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生活関連サービス「美団」がアリペイを排除 蜜月関係から宿敵への裏事情

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フードデリバリーなど生活関連サービスを提供する「美団点評(Meituan Dianping)」の決済画面から、アリババ傘下の決済サービス「アリペイ(支付宝)」が消えた。「WeChat Pay」と「Apple pay」は依然として画面上に候補として表示されている。

これまでアリペイは、美団アプリの決済画面に非表示とはいえ存在しており、「全て表示する」をタップすれば選択できた。しかし今回は完全になくなっている。

美団がアリペイを締め出すのはこれが初めてではない。2016年と2018年に、フードデリバリーの支払いで一時的にアリペイが使えなくなったことがあった。その際にもWeChat Payは変わらず目立つ場所に置かれていた。

現在、アリババは美団の1.48%に当たる株式を保有している。「両社の間にある1%の『愛情』すらも失われてしまった」とネットユーザーは冗談めかして言う。

とはいえ始まりにおいては、成長期の美団に対して大企業のアリババは何かと目をかけ保護してきた。早くも2011年、アリババは美団にシリーズBで5000万ドル(約53億円)を出資し、この巨額の資金援助のおかげで美団は乱立する共同購入サービスの生存競争を生き残ることができた。ただこの蜜月関係は長くは続かず、両社は次第に疎遠になっていく。2015年に美団が口コミサイト「大衆点評(Dazhong Dianping)」と合併すると、「昔の恋人」であるアリババとの愛憎劇が始まった。

美団CEOの王興氏が明かしたところでは、美団点評は合併後にアリババとテンセントから同時に支援を取り付けようとしたという。ところがアリババからは門前払いを食らってしまう。アリババは出資金を引き揚げ、美団は10億ドル(約1050億円)の追加出資を申し出たテンセントと共に歩むことを選ぶ。

愛情が深い分、憎しみも大きくなる。美団点評が見事に上場を果たすと、いきり立ったアリババは美団のライバル、フードデリバリー「餓了麽(Ele.me)」を600億元(約9100億円)で買収、さらに大衆点評と共に中国二大口コミサイトと言われてきた「口碑(Koubei)」への支援も強化した。「昔の恋人」が宿敵へと姿を変えたのだ。

しばらく膠着状態が続いていたが、今年3月にアリペイが大型アップデートを発表、単なる決済ツールから美団と同じ生活関連サービスのプラットフォームへの転身を打ち出すと両社の戦いは一気にヒートアップする。両社は今後、さまざまな分野で火花を散らすだろう。12億人ものユーザーを抱えるアリペイは、美団にとって相当手ごわい相手だ。

アリババの攻勢に対して美団がとった戦法は、アリペイの最大の強みである決済分野を狙うことだ。5月29日、美団は新機能「月付」をリリースする。今月消費した分を翌月にまとめて支払うサービスで、最長38日間は無利子になる。さらに最長12回の分割払いも導入し、消費者ローンにも手を広げた。

いまだ美団の1.48%の株式を保有するアリババについて、王興CEOは率直にこう語ったことがある。「アリババが2016年に我々の株を売却したのは、資金調達を妨害したかったからだ。気に入らないなら、残らず売却すればいいものを」。アリババがわずかな株式を手放さないのは、今後も美団に嫌がらせをする意図があるからかもしれないと、王興CEOは言う。

今年、美団は時価総額を1000億ドル(約10兆円)の大台に乗せ、テンセント、アリババに次ぐ中国第3位のIT企業となった。

ずっとアリペイからの脱却を望んでいた美団だが、今回ついにそれを成し遂げた。円満な別れなど、この2社には似つかわしくない。とはいえ、デリバリー注文の際に選べる決済方法が減って、消費者たちはいささか不便を強いられることになる。(翻訳・畠中裕子)

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