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3次元デジタルデータ技術の開発を手掛ける中国の新興企業「四維時代(4DAGE)」がこのほど、空間3Dスキャナー(カメラ)の「4DKanKan Pro」を発売した。定価はわずか9800元(約15万円)で、この商品により低コストで3Dのバーチャル空間を作成できるため、新型コロナウイルス対策として中国で普及する不動産物件のVR内見やオンライン展示会などの分野での活用が期待される。
従来の空間3Dスキャンは、専門業者に撮影を依頼する形が多かったが、4DKanKanは撮影した写真をアップロードし、プラットフォーム上で3Dモデルを生成できる。専門スキルは不要で、これまで3時間必要だった作業をわずか10分で行うことができる。カメラの重さは660gであり、1キロ以上が多かった従来の製品から大きく軽量化されている。
4DKanKanは専用のデジタルカラーカメラ(RGBカメラ)で撮影した写真だけで3Dモデリング(3D空間の設計・作成)ができる。また、物体の表面の凹凸をアルゴリズムによるシミュレーションで判別するため、大掛かりな設備が不要である。一定の条件下では、スマートフォンの写真でもモデリングすることができ、シミュレーションの精度はセンチ単位を誇る。この技術により、3Dモデリングのコストを従来の1/10にまで下げることができた。
4DKanKanに合わせてローンチされたアプリなど使えば、オンラインで物件の内見、営業マンの説明を聞くことができる。この設備を導入した業者のなかには、以前と比べ、営業マンの予約が以前の138%になり、業績が215%に上がったところもある。
2020年4月の時点で、4DKanKanはすでに量産化しており、目下の受注は1万台を超えている。設備の販売のほか、四維時代はAPIを公開しており、利用者が使いやすいように各自でアプリを開発できるようにしたり、有料のカスタマイズサービスを提供したりしている。不動産以外では、オンラインの展示会、保険、警察、スマートシティなどの分野にも進出している。
四維時代は2014年に設立され、法人向けにAIによる3Dデジタル技術開発と実用化に取り組んできた。同社は自動3Dモデリング、高精度のロボットビジョン、ビジュアルSLAM(自己位置推定とマッピングの同時実行)、AIビジョンなどにおいて150の特許を取得しており、うち特許発明が60項目、国際特許が10項目である。また、同社は自社で3D空間データを10万点以上保有し、ディープラーニングのためのデータバンクを立ち上げている。それにより、シミュレーションの精度を絶えず高めることができている。
AR/VRの市場分析機関「Greenlight Insights」の予測によれば、2020年の全世界のVR産業規模は1600億元(約2兆4000億円)となり、中国だけで900億元(約1兆3500億円)に上る。3Dモデリングにおいては、四維時代のほかに、不動産仲介大手の「鏈家(Lianjia)」傘下の「如視(REALSEE)」が有名である。
四維時代はプレシリーズAの資金調達を進めている。現在同社の株主はすべて創業メンバーであり、2017年から黒字化を実現している。
(翻訳:小六、編集・後藤)
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