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新型コロナウイルスの感染予防のために、一夜にしてマスク着用が当然という日常が始まった。一方、多くのデバイスで用いられている顔認証にとっては大きな課題が生まれた。
顔認証技術だけでは刻々と変わる需要に対応しきれなくなっている。生体認証技術には明らかにボトルネックが存在する。一部機能が利用できない、利用者のエクスペリエンス(CX)の低下などの問題がを起きているのだ。
安定した虹彩認証技術
虹彩は人体で最も独特の構造をなす。虹彩認証は赤外線により認識判断が行われる。虹彩は多くの細かな特徴を持ち、胎児の発育段階で形成されると生涯にわたって変わることがない。また外部環境の影響により損傷したりすることもない。極めて強い独自性、安定性、生物活性、偽造防止などの特徴があるため、DNAを除けば虹彩認証は「最も信頼のおける生体認証」とされている。
これまでの指紋認証や顔認証は安定性においては脆弱な部分があった。指紋認証では指紋の摩耗、汗、手荒れ、汚れなどの影響を受けやすい。顔認証は光、年齢、肌の色、化粧、双子を含む多胎児の顔つきなどがその安定性に影を落とす。一方、虹彩認証はその他の生体認証技術と比べても、多くの優位性があり、誤認識率も100万分の1程度である。世界にはまったく同じ虹彩を持つ人間はいないとされ、虹彩認証は顔認証や指紋認証よりもはるかに偽造されにくい。
不特定多数の中から虹彩認証できる強み
一般的に言って、人の特徴は多ければ多いほど他の人との識別がしやすくなる。顔認証をする際の特徴ポイントは通常30カ所前後、指紋認証で約100カ所ある。一方、虹彩認証は200カ所余りある。同等の解像度レベルであれば、1万人規模で顔認証、10万人規模では指紋認証、100万人規模以上になると虹彩認識が唯一無二の選択となる。
また、虹彩認識では、少し離れたところからの認識となるが、それは近すぎる距離での虹彩認識は難易度が上がり応用シーンも限られるためだ。虹彩認識のために顔を20~30cmまで近づけると虹彩の認識度が高まり、認識するための時間も長くなることで、CXが下がってしまう。しかし一定の距離を保つことでこれらの認証CXが大幅に改善される。さらに重要なのは、1mほどの距離から顔と虹彩を同時に撮影し虹彩の特徴に顔の特徴を取り込み、国民IDデータバンクの情報と照合することにより、互換性が向上し高い運用を実現できることだ。
海外市場の検証と中国国内虹彩技術の発展
中東諸国のアラブ首長国連邦、サウジアラビアなどは早くから虹彩認証技術を取り入れている。女性はブルカをかぶり、男性はひげを蓄えているため、顔認証技術はさほど実用的ではなかったからだ。インドは世界最大規模の虹彩収集データバンクを有する国だ。12億人の虹彩情報をデータ入力しており、虹彩だけでも国民の99.5%の識別が可能となっている。
一方、中国は虹彩認証の研究のスタートが遅かった。1999年、中国科学院自動化研究所の譚鉄牛院士の下、知的財産権を有する中国初の虹彩画像収集システムの開発に成功した。中国国内で最初に虹彩認証を実施したのは炭鉱労働者に対してだ。安全面の配慮から炭鉱労働者は採掘場への出入りをチェックする必要があった。しかし炭鉱という特殊な作業条件により、指紋識別や顔認証はいずれも採用が難しかった。虹彩認証技術だけが炭鉱現場で適応できたというわけだ。
虹彩認証のビジネス価値
虹彩認証技術はすでに業界で急成長中である。市場の成長率も右肩上がりだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの人に受入れられてきた顔認証の技術的な弱点が明らかになり、虹彩認証が重視されはじめている。公安当局の虹彩認証技術の実施やスマートシティ、スマートセキュリティー、スマート教育、スマート金融などの関連業界におけるスマート化のさらなる実施に伴い、今後虹彩認証技術はますます身近になるだろう。ゆえに虹彩認証技術は市場発展の巨大な可能性も有しているといえる。
(翻訳:lumu)
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