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CSA(地域支援型農業)とは、消費者と農家をダイレクトにつなぎ、農家の売り上げと販路を確保する農業の新しい形である。欧米から始まったこのモデルは、近年中国でも行われており、代表的なものに「十万個農場主」(「十万人の農場主」の意)という農産物会員制サービスがある。
「十万個農場主」は「上海麟謙科技」が運営しており、SNSアプリ「WeChat」内のミニプログラムや、スマホアプリで利用可能なプラットフォームの形式をとっている。プラットフォームには、農家向けの商品管理、マーケティングツールと、消費者向けのトレーサビリティサービス、注文ツールがある。
欧米では大型農場が普及しているが、中国は地理的要因や各地方の格差によって、農場が分散化しており、生産性を上げるための技術力も不足している。こうした状況を変えようと、「十万個農場主」は農家にセンサー、監視システムなどのIoT設備を提供し、ドローン、スマートビニールハウス、化学肥料、種子、農薬などの資材も販売している。各種設備で収集したデータは農業用ビッグデータプラットフォームにまとめられ、今後の生産改善に使われる。そして、最も重要なのは、消費者に事前に注文してもらうことで、農産物の販路を確保したということである。
創業者の陳道勇氏は、「十万個農場主」を利用することで、農家は事前に代金を回収でき、マーケティングと販路開拓がより容易になり、管理や生産のデジタル・トランスフォーメーションを実現できるとしている。
消費者の注文は、「事前(予約)購入」と「一般購入」の2つに分けられている。事前購入は植え付けから収穫まで時間がかかり、かつ長期保存が難しい農産物が対象である。たとえば茶葉の事前購入は、1年後に商品が届くようになっている。一般購入はすぐに生産できるものや、保存しやすい農産物が対象であり、米を一般購入で注文した場合、通常3日後に商品が届く。プラットフォームでは、購入履歴によってポイントを加算しており、ポイントが多ければプラットフォームが行う配当にも参加することができる。
同プラットフォームは現在、広西、黒竜江、江西などの省や、杭州、黄山などの都市の農業生産地にサービスを提供している。取り扱い品目は茶葉、果物、米などである。収益は主に会費によって賄われ、農産物の販売による利益はほぼない。現在の会費は農家が年間2000元(約3万円)、消費者が年間399元(約6000円)である。ほかにも、農家向けのマーケティングデータ、サプライチェーン支援で料金を徴収している。
陳氏は棗の名産地である安徽省池州の出身で、故郷の農家が棗の販路開拓に苦労しているのをずっと見てきたという。起業する前、陳氏は農業技術開発企業に勤め、マーケティングアプリを開発していた。創業パートナーの趙付星氏の前職は世界トップ500企業のエリアマネージャーで、現在はマーケティングを担当している。同社はエンジェルラウンドでの資金調達を求めている最中だ。(翻訳:小六)
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