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中国内陸部・寧夏回族自治区の銀川市では街中にあった7000台近いシェアサイクルがほぼ一夜にして姿を消した。代わりに登場したのは4万台のシェア電動自転車だ。青と白の車体はアリババ支援の「哈囉出行(Hello Global)」、黄色はモバイク(摩拜単車)を買収したO2Oサービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」、緑色は配車サービス大手「滴滴出行(DiDiモビリティ)」傘下の「青桔単車(DiDi Bike)」というお馴染みの3色だ。激しい争いはシェアサイクルからシェア電動自転車へと舞台を移した。
2017年、中国のシェアサイクル市場で先陣を切ったのは「ofo(オッフォ)」とモバイクだった。2社共にシェア電動自転車の道を探ったこともある。しかし当時、北京や上海などの一級都市、鄭州や杭州などの二級都市では電動自転車を推奨しないと通達され、市場は一気に冷え込んだ。2019年4月に「電動自転車安全技術規範」が発表され、電動自転車に関する多くの条項が規範化されると、また新たな希望が見えてきた。
シェアサイクルが電動自転車という分野で盛り返すチャンスはあるのだろうか。
当局、同業他社との二重の争い
シェアサイクルに比べ、シェア電動自転車業界はより政策の影響を受けやすい。実際に3年前、勢いづき始めた時にいきなり壁にぶち当たっている。
それまでの電動自転車は車両がほぼ国の基準に達していなかったり、交通事故が起こりやすかったり、火災や電池の汚染などの問題が存在しており、2017年には「オンラインを利用したレンタル電動自転車の発展を推奨しない」という一文が交通運輸部など10部門の委員会が合同で発表した文書に入れられた。その後上海と北京ではシェア電動自転車を推奨しないことが明らかにされ、杭州や天津などの都市でも撤退せざるを得なかった。
大都市で壁にぶつかったことで三級以下の地方都市がシェア電動自転車の新しい戦場となった。
「我々の業界がどこまで発展できるかは、政策に大きく左右される」。かつて「蜜歩科技(meboth)」で4年にわたりシェア電動自転車を手掛けていた呂鋭氏は語る。三級都市以下の地方都市に照準を合わせていたのは蜜歩科技だけではなく、数十の小都市もしくは20~30の園区(観光地、学校、工業団地などの閉鎖的なエリア)で運営していた企業は業界内でも多かったという。政策に阻まれる大都市に比べると地方都市の住民の電動自転車に対する受容度は高く、3~5キロ程度の移動を想定した電動自転車には、比較的単純な道路状況も適していた。
しかし都市の容量が小さければ、業界内での競争が激しくなる。呂氏によると「小都市ではほぼ1社がシェアを独占しており、多くても2社だった。先行企業がいれば、後から参入した企業がシェアを獲得するのは非常に困難だった」という。
都市の管理者たちはシェアサイクルの競争が始まった当時を思い起こすと今でも冷や汗ものだという。2019年以前には、シェアモビリティを手掛ける各企業がクーポン発行やライバルを制するという方法で急速に市場を拡大し、互いに縄張りを争うのが常だった。大量の車両を一気に投入し、ずさんな運営を経て街中に残ったのは大量の鉄くずだった。
当局の規制や同業他社との争いに加えて、シェア電動自転車は隠れた敵からも狙われている。シェア電動自転車の平均走行距離は3~5キロ、時には10キロ利用するケースもあるという。シェアサイクルでは全体の80%が3キロ以内の利用に照準を合わせているのとは大きく異なり、シェア電動自転車は利用距離が長い分、競争相手もより多い。
5~10キロという範囲の移動では二輪車と四輪車がともに利用可能で、それぞれにメリットがあり、競争性もある。江蘇省塩城市、安徽省桐城市、四川省仁寿県などの地域ではタクシードライバーがシェア電動自転車を郊外に移動させてしまう事案が発生。こうしたことはよくあることで、別の都市ではドライバーが電動自転車を破壊することもあるという。
シェアサイクルが電動化で息吹き返す(下)利益を上げられるか
(翻訳・山口幸子)
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