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シェアサイクルが電動化で息吹き返す 中国、共有経済の新しい戦い(下)

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中国内陸部・寧夏回族自治区の銀川市では街中にあった7000台近いシェアサイクルがほぼ一夜にして姿を消した。代わりに登場したのは4万台のシェア電動自転車だ。青と白の車体はアリババ支援の「哈囉出行(Hello Global)」、黄色はモバイク(摩拜単車)を買収したO2Oサービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」、緑色は配車サービス大手「滴滴出行(DiDiモビリティ)」傘下の「青桔単車(DiDi Bike)」というお馴染みの3色だ。激しい争いはシェアサイクルからシェア電動自転車へと舞台を移した。

シェアサイクルが電動化で息吹き返す(上)当局、同業他社との二重の争い

電動自転車は利益を上げられるか

多くの人がなおシェア電動自転車業界で勝つ決め手は資本力だと見ており、中堅企業よりも大手の一挙手一投足に注目が集まっている。

少し前に滴滴傘下の青桔単車が10億ドル(約1070億円)を調達したとスクープされた。米有料メディア「The Information」によると、そのうち8億5000万ドル(約910億円)は滴滴出行からの出資で、1億5000万ドル(約160億円)は「君聯資本(Legend Capital)」とソフトバンクが出資したという。この金額は2018年3月にofoがアリババなどから調達した8億6600万ドル(約920億円)を上回った。

資金を調達したのは青桔単車だけではない。哈囉出行の共同創業者で執行総裁の李開逐氏によると同社は2019年末に最新の資金調達を完了しており、今後数年間にわたり新事業を拡大するのに充てるという。出資したのは大株主であるアリババグループの金融サービス会社「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」とその他の既存株主だという。

シェア電動自転車の主な事業者(1~5までの事業者は車両とサービス両方を提供) 出典:未来汽車日報が公開されている資料を整理したもの

シェア電動自転車は大量の資金を投入しながら利益を上げられなかったシェアサイクルと同じ運命をたどるのだろうか。答えはおそらくノーだ。

各種の要因からシェア電動自転車はシェアサイクルのように大量に車両を投入して市場を開拓することはできない。業界関係者によると、シェア電動自転車が未参入の都市の場合でも、配置できる車両は人口10万人ごとに1000台までだという。また収益に関しても、シェアサイクルと同様の問題は起こらない。

現在、電動自転車の導入コストは1台あたり2000元(約3万円)前後で、自転車の2~3倍だ。運営コストも2倍近くかかる。平均的な利用料金は20分まで2元(約30円)で、その後10分ごとに1元(約15円)の追加料金がかかる。1回の平均利用額は3元(約45円)前後で、1台の1日平均利用回数は季節によるが、冬は1~2回、夏は6~8回だという。通常の場合、適切に運営すれば1年後には黒字を実現できる。

シェア電動自転車が長期的に避けられなかった充電問題もここで転機を迎えている。以前の充電スタンドは利用率が低く、探すのも大変だったが、バッテリーを充電式から交換式にすることである程度解決できるようになった。電気自動車のバッテリー交換に比べ、電動自転車のバッテリー交換は場所代とコストもそれほどかからない。シェア電動自転車向けバッテリー交換を手掛ける一部の大手企業はバッテリーのレンタル事業だけを見ても10カ月以内にキャッシュフローがプラスに転じ、15カ月でコストを回収できるという。

銀川市の街中に並ぶシェア電動自転車:寧夏旅遊

資本市場も電動自転車向けのバッテリー交換事業に注目し始めている。昨年6月、哈囉出行、リチウムイオン電池大手の「寧徳時代(CATL)」、アント・フィナンシャルが10億元(約150億円)出資して合弁会社を設立し、「哈囉換電」というサービスを開始。今年5月、哈囉換電は電動二輪車国内最大手「雅迪電動車(Yadea Electronic Scooters)」からシリーズAで数千万元(数億円)の資金を調達している。電動自転車はその車両以外にも、充電やバッテリー交換がそのエコシステム上で重要な役割を担うようになっている。

業界関係者は、大量に資金を投入しても利益が出なかった初期のシェアサイクルとは異なり、シェア電動自転車は着実に利益をもたらすと見ている。大手から中小企業まで各社が本気で戦い始めたら最後に誰が笑うかはまだ未知数だ。
(翻訳・山口幸子)

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