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中古書籍取引プラットフォーム「多抓魚(déjàvu)」は、北京店がたびたび話題になったのに続き、上海でも新たな試みとしてポップアップストアをオープンした。
多抓魚は7月最終週、上海で8月1日からポップアップストア「施工中」書店の期間限定営業を行うと発表した。ユーザーは入場チケットを購入し、店内で書籍の購入ができるというイベントだ。チケット料金は、ネットで事前に購入すると10元(約150円)、当日現場で購入する場合は15元(約230円)とした。
1週間限定のポップアップストアは、徐匯区安福路300号に開設された。イベントは2階部分でのみ開催され、店内は感覚、思想、生活の3エリアに分かれていた。2台のエアコン、いくつかのペンダントライトのほか、剥き出しの壁に多抓魚のロゴマークと「施工中書店の文字が大きく表示され、素朴だが手の込んだ造りとなっていた。
店内には多抓魚のエディターが選んだ中国語・英語の中古書籍8000冊が、ロゴマークの描かれた箱に入れて並べられており、書籍のQRコードをスキャンして価格を知る仕組みになっていた。また、購入済みの書籍を入れるためボックスと帆布バッグも販売されていた。
初日の入場チケットはわずか数時間で売り切れ、多くの本好きが詰めかけた。多抓魚は5日夜の公式Weibo(微博)で、ポップアップストアの営業時間を9日の夜8時まで延長し、店内の書籍を補充すると発表した。
2017年に設立された多抓魚は主に中古書籍取引を手掛けるプラットフォームで、当初はWechat(微信)を通じた中古書籍の売買サービスを提供していた。ユーザーは書籍の背面にあるISBNコードをスキャンし、多抓魚が引き取りに同意すれば、送料無料で書籍を引き取ってもらえる。多抓魚は引き取った中古書籍を評価・分類し、クリーニングを行い、包装し直して販売する。多抓魚は中古書籍の引き取り基準を設けており、海賊版のほか自己啓発や疑似科学など好ましくない内容の書籍は引き取らない。この引き取り基準はプラットフォームを利用するユーザーのニーズに合わせて決められている。
多抓魚が運営するオンラインコミュニティを通じて、中古書籍の売買は単なるビジネスではなく、より人間味のある個性的なコミュニケーションとなっている。「誰かにプレゼントされたい本」や「気が向いた時にちょっと手に取りたい本」など遊び心のある一連の書籍リストは、従来の書籍の分類基準を変えた。雑誌のバックナンバーや補助教材、児童書、マイナー分野の絶版本などが、ここでは新たな価値を発揮している。書評や読書ノートなどもユーザーが本物の読書体験をシェアする機能として利用されている。
多抓魚は遊び心と専門性を兼ね備えたサービスによって、サービス開始1年目に30万人を超えるユーザーを獲得した。関連メディアの報道によると、多抓魚の年間売上高はすでに1億元(約15億円)を突破し、プラットフォームでは1日平均2000冊の書籍を売り上げ、ユーザーのリピート率は32.91%に達しているという。また、これまでにテンセントを含む出資者から3回の資金調達を行っている。現在、多抓魚はオフラインでの展開を積極的に進めており、各種中古品市場に事業を拡大し始めている。
しかし徐々に多くの課題が出てきている。例えば多くのユーザーがお気に入りに登録しているような書籍は長い間品切れが続き、もし出物があったとしても購入競争に勝たないと入手できない。扱う書籍の種類が少なければユーザーのニーズを満たせない上、一部の中古書籍の価格はECサイトが行う新品書籍セールの価格と大差ない。欲しい本が見つからない、欲しい本があっても購入できない、という2つの問題が長期にわたって解決されなければ、ユーザー体験に影響を与えるだろう。
循環型経済などの概念が提唱されるのに伴って、書籍をはじめとする中古商品取引も一部のユーザーには受け入れられるようになった。しかし、さまざまな原因により、現在市場に流通している中古書籍は全体の書籍流通量のごく一部にすぎず、中古書籍市場は依然としてブルーオーシャンだと言えるだろう。
オンラインでは交流が盛んな中古書籍コミュニティを構築し、オフラインでは実店舗を利用してユーザーの興味を惹くイベントを開催し、多抓魚はここのところ良い話題に事欠かない。しかし中古書籍にどれほどのポテンシャルがあるか、どのようにビジネスモデルを確立していくかは未知数だ。
(本文写真は筆者撮影)
(翻訳・普洱)
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