ショート動画「快手」、ライバル「抖音」に類似の機能を追加 広告収入増を目指す

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中国の2大ショート動画プラットフォーム「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」と「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」のUI(ユーザーインターフェイス)を比べてみると、前者はコンテンツが1列に並び、上下にスライドすれば自動再生されるようになっており、後者はコンテンツが2列に並び、サムネイル画像を選択して再生するという形になっていることがわかる。

スライドするだけで自動再生できるほうが、視聴時間を伸ばすことができるため、動画コンテンツそのものに注力する抖音はこの方式を採用した。一方、快手はソーシャル機能を重要視しているため、動画の製作者へのフォローにつながる2列のニュースフィード形式を採用したのである。

両者の違いは数年間変わらなかったが、9月3日に更新された快手の8.0バージョンでは、2014年に快手がショート動画プラットフォームに転換して以来、最大規模の仕様変更が行われた。最も大きな変化は、「精選」タブを追加したことである。このタブでは、動画が抖音のように1列に並び、上下にスライドするだけで自動再生される。「精選」タブは画面の上部または下部に追加されており、どちらで表示されるかは、これまでの視聴習慣によって決まるという。

快手8.0バージョン

このほかの大きなアップデートとして、1080pの動画のアップロードと再生に対応したことが挙げられる。これは5Gの普及を想定したものだろう。

快手が抖音のような機能を追加した一方で、抖音も、ソーシャル機能の強化を試みている。抖音は画面下部のタブに「フレンド」機能を追加する内部テストを行っており、個人ページではこれまでのいいね、フォロー、フォロワー数のほか、「フレンド」の数も表示されるようになった。

機能は多ければ多いほどよいというわけではないが、長年しのぎを削ってきた抖音と快手は、ともにさらなる成長を続けるための新たな原動力を見つけ出さなければならない状況だ。

抖音を模倣する快手

ショート動画プラットフォームがスライドで自動再生する機能を追加するのは簡単だ。難しいのは、コンテンツの質とレコメンドの精度である。

快手のコンテンツの90%以上はユーザーの製作したものであり、優れたコンテンツを確保するのに、それだけ時間がかかったということができる。

これまで、快手がどの動画にトラフィックを誘導するかは、シェア、コメント、いいねの回数や、最後まで視聴した比率などによって、5〜7回のふるい分けを経て決定されていた。こうして選定された動画は、今後「精選」タブにも表示されることになるだろう。

それでも、大量の動画があるため、ユーザーに長時間滞在してもらうには、アルゴリズムによる正確なレコメンドが不可欠である。

これは抖音がもっとも得意とする分野で、アルゴリズムによってユーザーが好む動画をレコメンドし、同時に今後興味を持つであろう動画を予測する。快手が抖音の水準に到達できるかどうかは、まだ未知数である。

狙うはニュースフィード広告の収益

快手が「精選」タブで目指すものは、ニュースフィード広告による収益である。

「精選」タブを体験したところ、動画10本ごとに広告が再生され、広告再生後は「ダウンロード」「購入」などのリンクが表示されることがわかった。リンクをタップすれば、アプリストアや外部のECプラットフォームが開くようになっている。

快手「精選」タブのニュースフィード広告

これまでの快手の広告は、地方都市のノンブランド品が多かったが、「精選」タブはコンテンツの質を向上させることで、より有名なブランドからの広告を増やしたいと考えている。これも、抖音が得意とする分野だ。

収益化という面から言えば、ソーシャル機能が充実している快手は、ユーザー同士の活発なコミュニケーションに基づくライブコマースで抖音をリードしており、トラフィックを誘導することに長けコンテンツの質がより良い抖音は、広告収入で快手を上回っている。両者はともに相手の得意分野へ進出しようとしているが、この試みは短期的には自身の弱みを補強するにとどまり、相手が数年間かけて築き上げたアドバンテージを覆すには至らないだろう。

そのため、ニュースフィード広告が快手の売上高をどれだけ増やせるのか、抖音のソーシャル機能が定着するかなど、新しい試みが各自の業績にもたらす変化のほうに、より注目すべきであろう。

(翻訳:小六)

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