逆風にさらされるTikTok創業者が2通目の手紙 「ひとときの屈辱に負けずに、正しいことをやり抜こう」

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世界を席巻したショートムービーアプリ「TikTok」に残された時間はわずか40日。運営会社のバイトダンス(字節跳動)に対し、トランプ米大統領は期限を定めて米国事業売却か利用停止措置かを強硬に迫っている。加えて中国国内の世論は真っ二つに割れて紛糾している(トランプに抵抗の姿勢も見せず、TikTok売却を検討する創業者の張一鳴氏に対して、「売国奴」「臆病者」と批判した中国人もいる)。これまでほとんど表舞台に姿を現さなかった張氏だが、世界に6万人の従業員を抱えるグローバル企業のトップとして、事態の沈静化を図るべくその心の内を吐露した。

8月3日、張氏はバイトダンスの全社員に向け、売却案件の進捗報告を兼ねて自身の思いを綴った書簡を公開した。その翌日、中国本土における社員に対して「ひとときの屈辱に負けることなく、正しいことをやり抜こう」との書簡も送った。

「中国で働く仲間たちに心からの感謝を表明したい。いつも感じていたことだが、はっきり言葉にするのは初めてだ」。書簡の冒頭で張氏は社員への謝意を述べ、度重なる出張や言語の壁などグローバル化を進めるために社員が払ってきた多くの犠牲をねぎらった。

バイトダンスでは自社が世界各国から来た社員で構成されているグローバル企業であることを常に社員に意識させているというが、これは視野が狭ければ他国の文化や価値観を見下したり、自分の基準を異なる文化の仲間に押しつけたりする問題が起こりうるためだとした。文化の衝突を経験する中国企業はごく少数であるものの、「多様性と包括性」を企業理念に加えたバイトダンスにとっては避けられない問題だと強調している。

さらにソーシャルメディア上の論争にも答え、次のように綴っている。

「中国から世界に飛び立つグローバル企業に人々が大きな期待を寄せていることは、私もよく理解している。しかし情報が限られており、米国政府の措置に大衆が怒り心頭という現状では、我々に対する痛烈な批判の声が上がるのも無理からぬことだろう」

「ただ、多くの人は問題の核心を見誤っている。CFIUS(対米外国投資委員会)がTikTok米国事業の売却を強要しているのは、『Musical.ly』の買収を問題視しているからではない。真の狙いはTikTokを米国から完全に締め出すことだ」

「しばらくは、深い事情について公の場で語るわけにはいかないだろう。これまでも、受けた批判に対していつでも釈明できるわけではなかったが、それによって経営陣に対する社員の信頼は増し加わった。しばらく人々から誤解されるとしても、それを甘んじて受け入れなければならない。どうか、ひとときの屈辱に負けることなく、正しいことをやり抜いてほしい」

書簡の末尾では、近年多くの国々で反中感情が高まっていることに言及し、インドや米国など一部国家の政治家が中国と中国企業を徹底的に叩き、良識的な人が公正を叫ぶことさえできない雰囲気になっていると指摘。

張氏は、そうであっても長期的な成長という観点で今の試練に向き合うべきだと呼びかける。引き続きより良い製品作りに専念し、ユーザーの利益を保護し、社会的責任を果たす点で高い理想を掲げていくなら、ユーザーはきっと我々についてきてくれると信じており、それが中国企業に対する評価を高めることにもつながると述べた。

張氏は最後に、共に奮闘してくれている中国の社員たちへ感謝をしたためて書簡を締めくくった。
(翻訳・畠中裕子)

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