緊急救助やダム巡回検査に水中ドローン、海のDJIを目指す新興企業「Chasing」

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緊急救助やダム巡回検査に水中ドローン、海のDJIを目指す新興企業「Chasing」

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水中ドローンを開発する「深圳潜行創新科技(Chasing)」は世界最大の家電・IT見本市「CES 2020」で、世界初となるスラスター8基を搭載した潜水ドローン「Chasing M2」(中国では「潜鮫P100」)シリーズをリリースした。先日、そのM2シリーズの販売が正式に発表された。常務副総裁の周長根氏は「M2シリーズは販売後1か月で1000台に達した」ことを明らかにした。

プロフェッショナルユーザーおよび産業用アプリケーション向けに設計されたプロフェッショナル水中ROV(遠隔操作型の無人潜水機)・ドローンはここ数年成長傾向にある。周副総裁は「弊社が打ち出したのは一般消費者向けであるが、水産業、水質検査などの業界での応用シーンは多い」と語る。Chasingの統計によると、海外市場では40%のユーザーが事業用に運用しているという。

これまでは一般消費者向けの製品では業界の需要を満たすことができなかった。Chasingは航続距離、移動角度、動力面など脆弱な部分に焦点を絞り改良を加えた。それにより、今回打ち出したM2シリーズは緊急救助や水中での科学調査、水産業、船体検査、ダム巡回検査など多種多様なシーンに応用できる。

一般消費者向けドローンの分野では、世界最大手の「DJI(大疆創新科技)」が世界市場の70%を占める。海洋分野においては2016年、水中ROVの技術で大きな進展があった。それに伴い、多くのスタートアップ企業が水中ドローン市場に参入し、水中での「DJI」ポジション争いを繰り広げている。周副総裁は、水中ドローンは中国国内企業が主な競合相手だという。しばらくは業界再編と市場競争を繰り返し、将来的には3~5社のみが存続することになるとの見通しを示した。

これまでの水中ドローン製品は軍事目的か特定業界向けの製品であった。従来の水中作業装備は特殊作業を主としており、価格は高く、重量もかなり重たかった。操作は複雑ですべて専門要員の作業に頼っていたため、一般消費者向けの製品ではなかった。そこで、Chasingは深圳のICT(情報通信技術)産業チェーンの強みを生かし、自社で設計した水中用スラスター、コネクター、コントロールシステムやデバイス構造設計などの技術を活用し、従来の閉鎖的な水中ドローン産業チェーンモデルの刷新に打って出た。また、製造費も数百万元(数千万円)から10万元(約150万円)以下に引き下げた。

水中ドローンはドローン市場のサブ市場とみられている。水中ドローンの主な運用は「人に代わって潜る」「人が行けない深さまで潜り作業をする」「作業のスマート化」であるという。周氏は「Chasingの製品を一つのプラットフォームだとすれば、そこにセンサーやロボットアーム、金属探知機など多くの関連製品と補助設備を携えて潜水作業が可能となる」と述べた。水中ドローンはプラットフォーム関連の開発モデルを形成することで、潜水作業の多くの可能性を引き出すことができるとの見解を示した。

DJIの発展から見ても、一般消費者向け製品からの市場参入がしやすいことが分かる。Chasingは海外の消費者向けおよび中国国内の企業向け市場に焦点を絞っている。とはいえ、周氏は「中国国内市場の一般消費者向けドローンの市場はそれほど大きくならない」とも語る。もし水中ドローンを水中撮影やレジャー用品としてのみ扱うとなれば、中国国内市場には適さない。

同社はM2シリーズのほかに、中国国内企業向けに魚群探知ロボットも開発している。

2019年5月には米国で100%出資子会社を設立した。「北米は重要な海外市場の一つだ」と周氏は言う。第1世代の製品のクラウドファンディングを米国で募った際、大変な人気を博した。今日に至るまで同社の主な収入源は北米市場によるものだ。

Chasingの開発メンバーは主にファーウェイ(華為技術)、「中国船舶重工集団(CSIC)」などでの就業経験を持つ。創業者兼CEOである張洵氏はファーウェイのアルゴリズム部門のシニア専門家を務め、ロボットのオートメーション化に精通している。

Chasingは2017年にエンジェルラウンドで「浩方創投(HOFAN CAPITAL)」から数百万元(数千万円)を調達した。2018年にプレシリーズAで「深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」から数千万元(数億円)を調達している。

(翻訳:lumu)

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