クラウド時代のストレージ問題を解決 SDS製品を提供するストレージベンダーが23億円調達

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クラウド時代のストレージ問題を解決 SDS製品を提供するストレージベンダーが23億円調達

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法人向けに「ソフトウエア定義ストレージ(SDS)」製品を提供する「杉岩数据(SandStone)」がシリーズB+で1億5000万元(約23億円)を調達した。リード・インベスターは中国中央政府直轄の国有企業「中遠海運発展(COSCO Shipping Development)」、コ・インベスターは「襄禾資本(Xiang He Capital)」「無錫金投(Wuxi Financial Investment)」で、調達した資金はスマートストレージ製品の研究開発や市場開拓、エコシステムの構築に充てられる。

法人向けストレージはこれまで大きな発展を遂げてきた。最初期の磁気ディスクから独立したディスクアレイへと進化し、最近ではフラッシュメモリーを採用したSSDが広く利用されるようになった。とはいえ、大きく変化したのは主にハード面であり、ソフト面で目立ったイノベーションは見られない。

クラウド時代、ビッグデータ時代を迎えてからは、法人向けストレージのニーズにまたも大きな変化の波が押し寄せ、ストレージはソフト面でも刷新を迫られてきた。その結果、分散ストレージ、クラウドストレージ、コンテナストレージ、オールフラッシュストレージなどの新たな法人向けストレージ製品が数多く生まれた。

杉岩数据が手がけるソフトウエア定義ストレージ(SDS)は分散ストレージの一種である。複数のコンピューターとストレージを結ぶ高速ネットワーク「SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)」と構想はほぼ同じだが、SDSはさらに進んでストレージそのものに組み込まれていた管理・制御機能を分離し、ソフトウエアを通じて必要なストレージ資源を管理できるようにしたものだ。

杉岩数据の創業者でCEOの陳堅氏によると、同社の製品体系も分散ストレージ技術と市場ニーズと共に成長を遂げてきたという。同社の主な製品は以下の通り。

■ユニファイドストレージ・プラットフォーム(SandStone USP)
2015年にいち早くローンチした中・大型企業向けサービス。仮想環境やビッグデータなどのクラウドコンピューティングに適しており、SAN製品との互換性もある。当初はブロックストレージにフォーカスしていたが、現在はオブジェクトストレージも提供している。

■大規模オブジェクトストレージ(SandStone MOS)
2016年にローンチした非構造化データ用の大規模ストレージおよび活用シナリオ。ユニファイドストレージ・プラットフォームは従来型ストレージとビッグデータ・クラウド時代の新たなストレージの双方に対応しているが、新たなストレージ方式を体験した顧客の多くがオブジェクトストレージ製品の購入を決めるという。

■ハイパーコンバージドインフラ(SandStone HyperCube)
前述の2製品が大型企業向けであるのに対し、2018年にローンチしたハイパーコンバージドインフラは中小企業向けの製品となっている。仮想コンピューティング、SDS、クラウド管理プラットフォームを一つにまとめたもので、プライベートクラウドサービスをワンストップで提供する。

■セキュアストレージ(SandStone HuaYan)
ソフトウエアの国産化や新インフラ整備に特化したストレージソリューション。独自制御が可能で、機密データの安全性を確保できる。

陳氏によれば、市場ニーズの拡大につれて、単にストレージ問題を解決するだけではなく、データ管理やデータのスマート化という問題にまで踏み込むことが必要になっているという。杉岩数据の取引先である大手証券会社「広発証券(GF Securities)」を例に挙げると、2017年にまずオブジェクトストレージを提供、その後データ生成から保存、破棄まで全データライフサイクルの管理を行うようになり、最近では膨大なデータを収集した後、画像データのOCR(文字認識)処理を行うなど、データセンシング面のニーズに踏み込んだサービスを提供している。

2019年の売上高は前年の2倍になり、フィンテックやスマート政務、スマート医療、スマート交通など幅広い業種で大規模な商用化を実現している。これまでに提供したストレージ容量は累計2500ペタバイト(1ペタバイト=1024テラバイト)に上る。

杉岩数据は今後、エコシステムの建設に1000万元(約1億5000万円)規模の資金を投じ、中国全土をカバーする販売ネットワークの構築を進めていく方針。特に今年は市場開拓を行うと同時に、基本ハードウエア・クラウドサービス・アプリケーションからなる三層構造のエコシステム形成を目指すとのこと。
(翻訳・畠中裕子)

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