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中国スマートフォン大手OPPOはグループを挙げた組織調整を続きている。
OPPOの関係者によると、主に男性をターゲットとしたゲーミング仕様の「Ace」シリーズは数カ月前にすでに廃止が決まったという。
OPPOのこの決定は以前からある程度予測されていた。OPPO中国地区の劉波総裁は社内向けに将来の製品プランについて言及しており、その中で「Findシリーズはフラッグシップモデル、Renoシリーズはミドルレンジの普及モデル、Aシリーズはエントリーモデル、Kシリーズはオンライン販売に主力を置く」と述べ、Aceシリーズの長期プランについて触れていない。
Aceの第一世代製品「OPPO Reno Ace」は、2019年10月にリリースされた。第二世代の「OPPO Ace 2」は今年4月にリリースされ、OPPOは同時にAceを独立したシリーズとして扱うと発表した。
当時、OPPOの副総裁だった沈義人(ブライアン・シェン)氏は公開メッセージの中で、「新しい分野へ踏み込むことは大きなリスクと未知への挑戦を伴うが、だからと言ってAceシリーズの継続的な研究をためらう理由にはならない」と述べている。
Aceシリーズが独立してから廃止が決定するまで数カ月しか経っておらず、OPPOの設立以来、最も短命なシリーズとなった。この「断捨離」の背後にはOPPOが進める製品ラインアップの整理と簡略化がある。
Aceシリーズは厳密な意味でのゲーミングスマホではないが、eスポーツやゲームといったセールスポイントは、それまでOPPO製品が打ち出してきた写真や動画の撮影機能や、計量・薄型化といった特長とは異なる。Aceシリーズを主導してきた沈氏が去ったことにより、同シリーズが廃止されたことは想像に難くない。
Aceシリーズはオンライン販売向けのモデルで、実店舗での販売においては主力製品ではない。OPPO内部の関係者によると、Aceシリーズが廃止された主因は、第二世代の製品の出荷台数が、第一世代のOPPO Reno Aceに遠く及ばなかったからということだ。
OPPOのこれまでの販売チャネルは、3~4級都市にある無数の小売店が主で、オンライン販売に力を入れ始めたのは今年に入ってからだ。オンライン販売プラットフォームの名称を「OPPO商城」から「欧加商城」へ変更し、サブブランド製品も掲載し、アフターサービスを統合し、オンラインリソースの共有を進めている。
Aceシリーズはオンライン販売において、OPPO傘下のサブブランド「OnePlus(一加)」や「realme」が今後リリースする主力製品とパイの奪い合いが回避できない可能性が高く、そのためには製品ラインアップをスリム化する必要があった。
前述の内部関係者によると、Aceシリーズに関わっていた人員はRenoシリーズの所属に変更されたという。
OPPOはミドルレンジ~ハイエンドモデルのAceシリーズを廃止した以外に、今後は2000元(約3万1000円)以下のエントリーモデルを拡充していくという。
「A」シリーズはOPPO製品の中で一番売れているモデルだ。調査会社Counterpoint Technology Market Researchが発表したデータによると、2019年末にリリースされた「OPPO A8」は、2020年第2四半期の中国市場でのシェアが3%となり、アップルiPhone 11の4%に次いで第2位の人気機種となった。
今年上半期、OPPOが新たに発表した製品は3000元(約4万7000円)以上のミドル~ハイエンドモデルが中心で、2000元(約3万1000円)以下は「A92s」、「A52」のみで、ローエンドのラインアップ拡充は進んでいない。vivoやファーウェイ傘下の「Honor(栄耀)」が急速にローエンド市場でシェアを伸ばしつつある。前述のデータによると、機種別の市場シェアランキングでは「Honor 9X」、「vivo Y3」がそれぞれ第3位、第4位につけている。
関係者によると、OPPOは市場シェアを奪回するためにRenoシリーズで2000元(約3万1000円)クラスの廉価モデルをリリースする予定とのことだ。この点についてOPPOは36Krに対し、Renoシリーズは今後より広い価格帯をカバーしていくとだけ答えた。
別の関係者によると、これまでAceシリーズの担っていた位置づけは、姉妹ブランドrealmeからリリースされる新しいハイエンド機種のシリーズが引き継ぐという。realmeに白羽の矢が立った理由は、持ち株会社の「欧加控股(Oujia Holdings)」にとってrealmeはニッチを狙うサブブランドではなく、一般向けブランドだからだ。ブランドの認知度を上げるためには幅広い価格帯をカバーしていく必要がある。
これまでRealmeはコストパフォーマンスの高いモデルをリリースし続け、5G対応スマホの価格を引き下げてきた。その中でも「V」シリーズはバッテリー容量の割に価格が安く、「X」シリーズはデザインがセールスポイントになっている。3000元以上のモデルは「realme X50 Pro」だけで、他はすべて3000元以下だ。Aceシリーズがrealmeに引き継がれれば、realmeに欠けているフラッグシップモデルという空白を埋めるのに役立つかもしれない。
(翻訳・普洱)
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