テンセント支援の共同購入型生鮮EC「興盛優選」、新たに860億円を調達

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テンセント支援の共同購入型生鮮EC「興盛優選」、新たに860億円を調達

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消息筋からの情報によると、住宅地向け生鮮食品や日用品の共同購入型ECを手掛ける「興盛優選(Xingsheng Youxuan)」が、まもなくシリーズC+で約8億ドル(約860億円)の資金調達を完了させる見込みだという。調達後の時価総額は40億ドル(約4300億円)になる。リードインベスターはコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、コ・インベスターは既存株主のテンセントとセコイア・キャピタル・チャイナ、「天一資本(Tianyi Venture Capital)」。

興盛優選の資金調達歴。36Krが画像を作成

興盛優選は2018年1月設立。生鮮食品と日用品をオンラインで販売し、住宅地近辺にあるコンビニに配達した後に、購入者に取りに来てもらうという方式を採用している。

同社の公式情報によると、2019年のGMV(流通取引総額)は100億元(約1500億円)以上となり、前年比1250%増となった。湖南省から始まった同社の事業は、すでに13の省や直轄市に広がっている。また、資金調達をこれまでに5回行い、10億ドル(約1100億円)以上を調達している。

住宅地の共同購入事業は、2019年に再編が行われ、中小の企業は撤退あるいは吸収され、大手でも合併が相次いだ。しかし、そこから1年もしないうちに、新型コロナ禍による巣ごもり需要の急増で、この分野は再び急成長に転じ、大手各社のGMVと利用者数はともに倍以上に増えた。これを機に、インターネット大手も当該事業を再評価するようになったのである。

テンセントは興盛優選に継続的に出資するほか、「食享会(Shixianghui)」にも出資している。アリババも新型コロナ禍の最中に「十荟団(NiceTuan)」に追加出資した。さらにアリババでは、グループ内の各事業部が自ら共同購入を運営する動きも活発になっている。

生活関連サービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」も新たにこの分野に参入した。同社は2020年7月7日に、「優選事業部」を新設し、住宅地の共同購入事業を始めることを発表。興盛優選などの企業と同じビジネスモデルを採用した美団は、サプライチェーンの構築にかなりの時間とコストをかけることになりそうだが、同社にはトラフィックの獲得とマーケティングを効率よく行えるという強みがある。

これらの企業と比較した場合、興盛優選の最大の強みは、サプライチェーンである。これは同社が当該業界初のユニコーン企業に成長できた要因であり、今後の競争において勝ち抜く重要なファクターにもなり得る。

興盛優選の運営会社は「芙蓉興盛(frxs)」で、同社は2000年に設立された。卸売店からスタートした同社は、2001年に「芙蓉興盛」という名称の大型スーパーに業態転換。しかし、国内外のスーパーマーケットチェーンとの激しい競争から、2009年に再度同名のコンビニに業態を変更した。2020年の時点で、芙蓉興盛の店舗は1.5万店以上となり、その90%が黒字化を実現している。

多くの店舗を持つ芙蓉興盛は、2016年からO2Oのビジネスモデルを開始した。はじめはオンラインの注文を近くのコンビニから配達する方法を採ったが、物流コストが高く、かつトラフィックがオンラインに留まるだけで、来店へとつなげることができなかった。そこで、同社は住宅地の共同購入というビジネスモデルを採用した。この方式なら、事前に取りまとめた注文を大量に配送でき、かつ購入者は店舗まで取りに来なければならないため来店へとつなげることができる。同社が長年かけて築き上げたサプライチェーンと店舗網を有効に活用できるのである。

しかし、巨大な資金や豊富なリソースを持つインターネット大手の参入は脅威である。興盛優選のような企業がサプライチェーンだけで勝てるかどうかは不透明だ。住宅地の共同購入は参入ハードルが低く、早期にシェアを奪うことが重要な分野だからである。インターネット大手が参入したからには、興盛優選には企業全体の効率の向上、規模の拡大を目指す必要があるだろう。

したがって、興盛優選は資金調達を続ける他、上場する可能性もある。消息筋によると、興盛優選は今回の資金調達を上場前の最後の資金調達と位置づけているという。今後の戦略がどうなるのか、引き続き注目していきたい。

(翻訳:小六)

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