バイトダンスvsテンセント 次なる戦いは車載システム

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中国IT大手のテンセント(騰訊)傘下のニュースアプリ「騰訊新聞(Tencent News)」とバイトダンス(字節跳動)傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」、チャットアプリの「WeChat(微信)」と「多閃(Duoshan)」、ショート動画アプリの「微視(WeShow)」と「TikTok(中国国内版は抖音)」など、両社の同カテゴリーにおけるこれまでのアクセス数争奪戦が「自動車」分野にひそかに移りつつある。

「中信証券(CITIC Securities)」のリポートでは、2018年の中国のコネクテッドカー(IoV)市場規模は約486億元(約7400億円)、2021年には1150億元(約1兆7600億円)になると予測している。成熟したIoV市場におけるサービス費用は約40%を占めるという。

データ出所:中信証券

中国調査会社QuestMobileの「2020モバイルインターネットシーンリポート」によると、今年4月時点で、TikTokのMAU(月間アクティブユーザー数)は5億1100万人、WeChatは9億4500万人に達している。18年4月比でWeChatの上昇幅はさほど大きくないが、TikTokのほうは倍増している。

出所:QuestMobile2020モバイルインターネットシーンリポート

新たな戦いの場においては底力のある「古参」テンセントと、急成長中の「新人」バイトダンスのどちらがIoV市場でアクセス数を牛耳るのだろうか。

「古参」テンセントに挑む「新参者」バイトダンス

IoVは今後スマホに替わるモバイルインターネットアクセスへのメインデバイスになるとみられている。現在IoV市場に参入しているテックジャイアントは、今後のアクセス数が枯渇しないように集客チャネルをすでに構築している。

中国IT大手バイドゥ(百度)およびアリババが基盤技術の研究開発に多くの人的・物的資源を投入しているのに対し、バイトダンスとテンセントはIoVへのアクセスにおいてハードウエアではなくソフトウエアから切り込んでいる。

これは、バイトダンスとテンセントが今後IoVのアクセス数を獲得するために、まず現在の膨大なアクセス数を生かして今後のシェア獲得を試みたともとれる。

テンセント傘下の「騰訊車聯(Tencent Auto Intelligence:TAI)」はこのほどTAI3.0システムを発表し、繁雑なテンセントのアプリケーションをライフスタイルとレジャーに二分した。車載アプリ「騰訊随行」では、車載用WeChatで音声入力による支払いとチャット機能が利用でき、近くのレストラン、ジムなどの位置情報も表示が可能だ。もう一つのアプリ「騰訊愛随聴」は、テンセントの音楽配信サービス「QQミュージック」、電子書籍アプリ「微信読書(WeRead)」、テンセントニュース、テンセントスポーツ、オーディオブックサービス「閲文聴書(China Literature Listening)」、音声配信サービス大手「喜馬拉雅(Ximalaya)」などの音声コンテンツを含む。テンセント系列ではないアプリを取り入れるために、騰訊車聯は開発者向けにオープンプラットフォーム「騰訊小情景」を打ち出した。これはWeChatのミニプログラムと類似している。

このほか、テンセントは2018年に「長安汽車(Changan Automobile)」と合弁で「梧桐車聯(Phoenix Auto Intelligence)」を創設している。2019年2月にはIoVソリューションの「蘑菇車聯」がシリーズAで1億2000万ドル(約128億円)を調達した。そのリードインベスターを務めたのがテンセントであり、両社は同年11月に戦略提携を結んでいる。それに加え2017年に打ち出した騰訊車聯「Al in car」もある。それぞれ異なるカードを獲得したテンセントはすでに三枚のカードを持っており、どのカードも勝敗を決める際の切り札となり得る。

一方、バイトダンスはTikTok、今日頭条などのDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)が1億人を超えている。このほか、同社傘下の動画配信プラットフォーム「西瓜視頻(Xigua Video)」、オフィスツール「飛書(FEISHU、海外版「Lark」)」、自動車関連コンテンツのコミュニティ「懂車帝(Dongchedi)」、SNS「飛聊(Feiliao)」などのプロダクトもある。とはいえ、ラインナップが豊富であってもやはりテンセントには対抗できず、自社だけの力で車載用応用シーンを構築することは難しい。ましてやテンセントのように各シーンを関連付けるプラットフォームを構築するとなるとなおさらだ。さらにバイトダンス傘下のプロダクトの多くがTikTokや西瓜視頻などの動画アプリだ。完全な自動運転により人間が開放され、同社の動画アプリが車内で使用されるまでにはさらなる開発が待たれる。

テンセントニュースのMAUは今日頭条を上回る。 出所:QuestMobile2020インターネットシーンリポート

現在の状況からみると、どのシーンもバイトダンスにとっては不利である。テンセントとバイトダンスが一触即発の雰囲気であるため、バイトダンスとしても車載システムにWeChat、モバイル決済「WeChatペイ(微信支付)」などテンセントのアプリを搭載することは難しい立場にある。

ナビシステムやモバイル決済機能を持たないバイトダンスが、応用シーンから着手し車載システム構築を目指そうとするのであれば、アプリの種類を増やしテンセントに匹敵するプロダクトチェーンを構築するか、他社との提携で「コミュニティ」を積極的に拡大しアプリの種類の充実化を図るかのどちらかである。

モバイル時代に入り、テンセントもバイトダンスもそれぞれの分野でトップの座を収めた。テンセントはWeChatのDAUが1位になり、バイトダンスもTikTokでユーザー利用時間がトップとなった。車載装置においては、WeChatはすでに搭載されている。バイトダンスのTikTokが滞りなく搭載されるのか、もしくは別の方法で車載装置のCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上を図るのか。次なる「トップ争い」のカギがここにあるように思える。

(翻訳:lumu)

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