中国、膨大の臨床医学データをオンライン上で共有 新薬開発の時間短縮やコスト削減に貢献

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中国、膨大の臨床医学データをオンライン上で共有 新薬開発の時間短縮やコスト削減に貢献

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イノベーション型CRO(医薬品開発業務受託機関)プラットフォームを展開する「薬研社(Yaoyanshe)」がこの8ヶ月の間にシリーズC+およびシリーズDの2回のラウンドで総額6億元超(約92億円)を調達した。シリーズC+はリード・インベスターが「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉中国)」、「鐘鼎資本(Eastern Bell Capital)」、コ・インベスターが「経緯中国(Matrix Partners China)」、「元璟資本(Vision+ Capital)」、「元生資本(Genesis Capital)」。シリーズDはリード・インベスターを「GGVキャピタル(紀源資本)」と元璟資本が務め、既存株主の経緯中国と鐘鼎資本も引き続き参加した。

薬研社の創業者である孫美林氏の説明によると、資金は引き続き、医薬品研究開発の標準化やシステム化といったインフラの強化、臨床研究科学技術プラットフォーム「Trial.Link」の普及および公開・共有に充てられる。

2015年12月に設立された薬研社は、医薬品開発の周期短縮やコスト削減を実現する革新的なサービスモデルの構築に力を注いでいる。具体的には、プラットフォームのユーザーを通じ、中国全土、そして業界全体から臨床試験実施で必要とされる公開可能な(機関、倫理、研究者の動向などの)重要行動データを継続的に収集し、それらを臨床研究意思決定サポートデータベースに統合後、アプリ、公式アカウント、臨床研究ポータルプラットフォーム「Trial.Link」を通じて業界関係者に公開しシェアしている。薬研社のサービスモデルにより、最前線の臨床試験従事者によるデータシェアだけでなく、自らの業務に必要な重要データを瞬時に取得し、作業効率の向上につなげることが可能になった。

同社は設立当初に薬研社アプリ、医薬品相談アプリ、業界セルフメディアなど一連のITプロダクトの製品化に注力した後、過去3年間でCROやSMO(治験施設支援機関)事業を展開して商業化アップグレードを完了させた。今後はTrial.Linkプラットフォーム完成によりエコシステム構築の重要な節目に入ろうとしている。

薬研社のビジネスアーキテクチャ

孫美林氏によると、同社は現在、製品、データ、技術、人材刷新など競合他社にはない圧倒的な能力により自社完結型の事業を実現し、Trial.Linkプラットフォームを公開・シェアすることにより、臨床試験従事者、研究者、患者の三者、および製薬企業と病院の両サイドにより良いサービスを提供している。

薬研社は著しい発展を遂げており、過去1年間で同社の事業は4倍に成長し、1500カ所以上の病院と強力な提携関係を結んでいる。また500カ所以上の病院と1000社以上の製薬企業がTrial.Linkプラットフォームに参加しており、臨床試験従事者の95%をカバーしている。

GGVキャピタル執行役員の呉陳尭(Joshua Wu)氏は同社の投資ロジックについて、中国の広大な創薬市場と、情報技術(IT)、モデルチェンジ、管理の効率化によりCRO分野にもたらされる巨大な成長ポテンシャルを非常に有望視しているとし、以下のように述べている。「薬研所に代表されるCRO2.0改革の方向性は、製薬企業、病院、被験者、規制当局など臨床試験に関わる全ての関係者にWin-Winの結果をもたらすものだと考えており、これは薬研社の将来的な可能性を実現する第一歩に過ぎない」

元璟資本パートナーの田敏(Terry Tian)氏によれば、薬研社は医薬品研究開発を目的とした共同プラットフォームの構築から、技術主導型の標準化・プロセス化された医薬品研究開発サービスの提供、さらには臨床試験の依頼者、病院・機関、研究者、患者、臨床試験従事者をつなぐ業界エコシステムの構築まで、事業展開において飛躍的な進歩を遂げている最中であるという。元璟資本は薬研社と共に飛躍の全ての段階を経験しており、技術主導型CRO分野の市場の将来性を有望視している。

(翻訳:浅田雅美)

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