8億ドルを溶かして崩壊した中国新興EV「バイトン」、存続の目はあるか(下)

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8億ドルを溶かして崩壊した中国新興EV「バイトン」、存続の目はあるか(下)

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中国の新興電気自動車(EV)メーカー「BYTON(拜騰)」(以下、バイトン)のダニエル・カーチャート(Daniel Kirchert)CEOは6月29日、中国本土での事業を7月1日から一時的に停止すると従業員に通達し、一部の従業員以外に自宅待機を求めた。

このニュースに驚く人はいなかった。バイトンは86億元(約1300億円)の負債を抱え、すでに北京と上海のオフィスを閉鎖、北米とドイツのオフィスは破産を申請、南京本社も事業を停止。全従業員数を約1500人から約100人まで激減させていた。中国新興自動車メーカーの生存競争は想像以上に過酷だった。バイトンは初の市販EV「M-Byte」の量産を実現することなく競争から脱落していった。

8億ドルの資金を一瞬で溶かした中国新興EV「バイトン」、その崩壊の舞台裏(上)

流出するキーパーソン コミュニケーション不全の研究開発

バイトンCEOのダニエル・カーチャート氏(バイトン公式サイトより)

バイトンは開発に多額の資金を投じたM-Byteで各方面から期待を集める一方、「パワーポイント上だけで車造りをする自動車メーカー」と揶揄する声も止まなかった。

開発に関しては北米オフィスが絶対的な発言権を握っており、中国エリアのチームは北米チームによる開発を基に、現地に合わせた改良や試験・検証を実施していた。仮に中国エリアのスタッフが開発面に問題を発見しても、独自に技術的な調整を行う権限はなく、まず北米チームの承認を得る必要がある上、北米チームからは責任の所在を明らかにするよう求められる場合が多かった。文化・地域・言語・時差のずれは無意味に時間だけを費やすやり取りの原因となり、開発の効率を低下させ、昨年10月に予定されていた量産化の再延期につながった。

量産化に向けた技術的課題が遅々として解決されないことに苦慮した中国エリアの研究・開発チームは昨年12月、北米チームの研究・開発業務を中国に移管するよう強く要求するとともに、中国エリアの研究・開発スタッフが意思決定者なのか調整担当者なのか、立場を明確にするよう求めた。経営幹部らとの話し合いを重ねたものの、成果は得られなかった。

誰がバイトンの経営を引き継ぐのか

資金を使い果たし、負債を抱え、販売できる車すらないバイトンの経営を誰が引き継ぐのか。バイトンには提示された条件を選り好みする余地はない。

バイトンの経営幹部に近い人物は、6月29日に開かれた同社取締役会で二つの議題について議論されたことを明らかにした。一つ目は、人員削減策と無給休暇の実施計画について。二つ目は、組織再編についてで、議論は組織再編の全体構想や新会社設立の具体的な実施案に及んだという。

現在のバイトンの主要株主は「和諧汽車(China Harmony New Energy Auto)」「中国第一汽車集団(China FAW Group )」および南京経済技術開発区。さらに「宝能汽車(Baoneng Motor)」と「吉利汽車(Geely Automobile)」がデューデリジェンスを実施したとの情報もある。

バイトンはどのような形で存続してくのか。ある関係者は「また新たな駆け引きが始まった。結果が見えるのはまだ先だろう」と述べている。

(翻訳・田村広子)

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