TikTok創業者など中国ITニューリッチの資産運用法 リミテッド・パートナーで投資

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中国ではここ20年の間にIT企業のニューリッチが生まれた。彼らはプライベートバンキングや富裕層向け資産運用において、従来型産業の企業家や不動産会社の資産家に取って代わった。現在、LP(リミテッド・パートナー)を担うITニューリッチが増えているのは、資金が潤沢、年齢が比較的若い、ファンド投資の訓練を受けているという3つの要因がある。

新旧LPの比較

2007年の中国株式市場が強気相場だったことに加え、「合伙(パートナー)企業法」の施行に伴い、2008年前後に人民元ファンド市場でPE(プライベート・エクイティ)が流行した。当時、この種のファンドに参加したLPはほとんどが企業家と資産家だった。彼らは資産運用を目的に参加したが、投資対象の専門知識を欠いていた。

一方、ITニューリッチの年齢は一般的に35~45歳で、TikTok運営会社「字節跳動(バイトダンス)」の張一鳴氏、「美団点評(Meituan Dianping)」の王興氏、「京東(JD.com)」の劉強東氏といった著名な創業者もここに入る。彼らは中国内外に資産を持ち、特定の市場に依存することがない。香港や海外での上場を通じて資産構築チャネルを開拓したため、国際間の資金移動も大きな問題にはならない。

また、ITニューリッチはGP(ゼネラル・パートナー)を熟知している。創業の過程でシリーズA、B、C、Dなどの資金調達を行い、各種の投資機関や政府系金融機関とも交流がある。関係者の情報を掴み、PEの運営方式に対する理解も深い。

そしてITニューリッチは多角的な資産配分をする傾向にあり、PEのみに大きく投資することがない。複数の仲介者やプライベートバンクから商品提供や投資提案も受けている。

ITニューリッチのLP投資スタイル

ITニューリッチが担うLPの投資スタイルは2種類ある。一つ目は、自身と交友関係にあるTMT(テレコム・メディア・テクノロジー)従事者やIT企業社員と協力するスタイル。同じ業界で働き、新しいチャンスに対する共通認識があるため、コミュニケーションコストが低い。また、直接投資を好む傾向があり、関係者が立ち上げたファンドにも参加する。

二つ目は、一流マネージャーや一流マネージャーが立ち上げたチームの組成するファンドと投資協力を行い、影響力を持つLPになることだ。

どのようにGPを選ぶのか

ITニューリッチによるGPの選び方と彼らが注目する直接投資プロジェクトは一致する傾向があり、概ね3種類に分けられる。まずは技術選好型。一般的にITニューリッチは専門知識をベースに、技術的な優位性を持つプロジェクトに初期段階で参加する。

ITニューリッチの企業に戦略的シナジーをもたらすGPも選ばれる。このGPはセグメンテーションが細かく、単独プロジェクトを早期に見つけるため、投資家はGPを通じて特定のニッチ市場を深く理解すると同時に、より早く投資チャンスをつかむことができる。

また、経営期間10年以上、複数期のファンドマネージメント経験、資産運用規模100~200億元(約1500~3000億円)以上の大手GPが挙げられる。ITニューリッチの投資目的は第一にリターンを得ることで、それに加えてファンドが自身にもたらした利益の見返りに、GPが続いて組成するファンドに財務的な支援を行うことだ。

この3点がサークルを強く特徴づける。サークル文化の形成には、プライベートエクイティ市場とベンチャーキャピタル市場の取引コスト高止まりや、プロジェクトの先行き判断の難しさ、ファンド投資の不透明な成否が背景にあり、投資家は個人間の信用を生かして取引コストの引き下げを図る。サークル文化は制度化されていないが、取引について判断する負担を確実に軽減するものだ。(翻訳・神戸三四郎)

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