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創業から77年を迎えたIKEAが世界各国で店舗の「変身作戦」を実行している。ロケーション的にもサイズ的にも、人々が抱く「郊外の倉庫型大型店舗」というイメージを打破しようとしている。例えば、先頃中国にオープンした都心型店舗は上海で最も賑やかな静安区にあるが、店舗面積は3000平方メートルにも満たず、従来の店舗と比べると95%近くコンパクトになっている。
2018年以降、IKEAの業績は思わしくない。2018会計年度(2017年9月1日〜2018年8月31日)の売上高が前年同期比5%増にとどまり、純利益が前年同期比で40%以上も落ち込んでいることからも明らかなように、創業以来70年以上行われてきたストアマネジメントが通用しなくなり、IKEAは変革を迫られている。
2018年暮れ、IKEAは一連のモデルチェンジプランを発表した。今後世界30ヶ所で都心型小規模店舗を新規オープンさせ、2019年から2021年までの期間に、総合性を高めた体験センターやクリエイティブなアパート、IKEAホテルやオフィスビルなどの建設を含めた「グローバルな不動産開発」に58億ユーロ(約7280億円)を投入することを計画している。
2019年8月、IKEAは中国市場における発展戦略「未来+戦略」を初めて公表した。それによると、IKEAは中国に100億元(約1500億円)を投入し、店舗新設やデジタル化、ホームプランニングサービスの普及を進めていくとしている。同戦略の一例として、本国スウェーデン以外で初となる「IKEAデジタルイノベーションセンター」を上海に建設した。
郊外で苦戦するIKEA、変化を求め都心部進出
IKEAは低価格・高品質を売りに、50km離れた郊外へ自動車を走らせてでも、リーズナブルな家具を買いたいという気持ちを消費者に植え付けた。しかしその消費者は現在、都市中心部の店舗やオンラインモールを利用する傾向が強くなっている。とりわけ巨大な中国市場では、ECチャネルにより既存小売ブランドの実店舗の顧客がオンラインに誘導され、モバイルネットワークの発達により、若者の「巣ごもり化」が進んだ。
郊外店舗に若年層が魅力を感じなくなったため、IKEAは都心部へ店舗を移転させ、店内に体験エリアを追加し、より多くの新業態店舗をオープンさせることを決定した。また、オンラインショッピングを利用する傾向が強い若年層に対応するため、公式アプリや「WeChat」のミニプログラムをローンチし、アリババ系ECモール「天猫(T-mall)」に旗艦店を開設するなど、あらゆる試みを行った。
小型店舗は雰囲気や広さでは各店各様だが、共通しているのは倉庫型店舗からの脱却、オンライン購入の奨励、製品体験の強調、トータルプランニングサービスの提供という特徴だ。
「compact & beautiful」に魅力
計画の実行は立案に比べ多くの知恵を要する。都心部へのシフトは、郊外の場合と比べ運営効率とコストが試される戦略であるため、IKEAは実店舗に対して大鉈の改革を行い、SKU、商品カテゴリー、倉庫、シーン、面積などの問題について取捨選択を行った。
都心型店舗は倉庫型システムではなく、在庫や陳列のためのスペース限られているため、「多看少買(たくさん見て少しだけ買う)」を推奨し、オンライン購入を勧めている。たとえば上海市中心部の静安寺エリアに7月23日にオープンした都心型店舗「IKEA City」では、広さ3000平方メートルの店舗に合わせ、SKUは大型店舗の5分の1の3500に厳選されている。陳列商品の3分の1は直接購入が可能だが、その他の商品を購入したい場合は、商品ラベルのQRコードをスキャンしてイケア公式アプリの商品ページにアクセスし、通常のネットショッピングと同じプロセスで商品を購入することになる。
同時にIKEAは、業種の垣根を越えたより豊かな消費シーンを活用することで、興味の対象が移ろいやすい若年層の消費者を引き留めている。2019年、IKEAは広州天河店にイタリアンコーヒーやスイーツを販売し、IKEA独自のコーヒーツールも購入できるIKEAカフェを導入し、2020年の初めには上海徐匯店にロースタリー(焙煎所)を導入した。2020年6月にオープンした原宿店内には世界初となる「スウェーデンコンビニ」を併設した。このコンビニには、通常のコンビニのように便利で手軽に買える商品が集められ、コーヒースタンドも設置されている。
創業年数という観点で見ると、IKEAはすでに古稀を過ぎた老人だ。しかし「消費者の心の家により近く」という根本方針を終始貫いてきたIKEAは、常に若々しさに満たされている。
(翻訳:浅田雅美)
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