続々と上場した中国EVに投資家が熱狂 大競争は次の段階へ

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続々と上場した中国EVに投資家が熱狂 大競争は次の段階へ

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8月27日夜、中国の新興EVメーカー「小鵬汽車(Xpeng)」がニューヨーク証券取引所に上場した。発行価格は一株15ドル(約1600円)、当日の終値は41%上がり、同社の時価総額は150億ドル(約1兆6000億円)に達した。その前日には、同じく新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」と「理想汽車(Li Auto)」の株価がそれぞれ14%と28%上昇している。

資本市場での人気により、これらの企業の資金調達は順調に進んでいる。小鵬汽車はわずか1カ月という期間内に、シリーズC+、C++とIPOで、計24億ドル(約2500億円)を調達した。7月末にナスダック上場を果たした理想汽車も、シリーズDとIPOで、計20億ドル(約2000億円)を調達している。

蔚来も最近の公告において、7500万株を増発し、最高で17.22億ドル(約1800億円)の増資を行うと発表した。同社は今年4月に合肥市などから計70億元(約1000億円)を調達しており、増資が完了すれば、新興EVメーカーのなかで資金調達額1位の座がさらに安定することになる。まもなく科創板(スターマーケット)に上場予定の「威馬汽車(WM Motor)」も、IPOとPre-IPOで100億元(約1500億円)規模の資金を難なく調達できそうだ。

ほんの1年前まで低迷期だったこの業界において、各メーカーが軒並み100億元(約1500億円)調達できるようになるとは、誰が想像できたのだろうか。

熱狂後の競争

左から、小鵬創業者の何小鵬氏・蔚来汽車の李斌氏・理想記者の李想氏

CNBCの報道によれば、米国のオンライン証券取引プラットフォーム「Robinhood」では、登録ユーザーの半分以上が投資口座を開設しており、年齢は31歳以下が多いという。同様の現象は中国国内でも起きており、個人投資家が株式市場に大挙押し寄せているのが現状である。

こうした個人投資家について、あるベテラン投資家は、「個人投資家は明確なビジョンを持たないことが多く、名前をよく知っている銘柄に投資する傾向が強い」とする。そのため、アップルやテスラの株価は上昇し続けており、新興EVメーカーの株価上昇も同じ理由だという。

上記3社とも150億元(約2300億円)を確保した今、焦点は株価ではなく、事業での競争に移ることになるだろう。

小鵬汽車は早くから自社開発に乗り出し、L3の自動運転機能を備えた車両がまもなく量産化されるが、EVの課題である充電設備や、ブランディングという面はまだ十分ではない。

2020年、中国でのテスラの販売台数が急増し、同社は充電スタンドの建設目標を4000台に引き上げた。これはこれまで同社が中国で建設した充電スタンドの合計に相当する数である。蔚来の販売台数も順調に伸びており、李斌CEOは繰り返し、全国で1000のバッテリー交換ステーションを建設すると語っている。現時点では交換ステーションの数は140である。

充電設備の普及は、EVメーカーが主導権を握るための重要な一歩である。何小鵬CEOが「小鵬のオーナーのうち6割はすでに自家用充電スタンドを設置したが、4割が充電という課題を解決できていない」と認めているように、充電設備の普及が同社の急務となる。

それに対し、理想汽車と蔚来は販売チャネルの開拓と技術開発でしのぎを削る。理想汽車は元々、今年新店舗20店開設し、来年L4自動運転の開発を始める予定だったが、シリーズDで5.5億ドル(約600億円)の資金調達に成功すると、李想CEOはこれらの目標を大幅に上方修正することを決めた。

「ライバルとの競争で相手に優位に立たれると、サプライヤー、ユーザー、メディア、チャネルと、すべての面でリソースを奪われてしまう」と、李想CEOは危機感を持つ。そのため、理想汽車は今年新店60店を開設し、ウルムチのような比較的立ち遅れている西北地区でも新店舗をオープンした。

蔚来も同様の開店ラッシュを2019年から始めており、一時資金が枯渇寸前になったほどだが、今年合肥市などから70億元(約1000億円)を調達すると、再度実店舗「NIO Space」の開店ペースを速め、現在では150店を持つに至っている。

これらの新興EVメーカーのほか、フォルクスワーゲン、BMW、中国の「上海汽車(SAIC Motor)」、「広州汽車(GAC Group)」、BYDなどもEVのラインナップを充実させ、スマート機能を強化している。これらのメーカーは技術力と販売チャネルでともに強く、新興EVメーカーの強力なライバルである。また、テスラは中国で生産を開始してから、高い粗利率を確保できるようになり、価格においてアンカリング効果を生かすことができるようになった。これまでの5年間が、新興EVメーカー内部での生き残りをかけた競争だとすれば、今後の5年間は、スマート化を背景とする自動車業界全体を巻き込む熾烈な競争になるだろう。(翻訳:小六)

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