中国、ネット配車の価格戦争再燃 美団が最大3割の値引きキャンペーン開始

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中国、ネット配車の価格戦争再燃 美団が最大3割の値引きキャンペーン開始

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モビリティサービス集約型のプラットフォームを構築して1年、中国の生活関連O2Oサービス大手「美団点評(Meituan Dianping)」が運営する「美団打車(Meituan Dache)」は、再び値引きキャンペーンの実施を計画している。

中国の経済専門ニュースメディア界面(Jiemian.com)によると、美団打車はモビリティ事業関連の提携事業者と頻繁に接触しており、サービス利用者向けのさらなる値引きキャンペーンを準備中だという。中国国内の各主要都市で10%以上のシェア獲得を目指し、具体的な実施期間は設けずに目標達成までキャンペーンを続ける見込みだ。ユーザーはアプリ経由でクーポンを取得でき、1回の利用につき20~30%の値引きが適用される。

画像は美団打車より

美団打車がシェア獲得の手段としてこうした値引きキャンペーンを展開するのは今回が初めてではない。

これまでグルメやエンタテイメントの分野に注力してきた美団が、モビリティ事業でもシェアを握るために大がかりな資金投入を敢行したことは広く注目を集めた。傘下のモビリティサービス美団打車は2017年2月にまず南京市でサービスを開始したが、迅速に受注件数を増やすためにドライバーに対し資金面で大々的なバックアップを行った。翌年3月には上海市でもサービスを開始したが、営業開始わずか3日で同業最大手の滴滴出行(DiDiモビリティ)から同市のシェアの3分の1を奪取した。

しかし、快進撃のあとに残ったのは巨額の資金投入による損失で、グループ全体の足を引っ張る結果になった。2018年9月、美団が上場した際の目論見書によると、オンライン配車事業でドライバー支援に割いた資金は2017年には2億9000万元(約44億円)だったが、2018年には44億6000万元(約680億円)にまで急増。同年は月あたり3億7000億元(約56億円)を投入していたことになる。最終的に、美団の2018年通期の調整後純損失は85億2000万元(約1300億円)で、その大部分がモビリティ事業による巨額の支出に起因するものだった。

2019年、美団打車は1年の沈黙を経て事業モデルを軽量化し、「曹操出行(CAOCAO)」「首汽約車(Shouqi Limousine & Chauffeur)」「神州専車(UCAR)」など他社のサービスを集約するプラットフォーム型に転換した。同年末時点で54都市にサービスを提供している。

この事業改革が奏功し、2019年の美団の財務諸表ではオンライン配車やシェアサイクルなどの新事業の売上高が204億元(約3100億円)で事業全体の21%を占め、純利益は23億元(約350億円)だった。オンライン配車事業の損失は目に見えて縮小したが、同事業単体の売上高は財務諸表には記載されていない。

モビリティ市場ではこうした集約型プラットフォームが新たな競争を生んでいる。地図サービス大手「高徳軟件(AutoNavi Software)」傘下のモビリティ事業では40社以上の企業を集め、プラットフォームとしては業界最大規模を誇る。これまでサービスを完全に自社でまかなってきた滴滴も昨年に集約型プラットフォームの立ち上げを宣言し、多くのサードパーティー企業と提携を決めている。

大手数社がプラットフォーマーに転換する中、美団が懸けてきた価格勝負は吉と出るだろうか。
(翻訳・愛玉)

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