動物実験や細胞培養に代わる「生体機能チップ」、創薬を支える新技術

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動物実験や細胞培養に代わる「生体機能チップ」、創薬を支える新技術

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創薬は完成までの所要期間が長く、巨額の予算を必要とするが、臨床試験で失敗するリスクの高い分野である。その失敗リスクの要因の一つが、非臨床試験のデータが不正確なため、創薬における潜在的な問題点を発見できないことである。

現在の創薬の非臨床試験は、2次元細胞培養や動物実験によって行われる場合が多い。しかし、2次元細胞培養や動物では、人体のメカニズムを完全に再現できない。創薬にはより正確な技術が必要であり、その有力な候補として、生体機能チップ(Organ-on-a-chip)がある。

生体機能チップとは、チップ上に半導体製造と同様の微細加工技術により、微細な流路を形成し、その上に臓器の細胞を培養した、臓器の機能を持つ素子のことである。

「大橡科技(DAXIANG BIO)」はこうした生体機能チップの開発と製造を行うスタートアップである。2019年11月には、中国の製薬大手「薬明康徳(WuXi AppTec)」がリードインベスター、「久友資本(Jiuyo Capital)」、「復容投資(Fu Rong Capital)」がコ・インベスターとなったエンジェルラウンドで、1000万元(約1億5000万円)を調達した。

同社はすでに実用化可能な生体機能チップを3種類発表している。肝毒性を測定するための肝臓チップ、抗がん剤用の腫瘍チップ、脳に作用する薬を測定するための血液脳関門チップである。同社の周宇CEOによると、これらは中国国内初の実用化された生体機能チップだという。

大橡科技の生体機能チップは、マイクロメートル級の流路を実現し、より人体の環境に近づけただけでなく、消耗品を大幅に節約することもできる。節約した分の予算は、より薬物に敏感なヒト初代培養細胞を採用することに使用できる。

中国は創薬の黄金期を迎えており、非臨床試験のデータの正確性を大きく上げることのできる生体機能チップは大きな成長が期待できる分野である。現在世界で発売されている生体機能チップには、腸、肺、肝臓、血管、腫瘍、胎盤と、人体機能の全体を再現したhuman-on-a-chipがある。

周宇CEOによると、生体機能チップの開発は技術的なハードルが高く、中国国内で複数の研究機関が開発しているが、実用化までにはまだ時間がかかるという。

大橡科技には、流路のコントロール、組織工学、細胞生物学、薬理学、病理学などの専門家が集まっており、従業員の90%が研究スタッフで、中心メンバーは10年以上生体機能チップを研究してきているという。(翻訳:小六)

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