイロット用のAIチップを自社で開発しているが、それは当初自動運転用のチップを探していたとき、低コスト且つエネルギー効率のいいチップがないことに気づいたためだ。
TPU(グーグルが開発した機械学習に特化した特定用途向け集積回路)、CPUなどがあるが、これらを使って自動運転を実現するには、数百ワットの電力が必要となり、クルマのトランク全体を冷却装置にしなければならない。そのため、画像認識など自動運転に特化したAIチップを独自開発することにしたのだ。
数カ月前からこのチップの第2世代の開発が始められているが、オートパイロットに実装させるまであと1年以上はかかるだろう。また、より高効率のコンピューターを開発するための冷却システムを開発中だ。
上海にあるテスラの工場は順調で、私も早く現地に行ってみたいと考えている。まだ少し時間はかかるが、工場でもAIデバイスやAIソフトウェアの使用が普及していくだろう。
(翻訳:小六)
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