「誰でも即デザイナー」 3Dパッケージ設計と印刷を手軽にできるオンラインツール、中国で急成長

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「誰でも即デザイナー」 3Dパッケージ設計と印刷を手軽にできるオンラインツール、中国で急成長

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インターネットの発展にともなって、各種デザインの需要を持つ企業や業界がますます増えてきた。個人がデザイン機能を使用する場面も多くなり「使用のハードルを下げる」ことがデザインツール分野のトレンドになっている。36KrはこれまでにVRを活用した3Dインテリアデザインソフトウェアを提供する「酷家楽(Kujiale)」、オンライングラフィックデザインツール「創客貼(CHUANGKIT.COM)」、ショート動画製作プラットフォーム「来画視頻(LAIHUA)」などを取り上げてきた。

近ごろ取材した「包小盒(baoxiaohe.com)」はオンラインで3Dパッケージデザインと印刷ができるサービスだ。デザインツールを切り口に、パッケージデザインからマーケティング、印刷までが完結する。ターゲットとしているのは小売ブランドから消費財メーカー、デザイン会社、パッケージ印刷会社、教育機関など。法人ユーザーと個人デザイナー向けに、より簡単なオンラインパッケージデザインのソリューションとサービスを提供しており、現在1万人を超える登録デザイナーと2万件以上のデザインフォーマットを抱えている。

(写真:包小盒)

業界リポートによると、2023年までに中国のパッケージ業界の売上高は2兆元(約31兆円)を超える見込み。包小盒を運営する杭州片段網絡科技の創業者である王先鋒CEOは「パッケージデザイン・印刷業界は従来型の業界として産業のデジタル化という課題に直面している。また、小ロット化やカスタマイズ化への需要が業界のトレンドを形作っている」と話す。

中国国内ではEC業界の成長やドメスティックブランドの台頭につれ、ますます多くのスタートアップ企業やEC企業がパッケージに対するニーズを持つようになったが、たいていの場合、発注数は1000個以下と比較的少ない。大手ブランドなら1万個規模の注文をするのに比べ、1000個以下となると「カスタマイズ」の範疇だ。従来の印刷工場の立場からすると、このような小ロットでカスタマイズを必要とする注文は「面倒臭い」ものであった。度重なるデザインの修正やサンプルの作成など印刷前のプロセスが煩雑でコストがかさむほか、納期も長くなるなど顧客体験も理想的ではなかった。最終的には利益が少なく生産能力も低いという状況が発生していた。

顧客であるブランド側はデザインと印刷に関する知識がないため、デザイナーやメーカーとのコミュニケーションコストが高く、時間・体力・金銭的にも消耗が大きかった。デザイナーやデザイン会社はデザインに関しては熟知しているものの、パッケージの構造や印刷技術、印刷前の処理など専門的な知識が不十分であり、そのために繰り返しデザインの修正が必要となりコストがかさんでいくなどの問題があった。

こうした業界の問題に対し、包小盒は1年近くの時間をかけて「素人」ユーザーに適したデザイン素材やテンプレートを持つツールプラットフォームを開発。ユーザーはアプリをダウンロードすることなく、クラウド上で直接編集ができ、パッケージのサイズを自由に調整できる。プラットフォームはまた、平面デザインと3Dの完成予想図をリアルタイムにシェアする機能を持つ。デザインテンプレートの元ドキュメントを読み込むとワンクリックでレンダリング図を生成することができ、自動的に見積もりや注文、印刷から発送まで行えるという。

(写真:包小盒)

包小盒はプラットフォームを通して市場に散在する小ロット生産のニーズをとりまとめ、加工・生産を担う第三者メーカーとマッチングすることで、各プロセスの効率を上げている。

デザインのコスト削減:包小盒はデザインテンプレートを共有することで1000を超えるソリューションを提供。ユーザーはこれを基に自身で編集、加工できるため人件費を削減でき、デザインにかかる時間を最短5分にまで短縮できる。顧客や同僚とオンラインで共同作業ができ、同時に修正や改良ができるのでコミュニケーションコストも削減できる。

デザイン効率向上:ユーザーは任意のサイズを入力すれば、即パッケージの展開図を作成できる。デザインの元原稿はAIで検知することにより印刷の際にミスが起きやすい部分を自動で減らし、製図に要する時間を1秒にまで短縮する。

顧客の発注率向上:プラットフォームが案件を受注するデザイナーにマーケティングなど関連サポートを行うほか、顧客満足度の向上につとめ発注につなげている。

同社の将来的な収益モデルはサブスクリプション形式の会員サービス、印刷のカスタマイズサービス、広告マーケティングサービス、デザインのカスタマイズサービス、SaaSによるソフトウエアサービスなど複数を見込んでいる。現時点でプラットフォームはすでに企業と個人ユーザー向けにVIP会員サービスをリリースしており、年間平均費用は1000元(約1万6000円)前後だ。

同社の王CEOはシリアルアントプレナー(連続起業家)であり、これまでに周囲3キロ以内の困りごとを解決するアプリ「楽幇(whohelp.me)」、コスメ愛好家向けのSNS「優容(yoro.com)」をローンチしている。2013年に設立した「心書網(weixinshu.com)」はWeChatなどのSNSに発表した内容の製本などを行うサービスで、ユーザーは500万を超え、年間売上高も数千万元(数億円)に達している。共同創業者兼副総裁を務める許生氏は2009年に動画制作者のためのサイト「永恒之家(YONGHENGZHIJIA)」を設立している。CTOの李法政氏はeBay中国でネットワークセキュリティエンジニアを務めた経験を持つ。
(翻訳・山口幸子)

 

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